“Retina”はMacだけでなく、Windowsでも普及するか:本田雅一のクロスオーバーデジタル(4/4 ページ)
「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」が発売され、ついにPCの世界でも超高解像度ディスプレイの普及が始まった。今回はRetinaディスプレイでMac OS XとWindows 8 Release Previewの見え方を確認したうえで、今後の高dpi表示環境を考える。
高dpiディスプレイはMacでもWinでも今後の普及が期待できる
MBP Retinaへ実際にインストールしてみたら、うまく動かないアプリケーションも出てくるかもしれない。既存アプリケーションとの互換性という面ではWindowsよりMac OS Xの方が配慮が行き届いている印象だが、結局、きちんと対応してもらえないとよさを生かせないのはWindowsもMac OS Xも同じだ。
高dpiへの対応は、例えばWindows 2000のときにMicrosoftがIBM「ThinkPad A」シリーズの133ppi/IPSディスプレイをサポートしたが、このときはアプリケーションに無作法なものも多く残っており、ダイアログボックス内のテキスト表示が切れて読めなくなったり、OKボタンが押せないアプリケーションが頻発したことがある。
そのころに比べれば、はるかに“使いで”がある。Windowsの高dpi設定は、あのころと同じように分かりにくいままだが、中身の方は少しは進歩している。
液晶ディスプレイの生産技術、グラフィックス性能、ともに十分にこなれてきているので、今後はWindows、Mac OS X問わずに高解像度仕様のモデルが登場してくると思う。
両プラットフォームに違いがあるとするなら、それは“エンドユーザーへの見せ方”にほかならない。アップルは上手に“Retina”という言葉で訴求し、実際の製品に結びつけて対応を促している。「今後、あらゆる製品がRetina化していくのでは?」という期待感が周囲にはある。これならば、アプリケーションのRetina化はあっという間だろうし、移行期の文句もあまり出てこないのではないだろうか。
一方、Windows 8も実際に製品が登場するころには、高dpiへの対応がもっと真剣に語られるようになっているだろうが、現時点ではRetinaディスプレイほど高dpiのハードウェアがなく、デスクトップ・アプリケーションに関しては従来と同じスケーリングの仕組みを踏襲しているため、“高dpiディスプレイ向けにアプリケーションを調整しておこう”という意識が生まれるまでに至っていない。
結論としては、両プラットフォームともに高dpiディスプレイ時代の訪れを感じるに十分な潜在力はあり、いずれも普及が期待できるだろう。しかし、その進捗はアップルが先行しており、今後は移行速度の面でもより速く高dpiが普及していきそうだ。
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