インテル筑波本社で夏期講習を受けてきた(ただしテストなし)(2/2 ページ)
インテルは8月20日に、筑波本社において最新技術を“おさらい”する報道関係者向けのセミナーとラボの見学ツアーを行った。
PCをなくしたら、隠ぺいせずに即報告即ロック
プラットフォームレベルのバリデーションについて解説したのはインテル技術本部アプリケーション・スペシャリストの羽切崇氏だ。
インテルにおけるプラットフォームの構成の定義では、「ハードウェア」、「ファームウェア」(BIOSを含む)、「ソフトウェア」(OS、ドライバ、アプリケーションなど)といった3つのレイヤーに分けられ、それぞれのレイアーにCPUやチップセット、メモリ、BIOS、ドライバ、アプリケーションといった多岐にわたる要素が含まれるため、その組み合わせのパターンは膨大な数になるという。
それだけに、それぞれの組み合わせの検証作業とサポートは重要になってくるが、インテルでは、PCメーカーの開発作業の初期段階において、プラットフォーム技術情報と新しく開発したエンジニアリングサンプル、もしくは、ドライバやファームウェアのαバージョンを提供し、PCメーカーで試作して得られたフィードバックを逐次反映しながら、それぞれのバーションをクオリフィケーションサンプルから量産品へ、またはβバージョンから量産バージョンへと上げていきながら品質を向上させていくことになる。
インテルのPlatform Validationでは、こうした開発段階において、プラットフォーム構成要素の多岐にわたる組み合わせで発生する動作問題などに内在するリスクを減らすために、検証作業を行っているという。現在海外にPlatform Validationの拠点があるが、「優秀なサプライヤーがいる」(羽切氏)日本でも同様なチームを設立するべく準備を進めているという。具体的なスケジュールはまだ確定していないが、できれば来年(2010年)までには立ち上げたいとインテルは考えているそうだ。
インテルがvProテクノロジーで導入しているインテル アクティブ・マネジメント・テクノロジー(Intel AMT)では、検出、修復、保護といった3つの機能をリモートで制御できるが、その専用エンジンとして「インテル マネージメント・エンジン」(Intel ME)が、Intel AMT対応をうたっているチップセットに実装されている。CPU、OSといったシステムから独立して動作するIntel MEのおかげで、Intel AMTはOSがクラッシュした状態や電源がオフになっているPCでも、システム管理用のマシンからクライアントPCのステータス取得や修復作業が行えるが、この仕組みを利用して、紛失、または、盗難されたPCを保護する機能が「Intel Anti-Theft Technology」(Intel AT)だ。
これは、IDF 2008で紹介された機能だが(Nehalem世代のモバイルプラットフォーム「Capella」が動いたっ!を参照のこと)、ユーザーがPCの紛失や盗難に気が付いて、システム管理者に報告した時点、または、定期的な認証に応答しなくなって盗難されたと自動で判定した時点(認証の周期は設定可能)で、リモート操作によって問題のPCをシャットダウンして起動できなくしてしまうほか、問題のPCが戻ってきた場合にはロックの解除も行う。
なお、Intel ATが実装されるIntel MEはバッテリー動作時でスタンバイモードや休止状態、もしくは電源オフになっていると動作しないため、このような状態にあるPCではIntel ATが有効にならない。しかし、インテルでは、危険なのはPCが起動していて内部のデータにアクセスできる状態で、この状態にあればIntel ATでロックをかけられるので問題ないと説明している。
関係者以外立ち入り禁止、撮影不可のラボエリア
筑波本社で行われたセミナーでは、ラボの見学も行われた。機密情報を扱っているエリアなので、撮影は禁止であったが(ここで掲載した写真はインテル広報が撮影して提供したものだ)、動作音の測定が行われる無音室や、Ultra Mobileプラットフォームのデバックボード、マザーボードの挙動を検証する作業で用いられる測定ツール用“ダミーCPU”などが紹介された。
無音室は、静音化が進んだ現在のPCで発生する動作音の測定で必須で、室内の環境音は5dBに抑えられ、動作音は15dBから測定可能とされている。PCから発生する音は、ちょうどユーザーの上半身を模したバイノーラルマイクと、PCの背面に半円状に配置したマイクで測定され、音圧のほかにファンなどから発する不快音の分析では音域特性も解析するという。
測定ツールでは、冷却機構の検証で使う「TDP相当の電力で動くヒーターを仕込んだ」CPUパッケージや、CPUソケットに差して電流を自由に設定してマザーボードのレギュレータの検証を行うタワー状のダミーCPUなどが紹介された。ダミーCPUは、米国インテルで作成して世界中のOEMに渡しているという。
関連記事
- 「Centrino」はどこに飛んでいく
インテルが6月の定例記者説明会を行い、LynfieldやIntel P55 Express、超薄型ノートPCの取り組みを紹介した。また、Centrinoの“行く末”も聞いた - 「32ナノ」と「WiMAX」でインテルは09年もイノベーションを加速する
インテルは3月3日、報道関係者向けの定例ミーティングを開催し、2009年に同社が注力する分野やコンシューマーPC市場における取り組みを紹介した。 - 「Tick-Tockは正確に時を刻んでいる」──インテルは2009年も研究開発を惜しまない
インテルは、1月16日に2008年の業績と2009年における事業方針にかんする説明会を行った。会場では“Mobiln”MIDやAtom搭載テレビのデモも紹介された。 - 悪ければ悪いほどインテルは元気になる──吉田社長、2008年を総括する
インテルは12月9日に定例の記者会見を行い、同社代表取締役社長の吉田和正氏が新製品の発表が相次いだ2008年を振り返った。 - インテル、「豪快で繊細なCore i7」の実力をアピール
IDFにベンチマークテストに深夜販売と、「正式発表がまだなんて信じられない」ほど強烈な印象を与えているCore i7。本日、ようやく発表会が行われた。 - 第3世代vProはリモートと仮想化がテーマ――インテル発表会
インテルがビジネス向けデスクトップPCの新プラットフォーム「第3世代vProテクノロジー」の発表会を開催。多数のモデルが展示された。 - コンシューマーで重要なのはBlu-ray──インテル、Centrino 2のコンセプトをアピール
Centrino 2の製品発表会で特に強調されていたのは、意外にも「Blu-ray」というキーワードだった。「Montevina SFF」の概要と併せて紹介しよう。 - 「2008年のモバイルはMIDとNetbookとCentrino 2で」──インテル定例記者会見
4月9日に行われた定例記者会見では、先日行われたIDF上海のダイジェストが、特にモバイルプラットフォームを中心に紹介された。 - インテルは2008年も「革新」
インテルが年頭記者会見を行い「2008年にインテルが成すべきこと」を披露。会場ではCESに登場した「Menlow」「Canmore」、そして、その先をいく「Moorstown」が展示された。 - インテルが選んだ2007年10大ニュース
恒例行事が目白押しの師走がやってきた。1年を振り返るこの時期、インテルが選んだ2007年のハイライトはちょっと意外な話題だった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.