海外プリペイドSIM導入マニュアル──「スイス・チューリッヒLTE 2014年」編:「物価は高いが、プリペSIMは意外と安い」海外定額データ通信(2/2 ページ)
北欧と並んで物価が高いスイス。だがプリペイドSIMについては思ったほど高くはない。LTEサービスも始まったチューリッヒでプリペイドSIMを買ってみた。
OrangeのプリペイドSIMを試す ……テザリングは従量料金なので注意
続いてOrangeのプリペイドSIMカードも試そう。Orangeの店舗はチューリッヒ中央駅付近にあった。こちらは1日データ定額が5スイスフラン(約580円)で、Swisscomよりもやや高額。ただ、プリペイドSIMの単体価格が10スイスフラン(約1160円)と安く、3日ぶんのデータ定額料金が含まれているという。データ通信のみを使う短期滞在であれば、こちらの方が安く済みそうだ。
このプランは「Orange Surf Prepay」というもののようだ。後日同社のWebサイトで確認すると、あれれ「5 days included(5日ぶん入り)」と書いてある。店員が間違えたのかもしれず、もしかすると滞在時に購入したものも5日ぶんのデータ定額利用料が含まれていたのかもしれない。これは帰国後に気がついたので再検証できず……購入時に確認してほしい。
Orange/Orange Surf PrepayのAPN設定 | |
---|---|
APN | click |
ユーザー名 | (なし) |
パスワード | (なし) |
OrangeのプリペイドSIMカードは、端末に入れるとその端末に適したAPNの設定が自動で送られてくる仕様。今回は海外版GALAXY Note 3を使ったのだが、新しい(というか登録されていない)端末での自動送付には対応していないようで、非対応端末だと古い端末のもの(おそらくデフォルトの設定)と認識されてしまう。いろいろ試したとところ、ブラウザでの初期Web画面にて「Configure Internet」→数分後に送られてきた「Configuration message」から「Application:Browser」を選んだ設定をインストールするとようやくインターネットへの接続が可能となった。
このあたりはかなり昔に、WAPの設定をするためによくあった仕組みであるのを思い出したが、最近のスマートフォンで使うことを想定するならば、ひとまず手動でAPN設定するだけですぐに使えるようにしてほしいところである。
では速度はどうだろう。電源投入後は3G接続だったが、しばらくするとアンテナアイコンが「4G」に変わった。ほう、LTEに対応していたのか。これは事前に調べず「どうせ3G対応」と思っていたのでうれしい誤算だった。テザリングを有効にしてPCで速度を計ると、軽く30Mbps越えを記録した。Swisscomのそれより、ネット環境ははるかに快適だ。LTEの使用周波数は1800MHzだった。
……ところが、しばらくするとデータ通信ができなくなった。ブラウザを開くと何やら課金を選ぶ画面のページに転送される。実は、PCでのテザリング利用時は「別課金」となり、定額利用には、30日・500Mバイトまで9スイスフラン(約1043円)か100Mバイトまで3スイスフラン(約347円)か、どちらかのパッケージの購入が必要だったようだ。
つまり、OrangeプリペイドSIMカードのデータ通信はスマートフォン単体ならそのまま5スイスフラン/日の定額性だが、テザリングを有効にした通信は非対象だった。
せっかく快速なLTEが使えるものの、スマートフォンのみでの利用は少し残念。いずれLTE対応Wi-FiルータやUSBモデムとプリペイドSIMのセット販売が始まることを期待しつつ、滞在中はSwisscomの3G接続でノートPCからネットを使っていたのであった。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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