「ドコモ回線がつながりにくい」問題、夏までに対策へ 「SNSの声は認識している」
NTTドコモの回線品質が低下している問題について、継続的に実施しているエリアチューニングを2023年夏までに対策を完了させると発表した。ここ最近、同社のモバイル回線において「データが流れない」「つながらない」などの声がSNSで数多く確認されている。
NTTドコモは4月26日、同社の回線品質が低下している問題について、継続的に実施しているエリアチューニングを2023年夏までに完了させると発表した。ここ最近、同社のモバイル回線において「データが流れない」「つながらない」などの声がSNSで数多く確認されており、それに対応するものとなる。
現在ドコモでは、トラフィックが増大していることで、5G転用を含む4Gネットワークの容量がひっ迫。パケットの“詰まり”が発生しやすい状況にある。これの解消として、4Gと比べて2〜3倍の帯域幅を誇る「瞬速5G」のエリア拡大を続けており、コアネットワークも5G専用にした“真の5G”こと「5G SA」の提供も、駅・商業施設・スタジアム・大学・空港などに広げていく予定としている(東京の5G SAエリアは3月末時点で東京駅のみ)。
しかし、エリアの拡大には時間がかかるため、23年夏をめどにネットワークのチューニングも並行して実施。過渡期の対策ではあるが、“詰まり”を改善していく。
具体的には、瞬速5Gをすでに展開しているエリアでは、基地局のカバーエリアを少し拡大。瞬速5Gが展開されていないエリアのトラフィックを少しでも吸収していく他、周波数間の分散制御を強化。プラチナバンドとも言われる800MHz帯は屋内まで電波が届きやすいものの、さまざまな端末が800MHz帯を優先的につかんでしまう弊害もある。そのため、800MHz帯にトラフィックが集中しないよう、屋外では1.5GHz、1.7GHz、2GHzなどにシフトする制御を入れるという。
ドコモでネットワーク部長を務める引馬章裕氏によると「SNSでドコモの通信品質に対するご心配の声を頂いていることは我々も認識している」と説明。モバイルネットワークのひっ迫は、東京が最も多いが、全国の都市部でも発生しており「都市部、駅、駅の周辺といったところで非常にトラフィックが増えている」という。
また、品質低下の要因はトラフィックだけではないという。「エリアの構築にあたってはトラフィックを予想しながら設計しているが、再開発をやられている地区で、基地局を撤去しなければならなかったり、人の流れが変わったり、新しいビルができたり、我々が想定していたのと違う動きが発生している。ここに対して課題がある」と説明した。
ドコモは、2021年に「パケ止まり」という、4Gと5Gの境界エリアで5Gの弱い電波をつかんでしまい、通信ができなくなる事象が発生。電波が弱い5Gエリアでは4Gに切り替える制御を入れることで通信を安定化させたが、今回はモバイルネットワーク容量のひっ迫が主な要因であり、4G/5Gを切り替えても根本的な対策にならない点に注意したい。
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