ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(前編):明日発売! 11.6型/13.3型を徹底比較(6/6 ページ)
かつて小型軽量モバイルノートPCの名機として支持された「VAIO T」が、Ivy Bridge搭載のUltrabookとして復活した。まったくの別物となったVAIO Tをどう解釈すべきか。4台の新生“T”でその実力を確かめる。
キーボードは13.3型のほうが使いやすいが、どちらも剛性が高い
キーボードは標準的な6列仕様の日本語配列を採用。キートップの間隔を広げて配置し、隣接するキーを誤ってタイプしにくいようにデザインした、VAIOおなじみのアイソレーションキーボードだ。VAIOの上位モバイルノートに見られる英字キーボードやカナ刻印なしキーボード、キーボードバックライトといったオプションは用意されない。
キーピッチは11.6型モデルで約18.43ミリ、13.3型モデルで約19ミリの広さを確保する一方、キーストロークはどちらも約1.2ミリと浅い。11.6型モデルと13.3型モデルでキーボードを使い比べてみると、キーボードのサイズと一部のキーレイアウトが異なるため、文字の打ちやすさは結構違う。キーサイズの違いは下表にまとめた。
VAIO Tのキーボードサイズ比較 | ||
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分類 | 11.6型店頭/直販モデル | 13.3型店頭/直販モデル |
製品名 | SVT11119FJS/SVT1111AJ | SVT13119FJS/SVT1311AJ |
主要キーのキーピッチ | 18.43(横)×16.5(縦)5ミリ(縦方向は実測) | 約19(横)×19(縦)ミリ(縦方向は実測) |
キーストローク | 約1.2ミリ | 約1.2ミリ |
主要アルファベットキーのサイズ | 約14(横)×13(縦)ミリ | 約14.5(横)×14.5(縦)ミリ |
ファンクションキーのサイズ | 約12(横)×10(縦)ミリ | 約13(横)×10(縦)ミリ |
スペースバーのサイズ | 約51.5(横)×10(縦)ミリ | 約46.5(横)×14.5(縦)ミリ |
Enterキーのサイズ | 約14~18.5(横)×29(縦)ミリ | 約19.6~24.5(横)ミリ |
Backspaceキーのサイズ | 約11(横)×13(縦)ミリ | 約14.5(横)×14.5(縦)ミリ |
Deleteキーのサイズ | 約12(横)×10(縦)ミリ | 約13(横)×10(縦)ミリ |
半角/全角キーのサイズ | 約10(横)×13(縦)ミリ | 約14.5(横)×14.5(縦)ミリ |
パームレストの長さ | 約77ミリ(キーボード手前の段差まで) | 約77ミリ(キーボード手前の段差まで) |
11.6型モデルは各キーの縦の長さがわずかに短く、実測での縦方向のキーピッチは約16.5ミリとなるため、最初は縦方向に指を伸ばすのが少々狭く感じるかもしれない。もっとも、キーピッチの縦方向が横方向より極端に狭いわけではないので、すぐに慣れる。
また、全角/半角、BackSpace、Enterといった使用頻度の高いキーの横幅が狭いことに加えて、右下のカーソルキー周囲と最下段には少し変則的なキーピッチも見られるため、使い始めには注意が必要だ。とはいえ、キーの並びに無理な詰め込みはなく、比較的自然なレイアウトなので、ある程度使い込めば、タッチタイプも問題ないだろう。
13.3型モデルはキートップが正方で、縦方向も横方向も約19ミリのフルピッチだ。こちらは全角/半角、BackSpace、Enterといったキーの横幅が広く、右下のカーソルキーを一段下げて配置することで、右Shiftも広げるなど、全体に余裕がありクセのないキーレイアウトだ。
最下段のキーピッチは少し変則的なサイズとなっており、スペースバーが短いのは気になるが、11.6型モデルより確実に入力しやすい。普段ノートPCでタッチタイプが可能なユーザーならば、すぐに素早く文字入力できるだろう。同じく13型クラスのハイエンドモバイルノートであるVAIO Zよりかなり打ちやすい。
