Kindleの街でiPadに出会った(2/2 ページ)
Amazon.comの本社がある米シアトルでもiPadは販売された。“アウェーの街”でApple Storeに人々は集うのか? ひょっとしてAmazon.comが何かを仕掛けるのか?
“普通の人々”が学ぶiPad
iPadの発売以降、Apple Storeではイースターのため店舗を閉めていた日曜日を除く毎日、購入者を対象としたワークショップを開催している。参加するためには事前にオンラインサインアップが必要だったが、ワークショップが始まる夕方5時に会場へ行ってみると、特に名前をチェックすることもなく参加できたりする。
月曜夕方のワークショップに参加したのは、筆者を含めて5名ほど。筆者以外は高齢者だっただけでなく、彼らのすべてがiPhoneやiPod touchを使ったこともないという。タッチスクリーン式のデバイスを使うのが初めてだった人が多かったこともあり、ワークショップは基本的なタッチスクリーンの使い方を覚えることから始まった。さらに画面ローテーションの使い方を学んでから、ようやく設定画面と個々のアプリケーションの使い方にたどり着く。
ワークショップでは、iPadで強化されたグラフィックス機能や、iPadで利用できるiBooks、フォトフレーム機能についても時間をかけてレクチャーしてくれる。ビデオ機能で筆者が特に注目したのがNetflixを利用できるアプリケーションだ。Netflixとは米国で人気のオンラインレンタルビデオサービスで、愛用している米国在住のユーザーも多い。iPadに無料のビューアーアプリケーションをダウンロードすれば、Netflixで提供しているストリーミング対応コンテンツをiPadで見られるようになる。iPadといっしょに発表されて注目を集めたiBooksでは、図書館の書棚を模したユーザーインタフェースや実際にページをめくるようなアニメーションに参加している“アップル初心者”は注目していた。
iPadは“第三の市場”を掘り起こすか
ワークショップを終えて、店内を見回して気付いたことがある。ガジェット好きと思しき若者に混じって、多くの高齢者や子どもたちがiPadにかなり興味を示していることだ。ワークショップに参加していた老紳士は、障害でよく動かない指でiPadのタッチスクリーンを巧みに操作し、子どもたちはiPadの展示台でゲームに夢中だ。
彼らにとって、タッチタイプができるフルサイズキーボードを備えたノートPCより、画面を数回タッチするだけで済むiPadが使いやすいだろう。携帯電話でメールを打つ方法を覚えたけれど、PCはおろか、ワープロ専用機も使ったことがなく、キーボードに慣れていないからPCを敬遠している人でも、iPadなら使いこなせるかもしれない。文字の大きさを指の動き1つで自由に変えられるのも高齢者には便利だ。
iPadは、これまでPCとは無縁だった“第三の市場”を掘り起こす可能性を秘めている。スティーブ・ジョブズ氏が語る「ユーザーがデバイスに歩み寄る必要はない。デバイスがユーザーに歩み寄るのだ」には、このような光景も含まれていたのかもしれない。
関連記事
- 注目の「iBooks」から「iWork」まで、「iPad」をさくっと使ってみた
4月3日に米国で入手したiPadを早速使ってみた。まずはセットアップ方法の詳細から、注目アプリの「iBooks」や「iWork」を紹介していこう。 - 写真で解説する「iPad」と同時発売のアクセサリ
4月3日に米国で購入した「iPad」を持ち帰り早速開封した。同時発売のアクセサリ群とともに写真で紹介しよう。 - 行列に並んで「iPad」を買ってきました
「買ってきました」シリーズの最新作は米国で4月3日より販売が始まった「iPad」だ。今回は第1弾の「初代iPhone」、第2弾の「Google Nexus One」に続き、このiPad購入までのエピソードを紹介する。 - iPadは本当に“安い”のか?――Appleスペシャルイベントを振り返る
ここまで写真や動画で速報してきた「iPad」だが、現地リポートのまとめとして Appleのスペシャルイベントを詳しく振り返りながら、改めてiPadが登場した意味を考察していこう。 - ぼくらは“未完成”の「iPad」に期待しすぎていたのだろうか
現地リポートまとめの後編では、iPadが登場した意味やそのインパクト、これからの展開について考える。iPadは出版業界の救世主になれるのか? - iPadは“でかいiPod touch”なのか、あるいは……
さまざまな憶測を呼んだAppleの「iPad」が、ついに発表された。この“薄い板” を前にして、まず筆者が連想したものは……。 - ぬるぬる動くぜ「iPad」、展示ブースから動画でチェック!
Appleがスペシャルイベントで発表したタブレット端末の「iPad」。写真による速報に続いて、気になる実際の動作を動画で紹介していく。 - Appleの「iPad」を展示ブースでねっとりと眺める
1月27日(現地時間)にサンフランシスコで行われたAppleのスペシャルイベントでは、ウワサのタブレット製品「iPad」が登場した。現地の実機展示ブースから写真で紹介していこう。 - Appleのタブレット端末は「iPad」――9.7型IPSパネル搭載で Wi-Fi/3G対応の6モデル
Appleが9.7型液晶を搭載するマルチタッチ対応デバイス「iPad」を発表した。ウワサされていた通りの製品だが、価格は予想を下回る499ドルから。 - 「iPad」から夢想する“次期iPhone”の姿
Appleが1月27日に発表したタブレット型の新デバイス「iPad」。日本での販売方法など、まだ分からないことがいろいろあるが、現時点で分かっている情報を基に、あれこれと勝手に想像してみた。 - タブレット? iPhone OS 4.0? iLife 2010?――気になるウワサをひとまとめ
さまざまな新製品のウワサが飛び交うApple主催のスペシャルイベントがいよいよ開催される。現地の様子を交えながら気になる話題をまとめてみた。 - Macworld Conference & Expo 2009:アップル創業者が黒いタブレットMacを発表
Macworld Expoの初日、展示会場はアップル創業者のスティーブによる新しいタブレット型Macの発表で沸き立った。日本語対応の手書き文字認識も搭載。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.