ソニー初のUltrabookはやっぱり気になる――「VAIO T」特大レビュー(後編):店頭/直販モデルを4台まとめて集中テスト(5/5 ページ)
Ultrabookに生まれ変わった「VAIO T」は、期待通りの実力を発揮してくれるのか? レビュー後編では仕様が異なる4台のVAIO Tを集め、パフォーマンス、スタミナ、騒音、発熱を検証する。
VAIOとしてはスタンダードな作りだが、質実剛健なUltrabook
以上、2回に渡りUltrabookとしてよみがえった新生VAIO Tを検証した。前編の冒頭で述べた通り、“T”というシリーズ名に特別な期待を抱いてしまうVAIOファンは少なくないだろうが、今回のVAIO Tはかつての光学ドライブ内蔵モバイルノートPCとは完全な別物として考える必要がある。
UltrabookとしてのVAIO Tは、競合機種に比べて薄型軽量の面で優位性はないものの、ボディの剛性や、仕様のカスタマイズに対応した基本性能の高さ、拡張ポートの数、キーボードの使い勝手(13.3型モデルは11.6型モデルに勝る)、バッテリー駆動時間、Rapid Wake + Ecoによる省電力スリープなど、長所は多い。
特に直販モデルでSSDのみを内蔵した構成は、新世代Ultrabookの高いパフォーマンスを発揮できた。店頭モデルのハイブリッドストレージ構成もUltrabookらしく素早いレスポンスを実現しつつ、大容量HDDも確保できている。Ultrabookの要件を満たしながら、無理のない厚さと重さにしたことで、そのほかの部分に大きな弱点は見当たらない。
細かいところでは、メーカー保証対象外の行為となるが、底面のカバーを外すだけでメモリスロットやストレージにアクセスできるのもポイントだ。Ultrabookでは分解しないと、メモリやストレージが露出しないのが普通で、メモリもオンボードのみ、ストレージも特殊形状のSSDといった製品が少なくない。
専用設計で薄型軽量を突き詰めるのも1つのやり方(まさにVAIO Zがこれに当てはまる)だが、汎用パーツを多く使ってユーザーが拡張・保守できる余地がある設計は、中・上級者にとって安心感があるだろう。
量販店での実売価格は11.6型店頭モデルが11万円前後、13.3型店頭モデルが12万円前後となっている。店頭モデルはMicrosoft Office Home & Business 2010が付属するため、価格もそれなりに上がるが、一部のオンラインショップでは前者が8万円台半ば、後者が9万円台前半まで下がってきた。
さらにソニーストア直販のVAIOオーナメードモデルは、11.6型で5万9800円から、13.3型で6万9800円からと安価に入手可能だ。最低価格は第2世代のCore i3を搭載した構成なので、あまりおすすめはできないが、低予算でも十分選択肢に入ってくるのは見逃せない。
今回テストしたのは512GバイトSSDを積んだハイエンド構成だったため、11.6型モデルで17万8800円、13.3型モデルで18万8800円と少し割高になるが、Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz)、4Gバイトメモリ(オンボード)、128GバイトSSDといった構成では11.6型モデルが10万8800円、13.3型モデルが11万8800円まで下がる。VAIO Tの場合、メモリが足りないと感じたら、後から4Gバイトモジュールを追加すればいい。将来的にはユーザーがより高速・大容量のSSDに交換するのも比較的容易だ。こうして考えると、なかなかコストパフォーマンスは高い。
このようにVAIO TはUltrabookのポイントを押さえつつ、幅広いユーザー層に向けたモバイルノートとして堅実な作りがウリだ。ある意味、VAIOらしからぬスタンダードな製品といえるが、実用性に優れたUltrabookであることは間違いなく、価格面も含めた総合的なバランスはよい。この夏、モバイルで活用する薄型ノートを探しているならば、予算に応じて、上位機種のVAIO Zとともに検討してみるとよいだろう。
とはいえ、最上位モバイルノートPCであるVAIO Zとは別に、高付加価値路線のUltrabookをVAIOに期待してしまうのも確かだ。各社が気合いの入ったUltrabookを次々と投入しているだけに、近い将来、VAIO Tの上位機種として、ソニーの薄型化・軽量化技術を結集したUltrabookのフラッグシップモデルも見てみたい。
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