どちらのキーボードもキーストロークは約1.2ミリと浅く、軽い力で押下できる。キーの反発もソフトなので、指にかかる負担は小さい印象だ。キーの入力音は比較的小さいため、周囲が静かな場所でも使いやすいだろう。ただし、押した感覚が強めに残るキーボードが好みのユーザーにとっては、少し軽すぎるかもしれない。
パームレストの長さは約77ミリ(キーボード手前の段差まで)あり、両手をきちんと置いて入力できる。また、キーボード全体の剛性が高い点は特筆したい。キーボードがしっかり固定されており、キーを強くリズミカルにたたいても、中央付近がへこんだり、キーボードユニットがぐらつくことはない。ここでもVAIO Tの堅牢性は健在だ。
なお、キーボードの上部には3つのワンタッチボタンが用意されており、「ASSIST」ボタンがVAIO Care、「WEB」ボタンがWebブラウザ、「VAIO」ボタンがMedia GalleryもしくはPlayMemories Home for VAIO(初回起動時に選択)の起動に割り当てられている。VAIOボタンで起動するソフトや動作は、「VAIOの設定」で選択可能だ。
大きめのマルチタッチジェスチャー対応クリックパッドを導入
タッチパッドは、左右のクリックボタンをパッドに一体化したいわゆるクリックパッド型だ。11.6型モデルも13.3型モデルも同じものを使っており、実測でのサイズは99(横)×56(縦)ミリと広い。
クリックパッドは指で押し込むと、全体が少し下がってクリック動作になる仕組みだ。ボタンのストロークは浅く、タッチ操作中に誤って押下させないためか、少し硬めの作りになっている。クリック時はコツ、コツという音が鳴るが、特に気にならない。
タッチパッドの右下1/9程度のエリアを押下すると右クリック、それ以外のエリアを押下すると左クリックになる(パッド下方のほうが押しやすい)。パッド表面の指の滑りは良好で、樹脂製ながらパッドの下に金属板が埋められているため、押した際のたわみやふらつきはない。キーボードと同様、剛性が感じられる。
ただし、右クリックは意識して押さないと、左クリックとして認識されやすいので、ドライバの設定で右クリック用のゾーンを調整するなど、カスタマイズして使うのもいいだろう。ちなみにドライバの初期設定では、指2本でパッド表面をタップしても右クリック動作になり、筆者はそちらのほうが使いやすかった。
タッチパッドのドライバは、シナプティクス製を採用。2本指を上下/左右になぞることによる上下/左右のスクロール、2本指をパッド上で離したり近づけたりすることによる拡大/縮小、2本指をパッド上で回すことによる回転、3本指で左右にはじくことによるページ送り/戻し、4本指で上方向にはじくことによるWindowsフリップ3D(Windowsキー+Tab)、4本指で左右にはじくことによるWindowsフリップ(Alt+Tab)といったマルチタッチジェスチャー機能が標準で有効になっている。
なお、広いタッチパッドがホームポジションの直下ではなく、ボディの左右中央にあることから、キーボード使用時は右手の手のひらがタッチパッドに触れてしまうが、これをタップ操作と誤認しないためのSmartSence機能も備わっている。これにより、キーボード使用時に意図しないタッチ操作が行われるようなことはほとんどなかった。また、Fn+F1キーでタッチパッドのオン/オフをすぐに切り替えることができる。
ソニーはこのマルチタッチジェスチャー対応のクリックパッドを2012年夏モデルで積極的に導入しているが、機種別にハードウェアの設計やドライバの最適化を行っているという。このVAIO Tを試してみても、パッドが広くて滑りがよいことも相まって、2本指のスクロールや3本指のページ送りなどはかなり使いやすく、Mac OS Xの吸い付くようなレベルにはまだ遠いが、Windows PCとしてはよく作られているほうで不満はない。
以上、VAIO Tの各ポイントを一通りチェックした。近日公開予定のレビュー後編では、実際のパフォーマンスをはじめ、バッテリー駆動時間、騒音、発熱といったUltrabookで気になるところを4台並べてテストし、結果を比較していく。
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