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コラム

“ARM Windows 8”はPC業界の何を変えるのかBUILD(2/2 ページ)

Microsoftのソフトウェア開発者会議で詳細が明らかになったWindows 8。重要な変更点となる“ARM対応”はPC業界にどのような影響を与えるのか? 本田雅一氏が考察する。

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ARM版Windowsはx86の領域は侵さない?

 Windows 8がユーザーに受け入れられれば、MicrosoftとしてはiOS、Androidからの侵食を防げるかもしれない。ではWindowsがARMに載るようになったとき、Intelアーキテクチャは、どのような影響を受けるのだろうか。

 ARM版Windows 8にもデスクトップは存在する。この中で動くWin32アプリケーションはあるのか? といえば、Internet ExplorerなどWindows標準のアプリケーションや、CESでデモを行ったOfficeが登場するとしても、用途は限定的と考えるのが妥当だ(企業が自社向けに開発しているアプリケーションを動かすために、ARM版でリコンパイルして利用するといった用途はあるだろう)。

Internet Explorer 10はMetroスタイルでも利用できる

 実際にARM版でのデスクトップアプリケーションの動作を見せてもらったが、決して快適とは言えない。将来、一部のソフトウェアがARMに対応するかもしれないが、例えばPhotoshopなどが快適に動作するかというと、あまり現実的な話ではないだろう。今後のトレンドを考えれば、ARMはMetroスタイル中心で使われるものだと割り切って考えるべきだろう。

 Windows 8におけるデスクトップ環境(一部のMicrosoft幹部は、これを“Windows 7”と呼んでいた)と、Metroスタイルの実行環境は、そもそもの利用シナリオが異なる。このため、ARM版がx86(x64)版のWindows 8を次々に侵食していくことはないと、少なくとも私は思う。Windows 8の看板を掲げたとしても、ARM版とx86版は全く別のものだ。

 しかしx86版の中でも、システム全体を1チップに収めるAtomプロセッサはどうだろうか? 次世代Atomが、将来のARM系システムチップに電力効率やワイヤレス機能との統合で、よりよい位置に来れるだろうか? そう考えると、WindowsのARMサポートは、IntelがかねてよりAtom投入で目指していた小型モバイルデバイス進出を阻むものになるだろう。

 もともと、AtomはIntelが想定していたほどにはx86のビジネスを広げていない。Atom投入当初よりIntelは、PC以外の分野でのAtomの利点について、インターネット技術との親和性(プラグインやブラウザなど、最新のインターネットトレンドへの追従性)で有利だとの説明に終始していた。

 ところがWindows 8の世代になれば、ARMの上でWindowsが動くのだから、その利点は失われる。そもそも、Metroスタイルアプリケーションの時代になれば、ブラウザプラグインへの依存度も下がる。IntelがどこまでAtomに力を入れていくかは、Intel Developers Forumに行っていない筆者には推察できない。しかし、Windows 8の動向がAtomの将来計画を決める大きなファクターであることは間違いない。

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