「32ナノ」と「WiMAX」でインテルは09年もイノベーションを加速する
インテルは3月3日、報道関係者向けの定例ミーティングを開催し、2009年に同社が注力する分野やコンシューマーPC市場における取り組みを紹介した。
2009年も“Tick-Tock”は継続
インテル代表取締役社長の吉田和正氏による事業説明会は、2009年では今回が最初になる(年頭の説明会は米国出張中で欠席していた)。吉田氏はまずはじめに、「テクノロジーを絶えず進化させていく」ことを示す、おなじみの“Tick-Tock開発モデル”のスライドを表示し、「新しい製造プロセスとアーキテクチャの開発・投入を繰り返し行っていくTick-Tockの開発モデルは今後も力強く継続する。ムーアの法則は健在だ」と述べ、次世代技術の開発が順調であることをアピールした。また、2009年の中心となるテクノロジーの進化として3つのトピックを挙げた。
まず1つめが、新たに稼働予定の「32ナノプロセス製造工場」の紹介。現在、同社の32ナノプロセスルールに対応した製造は、オレゴンのD1Dで行っているが、新たに70億ドル規模の投資を行い、2009年にD1C(オレゴン)、続く2010年と2011年にはFab 32(アリゾナ)、Fab 11X(ニューメキシコ)がそれぞれ稼働し、2009年以降は量産体制に入る。吉田氏は「進化のスピードを止めないで新たな付加価値を創造していく。それがインテルのイノベーションの源泉だ」と述べ、次世代製造技術に積極的に投資を行っていく方針を示した。
2つめは2009年から2010年までの新しいロードマップの説明だ。現在の最新CPUは2008年11月に登場したハイエンドデスクトップPC向けの「Core i7」だが、2009年はこのNehalem世代のコアがそれぞれ、メインストリームデスクトップPCやノートブックPCといったボリュームゾーンにも展開されていく。また、Nehalemを32ナノに移行した製品もロードマップに追加された。
WiMAXでモバイル環境の革新を続ける
3つめがモバイルWiMAXサービスへの取り組みだ。モバイルWiMAXは、下り最大40Mbps/上り最大10Mbps(理論値)で通信可能な無線技術で、1つの基地局が最大半径3キロまでのエリアをカバーするため、移動中でも高速なモバイル通信ができるという特徴を持つ。日本国内では2月26日に、UQコミュニケーションズが試験サービスを開始した。
吉田氏は、無線LAN機能の標準搭載をめざした最初のCentrinoを振り返り、「いまではほぼすべてのノートPCに無線機能がデフォルトで搭載されている」として、Centrinoプラットフォームが無線LANの普及に大きく貢献したことをアピールしつつ、モバイルWiMAXの広い帯域と通信エリアという特徴を挙げ、「(モバイルWiMAXは)無線LANと3Gのギャップを埋める次世代技術。Centrino 2に標準でついてくるようになり、それが2009年の後半から投入される。PCメーカーをはじめとする業界のみなさんと協力して、PCだけでなく組み込みなどさまざまな分野でも推進していきたい」と普及への意欲を見せた。また、実際にWiMAXの基地局をインテル社内に設置して、営業部門の社員200名が利用を開始し、ユーザーの立場から情報を発信していく取り組みを紹介した。
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