第3回 「Pocket WiFi S」のバッテリー動作時間を検証:SIMロックフリーの「Pocket WiFi S」発売前レビュー(2/2 ページ)
重量105グラムの小型軽量ボディながら、テザリング機能とAndroid 2.2搭載スマートフォンとしての機能が利用できる「Pocket WiFi S」。今回は、どのくらいバッテリー動作するか、そして導入コストについて考察する。
端末価格がかなり安価──そして、SIMロックフリー端末でできるようになること
既報の通り、Pocket WiFi SはOSにAndroid 2.2を採用するAndroidスマートフォンだが、同社は今までのPocket WiFi(D25HW)と同様にポータブル無線LANルータ(テザリング/3G回線を無線LANで共有できる)機能に加え、通話やメール、カメラ、アプリケーション追加機能、Webサイト閲覧といったスマートフォンの機能“も”使える──ユーザー認知度の高いPocket WiFiブランドを用いた“Pocket WiFiの進化版”とする考えで展開する。
これについて利用者がどう受け止めるかは自由だが、ごちゃごちゃとAndroidスマートフォンの仕様を言うより、具体的にこれができますと分かりやすく商品を訴求するイー・モバイルの考えは大いに理解できる。
本体価格も、いろいろできるSIMロックフリーのAndroidスマートフォンとしてはかなり安い。Pocket WiFi Sは、2年契約でないベーシック一括払い時で1万9800円(月額料金は、例えばスマートプラン+にねん得割契約で定額4280円/月)、2年契約のシンプルにねん+アシスト400を利用すると頭金240円(同4980円/月)と契約事務手数料の2835円で購入できる。
料金プランは定額のスマートプランか、二段階定額のスマートプランライト(ベーシック+にねん得割契約で280円〜4680円から)を選択する。利用シーンはそれほど多くないと思われるが、Pocket WiFiと異なり、通話もきちんと行える(18.9円/30秒、SMSは2.1円/通)。参考までに、DC-HSDPA対応のUSBモデム「D41HW」のベーシック一括払い価格は4万1580円(2010年12月現在)である。
そんな中、日本通信もベース機が同じでほぼ同様の機能が利用できる「IDEOS」を発売する。10日間通信権付きのb-mobileSIM U300(SIMカード)が付属して2万6800円と、価格帯もPocket WiFi Sに近い。契約の必要なく本体のみ購入でき、プリペイドSIMカードを使用するスタイルである点、Huawei日本法人のファーウェイ・ジャパンを通して発売するものでなく、サポート体制が違う点などが異なる。
さて、イー・モバイルの3G通信は、サービスエリアこそ広大なドコモのFOMA網にかなわないが、電波が入る場所なら実測で下り2Mbps以上とかなり高速に通信できる(今回は時間の都合でさまざまな場所で使えなかったので未検証だが、最大42MbpsのDC-HSDPAサービスの展開とあわせて、既存の21M/7.2Mbpsサービスの実効速度向上や不感エリアを解消させているという)。
対して日本通信のb-mobileSIM U300は上限300kbpsのため、PCでガンガンデータ通信を使う場合や、使用場所と時間帯によってやや遅いと感じるシーンはあるが、スマートフォンで移動中の断続的なメールやTwitterチェックといった利用ならほとんどストレスなく使える。そして月額換算の利用料金が2483円ほど(1年版・6カ月版の場合)と安価で、SIMカード利用権の単体購入もできる。
そしてNTTドコモの定額データプランは、月額料金はやや高いものの、サービスエリアが広く、速度も総じて高速だ。このほか、それぞれでサービスや利用プランによって通信速度やポート・利用可能アプリケーション制限などを施す場合もある。
このように広エリア・高速・安価・制限なしを実現するパーフェクトな3Gデータ通信サービスは国内にはまだない。ただ、いずれかの特徴をメリットとしてとらえ、好みの端末と通信サービスを自身で自由に選べるようになる点は、SIMロックフリー端末の導入でようやく享受できるようになる。
ともあれ、Pocket WiFi SはPocket WiFiの進化版として「これができればもっといいのに」の多くの部分を解消し、実現したことが喜ばしい。一括価格で2万円ほどならば、普段はデータ通信用のPCやスマートフォン、タブレット機器、電子書籍機器用に使うポータブル無線LANルータとして、場合によりいろいろ遊べるサブ用途/複数台目のAndroidスマートフォン、あるいは海外利用時のケータイとして、1台導入したいと思える。発売が待ち遠しい魅力ある機器だ。
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