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“ペンのような操作感”を楽しめるエレコム「SCOPE NODE」をスケッチしたちょっと気になる入力デバイス

ユーザーに身近なキーボードとマウスは、星の数ほど発売されている。その中から、気になる一品を360度チェックする。

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パッケージの内部までこだわったSCOPE NODE

 マウスやキーボード、ゲームパッドといった入力デバイスを豊富にラインアップしているエレコムのマウス製品において、最新モデルとなるのが「SCOPE NODE」(M-SN1ULシリーズ)だ。以前取り上げた「EGG MOUSE」と同様、清潔感あふれる透明なパッケージを採用し、同社のほかのマウス製品とは一線を画している。2009年3月に開催されたCeBIT 2009で展示が行われただけでなく、ドイツ国内でもEGG MOUSEとともに店頭で発売済みで、好評を博しているという。

 独特の形状や凝ったデザインを見る限り、非常に多機能なマウスと思えるが、EGG MOUSEに続いて本製品を担当した同社商品開発部 開発1課 矢代昇吾氏によると、「基本性能を磨き上げました」というのがSCOPE NODEのコンセプトであるという。実際、本製品はマウスとしての機能は標準的な3ボタンであり、ホイールもチルト操作(左右のスクロール)に対応していないシンプルなものだ。そのぶん、使いやすさとデザインにこだわっているのもEGG MOUSEと共通である。

 細かなこだわりはパッケージの内部にまで及んでいる。EGG MOUSEでは箱を揺すると中のマウスが卵のようにプルプルと震えて見えたのに対し、SCOPE NODEではパッケージ内の台座(スポンジ)と2本の手回しネジで固定され、箱を揺すってもぴくりとも動かない。これまで、さまざまなマウス製品を見てきたが、マウス自体がパッケージにネジ留めされている製品は前代未聞といえるのではないだろうか。


SCOPE NODEのパッケージ

透明パッケージは新型EGG MOUSEから始まった

USBコネクタも2色に色分けている


カラーリングは全3色で、写真はブラック

マットシルバー

光沢シルバー

ペンの快適な操作感をマウスにも

 SCOPE NODEの最大の特徴は、レーザーセンサーの位置にある。パッケージに「ペンの操作感」とあるように、右手でペンを握った場合のペン先と同じ位置にレーザーセンサーを配置する。具体的には、左側面にある円形の出っ張り部分にセンサーが内蔵されており、底面から見て、レーザーセンサーが底面中央からやや右上に位置している。この独特な形状は「ペンのような使用感」を実現するべく生まれたもので、センサーの位置から逆算して握るための形をデザインしたのだという。試しにPCに接続してしばらく利用してみたが、センサーの位置による違和感は思った以上に少なく、快適に扱えた。

 カラーバリエーションは3色あり、今回はマットなシルバーとブラックのツートーンカラーの「マットシルバー」(M-SN1ULSV2)を使用した。手にした感覚はやや“プラスチッキー”だが、色合いを含めた質感は上々だ。


つや消しブラックとシルバーのツートーンカラー

左クリックボタンは右クリックボタンより13ミリ長い

底面中央部分にあるのが、パッケージ固定用のねじ穴だ


レーザーセンサーの位置をこれほど主張しているマウスも珍しい

使用中はレーザーセンサーの位置を示すべく、LEDランプが光る

実際にマウスを握ったところ。指の配置が自然に行える

 サイズは75(幅)×110(奥行き)×38(高さ)ミリで、左クリックボタンが長く、微妙な凹凸のあるボディはやや大きめの成人男性が握る際にちょうどよいサイズ。矢代氏が「単なるデザインで長くなっただけではありません」という左クリックボタンをはじめ、右手の薬指がくぼみにすっぽり収まるなど、違和感なく握れるのは特筆できる。ただ、同社のホームページにあるように、本製品はLサイズのため、手の小さい人には大きすぎると感じるだろう。

 見逃せないのは、アルミ削り出しのビックホイールだ。周囲にラバーを巻いたホイールの直径は27ミリ(アルミホイール自体は23ミリ)あり、指になじみやすく、回転させた際のカリカリとした感覚も心地よい。分解能は1600cpi(カウント/インチ)で素早い動作も可能だが、専用ドライバなどは付属せず、速度調整はOS(Windowsはマウスのプロパティ、Mac OS Xはシステム環境設定のキーボードとマウス)で設定する。

