“新しいiPad”が追求したスペック以上の魅力:本田雅一のクロスオーバーデジタル(2/2 ページ)
第3世代となる“新しいiPad”は、想像される範囲内のハードウェア変更にとどまったと言える。しかし、スペックだけを見ても、新iPadの本当の実力は見えてこない。
商品の作りかたを考え直すチャンス
トータルの体験を演出するという考えかたは、他業種を含めて見回すと、決して珍しいものではない。しかし、コンピュータ製品においては、そこが無視される状況が長かったためか、きちんと商品パッケージ全体を見直すことがされてこなかったように思う。
例えば2011年に発売されたソニーの「Sony Tablet」は、やはりユーザー体験ベースに、タッチパネルのデバイスやドライバを含め、操作性にかなり配慮した作りをしていたが、OSのコア部分には手出しができないし、アプリケーションの一体化も不十分だった。
要求仕様を満たしただけのAndroidタブレットならなおさらだ。同じバージョンのAndroidを採用する、同等スペックのスマートフォンでも、使い勝手や消費電力に違いがあることからも分かる通り、この手の商品は仕上げが大切である。
ハードウェアスペックに懸念を抱かせながらも、実装面でしっかりと上質な体験を提供するよう仕込みを行い、高解像度ディスプレイを通して視覚的にすばらしさを訴える。
Androidタブレットのメーカーは、そろそろ「汎用OSを載せてカスタマイズ。ハードウェアはパソコン的に作る」というアプローチを見直さなければ、いつまでもiPadに追いつけないのではないだろうか。
新iPadの“コンピュータ部分”の進歩が限定的だったが故に、アップルとそれ以外の商品作りに対する取り組みかたの違いが、より明確に浮き彫りとなったように思う。
本田雅一のモバイル通信リターンズ
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