第4世代「ThinkPad X1 Carbon」の改善点を第3世代ユーザーが確かめる:X1 Carbon(第4世代)ロードテスト第1回(2/2 ページ)
現在、第3世代の「ThinkPad X1 Carbon」を使っている筆者が、2016年に登場した第4世代を数カ月間に渡りレビューすることになった。まずは、新世代の「改善点」を見ていこう。
第3世代ユーザーならきっと分かる(はず)の改善点
第4世代X1 Carbonは、スペック面以外にも改善点が多い。“パッと見”で気付く点もあれば、よく見ないと分からない点もある。主立ったところを紹介していこう。
改善1:USB 3.0ポートが3つになった
第3世代では、本体の左右に1つずつUSB 3.0ポートが付いている。筆者の場合、左側のポートには常に通信用のスマートフォンかルーターを付けている。一方、右側のポートには、写真データを吸い上げるためにSDカードリーダーを付けていることが多い。光学ドライブなど、他のUSBデバイスを付ける場合は、これらをいったん取り外すか、ハブを使わないといけない。取り外すのは意外と面倒で、ハブを使うと動作が安定しないUSBデバイスもある。
「せめて、USBポートが3つあれば抜き挿しの頻度が大幅に減るのになぁ……」と思っていたところ、第4世代では本体右側のUSB 3.0ポートが2つとなり、合計で3個となった。筆者と同じことを考えている人が少なくなかったのかもしれない。
改善2:(microだけど)SDスロットが付いた
初代のX1 CarbonではフルサイズのSDスロットが付いていた。しかし、第2・第3世代のX1 Carbonでは「USBポート利用禁止・有線LAN接続必須」な企業での利用シーンを優先して、変換ケーブル必須ながら「基板直付け」のEthernetポートを搭載した結果、SDスロットを搭載することができなかった。しかし、デジタルカメラの画像を多く取り扱う編集記者である筆者としては、先述の通りSDスロットがないことによる苦労の方が大きかった。
第4世代では、Ethernetポートを維持しつつ(OneLink+ポートに内包)、SDスロットの復活に成功している。ただし、フルサイズではなく、microサイズのスロットだ。microSDでも、USBポートを消費せずに使えることは、何よりの喜びだ。デジタルカメラで利用する際には、アダプターが必要となるが……。
なお、microSDスロットの横にはmicroSIMスロットが用意されている。これは、海外ではLTEモジュール内蔵モデルもあるからだ。わざわざスマホやルーターを用意しなくて済むという意味で、ずっと日本でのLTEモデル登場を待望している筆者としては、ちょっと残念……。
改善3:TrackPointの押し込む向きが「元通り」に
ThinkPadを使い続ける最大の理由として挙げられる「TrackPoint」。キーボードのホームポジションから手を動かすことなくマウス操作できるポインティングデバイスとして、文字を打つことを生業(なりわい)としている筆者としては非常に重宝している。
しかし、第3世代X1 Carbonを含む2015年モデルのThinkPadでは、左右のクリックボタンが奥側(キーボード側)を押し込むようになってしまい、違和感をずっと拭うことができなかった。2013年モデルまでは手前側(パームレスト・タッチパッド側)を押し込むようになっていたからだ。「2014年モデルの(タッチパッドとクリックボタンが完全に一体化した)クリックパッドよりは押しやすいでしょ?」とよく言われるが、それとはまた違う意味で違和感が拭えなかったのだ。
第4世代X1 Carbonを含む2016年モデルでは、TrackPointの左右クリックボタンが手前側を押し込む仕様に戻った。ものすごく細かい点ではあるが、長年ThinkPadを使っている筆者にとってはありがたい改善点なのだ。
改善4:指紋センサーが「スワイプ」から「タッチ」に
筆者は、ThinkPad(PC)でも携帯電話でも指紋認証センサー付きのモデルを積極的に購入してきた。パスワードを入れずにサッとログイン(ロック解除)できることが非常に便利だからだ。
ThinkPadの指紋センサーは、長い間「スワイプ式」(指をなぞるタイプ)を採用してきた。しかし、携帯電話(スマホ)の指紋センサーは最近「タッチ式」(指を触れるタイプ)が主流になりつつある。一度タッチ式に慣れてしまうと、スワイプ式のなぞる操作ですら億劫(おっくう)になってしまう。
第4世代X1 Carbonでは、従来のスワイプ式に替えて、タッチ式の指紋センサーを搭載している。指をポン、と置くだけで認証できるようになったのだ。これにより利便性が大きく改善した。
このように、第4世代のThinkPad X1 Carbonは、第3世代をより改善した「仕事の道具」となっている。
ただし、改善点が本当に“改善”になっているのかどうかは、実際に使い込まないと分からない。また、使い込むことによって見えない改善点、あるいは更なる課題も見えてくるはず。
これから約3カ月間、第4世代をレビューしつつ、第3世代から買い換えるかどうかを“真剣に”検討する。レビューの行く末を暖かく見守っていただけると幸いだ。
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