「VAIO Duo 11」を“徹底解剖”して語り尽くす:完全分解×開発秘話(後編)(5/7 ページ)
独自のスライド機構を採用した11.6型モバイルノートPC「VAIO Duo 11」には、ソニー初の挑戦が凝縮されていた。後編も開発者が自ら実機を分解し、その秘密を明らかにしていく。
両面10層基板で薄く仕上げたメインボード
メインボードには、先に紹介したオンボードメモリと専用メモリスロット、SSD接続用のPCI Express Miniカードスロット、2基のUSB 3.0に加えて、CPUとチップセットが実装されている。
CPUについては、Ultrabookではおなじみの第3世代Coreプロセッサー・ファミリー(開発コード名:Ivy Bridge)を採用。TDP(熱設計電力)の値が17ワットと、通常電圧版(35/45/55ワット)より低い「U」シリーズを搭載する。
直販モデルは搭載するCPUを、Core i7-3667U(2.0GHz/最大3.2GHz/4Mバイト3次キャッシュ)、Core i7-3517U(1.9GHz/最大3.0GHz/4Mバイト3次キャッシュ)、Core i5-3317U(1.7GHz/最大2.6GHz/3Mバイト3次キャッシュ)、Core i3-3217U(1.8GHz/3Mバイト3次キャッシュ)から選択可能だ(店頭モデルはCore i5-3317Uを搭載)。いずれも2コア4スレッド対応のモデルとなる。
チップセットは1チップ構成のIntel HM76 Express、グラフィックス機能はCPUに統合されたIntel HD Graphics 4000だ。総じて、このサイズのUltrabookとしてはハイスペック寄りの仕様といえる。
第3世代の「VAIO Z」やVAIO Xでは、薄型ボディを極限まで追求するため、片面実装のメインボードを採用し、基板部の高さを可能な限り抑えていたが、VAIO Duo 11のメインボードは両面実装の10層基板だ。基板両面のスペースを有効活用し、必要なチップやコネクタ、回路を無理のない間隔でバランスよく配置している。
とはいえ、メインボード上に高さのある部品はなく、かさばるメモリスロットは高さを抑えた独自のコネクタとなっているため、両面実装のメインボードとしてはかなりの薄さだ。
CPUクーラーの実装方法にも一工夫
メインボードのデザインで目を引くのは、基板の一部に丸い穴があることだ。ネジで固定されたCPUクーラーをメインボードから取り外すと、メインボードに開けられた穴の周囲がファンのカバーを兼ねる構造になっていることが分かる。
この構造について、浅見氏は「メインボードに穴を開け、そこにファンを直付けする設計により、ファンのケースに必要な板を1枚ぶん減らせるため、薄型化に有利となる。また、メインボードの穴の周囲はファンのケースとして機能させながら、基板の配線にも使うことで、基板として使える面積をそれほど減らさずに処理した」との説明だ。
鈴木氏は「逆にいうと、メインボードとこのファンを重ねないと、内部パーツのレイアウトが成り立たなかった。重ねて作ると当然厚みが出るので、薄型化には不利だが、ファンをこのような実装にすることで、放熱と薄型ボディを両立している」と付け加える。
CPUクーラーは基板と重ねて搭載するため、ファン自体も薄型化した。ファンの厚さは、基板の穴に収納される芯の部分で5.5ミリ、周囲は4.5ミリと薄型だ。薄いファンで効率よく冷却するには、ファンの回転数を上げる必要があるが、三相モーターにより振動を抑えたほか、ファンの羽根形状は騒音レベルが下がるよう新たに設計したという。
本体内部のエアフローについては、背面に細かな穴が多数開けられており、これらの穴や端子部などのわずかな隙間から吸気し、背面の中央付近にあるヒートシンクを通して排気する仕組みだ。
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