インテルのPC盗難対策サービスは万全か?――「VAIO Duo 11」で実践:VAIO Duo 11ロードテスト(5)(2/2 ページ)
前回は「VAIO Duo 11」に体験版が付属しているPC盗難対策サービス「インテル アンチセフト・サービス」を一通り試した。今回は実際に使ってみて「これはどうなの?」と思った部分を掘り下げていこう。
インターネット接続しなかったらどうなる?
IATSはインターネットを利用することで、盗まれたPCのロックや解除、位置情報の取得が遠隔地から行える。逆にいうと、IATSでは、盗まれたPCがインターネットに接続されないまま使われていたら、しばらくはロックできない。これは結構な「穴」ではないかと思っていたが、実際に盗難に遭いそうなシーンをよく考えてみると、意外とそうでもないことが分かる。
IATSには、一定期間インターネット接続がないと自動的にPCをロックし、起動できなくする機能があり、その期間は2日から30日まで1日単位で設定できる。2日に設定しておけば、2日間インターネットアクセスが発生しなかった時点で自動的にロックされるわけだ。個人のPCならば2日くらい使わないことがあるかもしれないが、その場合はパスワードを入力して起動すればよい。事前に長期間使わないことが分かっている場合は、休眠モードや修理モードという、一時的にロック機能を停止する設定を利用できる。
ここで「2日の間にデータが盗まれたらダメじゃないか」と思うかもしれない。確かにその通りだ。犯人の目的がPCのハードウェアではなく中身のデータであり、かつ犯人がIATSの仕組みをよく知っており、計画的に行われた犯行であれば、「盗難して目の届かないところまで逃げ、通信機能を無効にし、2日以内にデータを抜き出すこと」を完遂するのはそう難しいことではなさそうだ。別途、UEFIパスワードやWindowsパスワードなどを併用していれば、2日くらいは時間を稼げるかもしれないが、確実ではない。これはIATSの限界として知っておかなければならない。
しかし、実際のところ、そのように注意深くPCを盗んで個人情報を抜き取るプロのような人間に狙われる可能性が日常的にあるようなユーザーは、よほどの有名人やエグゼクティブではないだろうか。
個人でモバイルPCを盗まれる場合、大抵は「新しいPCが欲しい」などの理由で自分のものにしたくて盗まれるか、置き忘れなどで放置されたPCを見つけ、そのまま盗んで使ってしまう、といったケースと予想される。PCを使う目的で盗んだのならば、インターネットに接続しないことはまず考えられない。また、中古業者などに売却する目的だとしても、動作チェックの際にIATSが機能し、ロックされるはずだ。さらに、分解してストレージのみ取り出されたり、OSが再インストールされても個人データは保護される仕様となっている。
ロックメッセージをカスタマイズしてみる
IATSは、ロック時に表示させるメッセージのカスタマイズにも対応している。誰が見るか分からないので個人情報を記載していいのか迷うところだが、ちょっと気の利いたメッセージを表示するように設定しておくと、親切な人が「しょうがない。届けてやろう」という気になってくれるかもしれない。ただし、メッセージは英字のみの対応だ。
追加ライセンスは1年間で1490円
VAIO Duo 11に付属しているIATSのライセンスは、90日間の限定版だ。さらに利用し続ける場合、追加ライセンスを購入する必要があるが、1年間で1490円(割引価格)と意外に安い。1カ月あたり120円ちょっと、1日あたり4円程度という計算だ。
IATSも万能ではない。前述したようなサービスの限界は認識しておく必要があるが、かなりの安心感を提供してくれることは間違いない。このくらいの価格であれば、安心料として十分納得できるはずだ。「転ばぬ先の杖」として、検討する価値は十分にある。
・→VAIO Duo 11ロードテスト(6):静けさって気持ちいい――「VAIO Duo 11」のノイズキャンセリング機能を試す
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