Windows 8がタイルUIを採用する意図、そして“面倒な制約”とは──ここまで判明、「Windows 8」詳報:COMPUTEX TAIPEI 2011(3/4 ページ)
しだいに判明してきた「次期Windows」の中身。COMPUTEX TAIPEI開催中の台北でMicrosoftが開催したパートナー向けイベントで明かされた、Windows 8の“詳細”をリポートする。
Windows on ARMで示される「統一的なユーザー体験」とは
さて、ここからはフォームファクタごとの差異とWindows on ARMについて触れていこう。
アンギウロ氏は「Windows 8は既存のWindows環境の延長線上にあり、デスクトップPCからノートPC、タブレットデバイスまで、すべてのフォームファクタをカバーし、統一した使い勝手を提供する」と説明している。デモでの例はタッチ操作に対応したタブレットデバイスだったが、タッチパネルを備えないノートPCや、既存のソニー製タッチパネル搭載液晶一体型デスクトップPCでも、Windows 8が問題なく動作することが示された。足りない操作はトラックパッドのジェスチャー操作で補完するなど、極力従来のWindowsマシンとしても使える工夫もなされているようだ。
この統一的なユーザー体験とは、もちろんWindows on ARMにもいえる。x86系プロセッサとARMプロセッサにバイナリレベルでのアプリケーション互換がないことは分かると思う。では、なぜわざわざARMを使うのか。アンギウロ氏は「ARMのSoCはこの超小型サイズだ。Snapdragon MSM8660は2つのプロセッサコアによりそもそもパワフルなだけでなく、3G・新世代(4G)の通信機能も搭載しながらこのサイズを実現する。これにより、よりスリムで軽量なフォームファクタを構築できるためだ」と説明する。
だが、前述のように「見た目だけが一緒のWindows」では仕方ない。同氏はデモストレーションで、x86プロセッサ搭載のマシンで動作するWindows 8と同様の操作感やWebレンダリング速度、動画再生パフォーマンスが実現できることを示したうえで、USB機器の接続やファイルの移動・複製、プリンタからの印刷など、同様の機能を実現できることを強調した。例えばUSB接続は、Androidがバージョン3.1で正式サポートするが、周辺機器の制御などにいくつかの制限があるため既存のUSB周辺機器がそのまま使えるわけではない。通常のPCではPC側が“主”で周辺機器側がUSB接続における“従”になるのに対し、Android 3.1ではその逆となるためといった理由が挙げられる。
このほか、今後はWindowsデバイスでもカメラやGPSをはじめ、磁気センサーや加速度センサー、ジャイロスコープといった各種複合センサーを搭載することになり、Windows 8自体がこれをサポートすることになるという。同氏によれば、複数のセンサーをまとめた"Fusion Sensor"というかたちで統一APIから制御できるようにし、各種Webアプリケーションからでもそれにアクセスできるようになるようだ。
また、ハードウェアアクセラレーションの仕組みによりWindows on ARMでも十分な実行速度が得られるという。IE Test Driveのサイトにあるベンチマークテストを実行し、これが通常のデスクトップPCで実行したChromeやSafariなどのほかのブラウザよりも高速動作する様子が示された。同氏は「すべてのWindows 8アプリケーションはハードウェア支援を受けたWebアプリケーションとして動作する」と述べ、今後のWindows 8の目指す方向を示唆している。
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