直線部分がほとんど見られない、柔らかいフォルムが目を引く。ドイツでの展開を視野に入れてデザインされたという。背面にエレコムのロゴがある


重量バランスも良好で、後部に5グラム×3の重りが内蔵されている。分解作業は必要だが、重量バランスの調整も可能だ

直径27ミリのアルミ削り出しホイール。厚手のラバーが巻かれているので安定した操作が行える

レーザーセンサーの上部に5グラムの重りとLEDランプがある。なお、分解するとメーカーのサポートは受けられなくなるので注意してほしい

 見た目のゴージャスさと、単機能3ボタンレーザーマウスというギャップがほほ笑ましいSCOPE NODEだが、基本性能を磨き上げたというコンセプトを忠実に守っているのは好印象だ。実売価格は4980円前後と有線の単機能マウスとしては安くはないが、この使用感は体験する価値がある。6月にはワイヤレスモデルの発売も検討中とのことで、今後のバリエーション展開も気になるところだ。

PC USER編集部Tのインプレッション

 今まで数多くのマウスを使い倒してきた百戦錬磨のつわものなら、たいていの新製品は写真を見ただけで使用感の察しがつくかもしれない。ただ、このSCOPE NODEばかりは、写真から使用感がまったく想像できなかったのではないだろうか? 「ペンの使用感に基づいた形」という開発コンセプトも、できあがった特異なボディデザインも、いわゆる普通のマウスとは違っているからだ。

 さて、気になる実際の使い心地だが、良くも悪くも“普通にスイスイ使える”印象で、革新的な何かを期待していると、少々拍子抜けしてしまう。確かに使いやすいのだが、ペンの使用感を模して左に寄せたセンサの効能がイマイチ分かりにくいのだ。そもそも、センサの位置を変えたところで、マウスとペンの握り方は大きく違う。ペンの使用感にこだわるならば、いっそペン先をつまんで操作するような形状、つまりマウスとペンを融合したようなデザインに仕上げたほうが直感的に使えるのではないか、という気がした。

 とはいえ、SCOPE NODEの洗練されたデザインには所有欲をくすぐられるし、開発コンセプト自体には説得力がある。この思想を今後突き詰めていけば、何か画期的なポインティングデバイスが誕生する日が来るかもしれない。


PC USER編集部Hのインプレッション

 パッと見は、かつて同社がリリースした士郎正宗マウスを想起させるが、ベクトルは大きく異なる。マウスをパッケージにネジ留めしたり、レーザーセンサーの位置を示すべくLEDランプを内蔵したりと、“無駄なこだわり”も見逃せないところだ。このマウスは能書きうんぬんより、まずは実物を握って確かめるのをお勧めする。個人的には、このスッと握れる感触は“アリ”だ。無線モデルの発売も予定されているようだが、Bluetooth内蔵や左利き用、レーザーセンサーの上部に指紋センサーを内蔵したモデルなど、将来の展開に期待が持てる製品といえるだろう。


PC USER編集部Oのインプレッション

 シンプルなレーザーマウスとして完成度は高く、左右ボタンのクリック感やホイールのカリカリという感触が心地よい。親指側に張り出したセンサー部もホールドのしやすさに一役買っている。ただ、マウスがやや大きめなので、マウスの背全体に手のひらをそえた“かぶせ持ち”だと、指のつけ根にデザイン上の突起部分が引っかかって気になる人はいるかもしれない。「ペンのような使用感」を実現したというセンサーの位置については、残念ながらそのメリットがよく分からなかった。



SCOPE NODE(M-SN1UL)シリーズの主なスペック
読み取り方式 レーザー
分解能 1600カウント
ボタン数 3ボタン(ホイール含む)
カラーバリエーション ブラック(M-SN1ULBK)、光沢シルバー(M-SN1ULSV1)、マットシルバー(M-SN1ULSV2
インタフェース USB
ケーブル長 約151センチ(実測値)
本体サイズ 75(幅)×110(奥行き)×38(高さ)ミリ
重量(実測値) 約124グラム(ケーブル含む)
対応OS Windows Vista(SP1)/XP(SP2以降)、Mac OS X(10.5以降)
付属品 マニュアル
実売価格 4980円前後

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