空気感で追う新型コロナと秋葉原自作街――アキバの1年を振り返る【前編】:2020年のアキバまとめ前編(2/4 ページ)
2020年の自作PCパーツ街を振り返るとき、新型コロナウイルスの存在を無視することはできない。流通と往来、モノの流行、売り場の雰囲気に至るまで、新型コロナの波に揺り動かされた1年だった。
4~5月:緊急事態宣言による最高レベルの警戒とテレワーク特需
外出自粛ムードの高まりにより、各ショップでは低価格なビジネス用ノートPCやWebカメラ、ヘッドセットなどのリモートオフィス系アイテムが爆発的に売れるようになった。当時、パソコン工房 秋葉原BUYMORE店は「Webカメラは売り切れて、ヘッドセットも品薄に。普段とは違う層のお客さまがたくさん来られている印象です。会社がテレワークに踏み切って急に必要性が生じた、という方が多いのかもしれません」と話していた。
テレワーク需要はその後も伸び続けるが、街の様子は政府による7都府県を対象にした緊急事態宣言の発令でガラリと変わる。中央通りから裏路地に至るまで、「(緊急事態宣言が発令された)4月8日から当面の間、臨時休業」などと書かれた紙を貼ってシャッターを下ろしたままの店舗が多数見られるようになり、人の往来も明らかに減った。
PCパーツショップでは、ドスパラ系列店やオリオスペックなどが店舗営業を当面の間休止した。営業を続けるショップでも、スタッフのマスク着用を推奨から義務に切り替えたり、レジ前カウンターにビニールシートを貼って感染予防を強化したりする動きが目立つようになる。
その緊張感は、5月の大型連休頃にピークを迎えたようだ(「ようだ」としているのは、筆者自身も4月下旬から5月初旬までは取材を自粛していたため)。パソコンSHOPアークは「ゴールデンウィークは、これまでではあり得ないほど人がいませんでした」と語っている。5月中旬もシャッターを閉めたままのショップは多く、往来は少ないまま。ただし、道行く人のマスク着用率は8~9割になり、緊急事態宣言前と比べて個々人の警戒心が明らかに高まっているのを感じた。
予想ができない異常事態は、店舗経営にも大きな打撃を与えている。象徴的なのはツクモ12号店の閉店だ。後に改装オープンするツクモDOS/Vパソコン館の閉店とともに、前日の5月14日に突然発表された。閉店当日となった5月15日に店舗を訪れると、閉店告知のPOPなどはなく、スタッフも当日に知った様子だった。「ウチで扱うジャンク品などが今後どの店舗で扱われるかなど、先のことは全く分からないです」という寂しそうなコメントが印象に残っている。
張り詰めた空気は5月中旬から下旬にかけて少しずつ緩まり、5月25日に緊急事態宣言が解除された頃には、「例年の5~7割程度までには回復」といった声がよく聞かれるようになった。ちなみに、大型連休時は「例年比1割以下」とのコメントもいくつか耳にしている。「ポストコロナ」や「withコロナ」、「ニューノーマル」といった言葉が踊るようになったのもこの頃だ。
次に6月~8月を見ていこう。
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