薄型軽量×防水防塵ボディで高性能は実現できたか?――「Xperia Tablet Z」:Xperia Tablet Z マニアックス(1)(2/2 ページ)
今回から始まる特集では、「Xperia Tablet Z」をよりディープに検証していく。第1回目のテーマは「パフォーマンス」だ。前モデルの「Xperia Tablet S」をはじめ、「Nexus 10」に「Nexus 7」といった主要なAndroidタブレット、そしてスマートフォンの「Xperia Z」と性能をじっくり比較した。
3Dグラフィックス性能をチェックする
続いて、3Dグラフィックス性能を「3DMark Android Edition」(Futuremark)でテストした。Windows PCではおなじみのテストで3つのテストシークエンスを選べるが、Android版では描画負荷が低い「Ice Storm」のみ実装されている。
テストには2つのプリセットがあり、Ice Storm(標準)ではレンダリング解像度が1280×720ドットとなるが、Ice Storm Extremeでは1920×1080ドットに解像度が向上し、テクスチャ品質やエフェクト処理の負荷も高まる。
結果はまたもXperia Tablet ZとXperia Zがリードした。総合的にはXperia Tablet ZのIce Storm(標準)スコアが1万超え、Ice Storm Extremeスコアが6000超えでトップだ。Xperia Tablet Sと比較した場合、Ice Storm(標準)では約2.51倍、Ice Storm Extremeでは約2.69倍もスコアを伸ばしている。
Xperia Tablet Zはグラフィックスコアの演算性能を示す「Graphics」に加えて、CPUコアの演算性能を示す「Physics」のスコアも高い。Physicsでは、Nexus 10がXperia Zを逆転するケースも見られたが、Xperia Tablet Zには及ばなかった。
フレームレートの結果ではGraphicsテストが2つに分かれているが、「Graphics test 1」が頂点(vertices)演算性能、「Graphics test 2」がピクセル演算性能を測定する。Ice Storm ExtremeのフレームレートではNexus 10も肉薄したが、それでもXperia Tablet Zが勝る結果だった。
Webブラウザベースのベンチマークテストも実行
最後にWebブラウザ系のベンチマークテストとして、「Octane v1」(Google)と「Vellamo Mobile Benchmark 2.2」(Qualcomm)を実行した。OctaneはWebブラウザ上で直接実行できるテストだが、Vellamoは他のベンチマークテストと同様にGoogle Playからアプリのインストールが必要だ。
Octaneは、GoogleのJavaScriptエンジンであるV8を用いたベンチマークスイート「V8 Benchmark Suite」の拡張版だ。V8に5つのベンチマークテストを追加しており、Googleは現実的なWebブラウズのパフォーマンスに即したスコアが得られると説明する。
Qualcommが開発したVellamoは、「HTML5」と「METAL」の2つのメニューで構成されるテストだ。HTML5ではレンダリングやJavaScript、スクロール速度、ページダウンロード、リロードなどブラウザの性能をチェックできる。これには、WebKitのSunSpiderや前述のV8といった定番のJavaScriptベンチマークテストも含む。一方のMETALは、CPUやメモリ、インタフェースなどの性能を評価するもので、QuadrantやAnTuTuに近い。
JavaScriptベンチマークスイートであるOctaneの結果はこれまでと異なり、Nexus 10が他を圧倒した。タブレットで4000に迫る抜群の総合スコアに驚かされる。Xperia Tablet ZのAndroid 4.1.2より新しいバージョンのAndroid 4.2.1を搭載している優位点は多少あるだろうが、2倍以上もの大差だ。Xperia Tablet Zは2番手につけており、現行のタブレットとして不満のないスコアではある(ちなみに、第4世代の「iPad Retinaディスプレイモデル」と同程度のスコア)。Xperia Tablet Sよりは全体的に高速だが、差は大きくない。
一方、VellamoのHTML5テストでは、Xperia Tablet ZとXperia Zが巻き返している。Xperia Tablet Sから約1.77倍スコアを伸ばし、Nexus 10も上回る結果となった。このテストで2000超えのスコアは非常に高いといえる。もっとも、VellamoはQualcommが開発したベンチマークテストなので、同社のSoCを搭載したXperia Tablet ZとXperia Zは、最適化が進んでいるのかもしれない(もちろん、Qualcommは自社に有利な設計はしていないとコメントしている)。
VellamoのMETALでは、再びNexus 10が大きくリードした。QuadrantやAnTuTuのテスト結果からすると意外な傾向だが、メモリ帯域幅の速度テストなどでNexus 10が突出した値を出しており、総合スコアを1000オーバーまで大きく伸ばしている。とはいえ、Xperia Tablet Zの600を超えるスコアもハイレベルだ。Xperia Tablet Sとの比較では、約1.53スコアが高かった。
極限まで減量したボディでも、高いパフォーマンスを確保
以上、Xperia Tablet Zのパフォーマンスを前モデルやライバル機、そして同じSoCを採用するスマートフォンのXperia Zと比較しながら、多角的にテストした。一見同じような性能評価テストでも実際の処理内容によって有利不利が大きく出る場合があり、AndroidデバイスのベンチマークテストはWindows PCほど安定した傾向が得られない点は注意すべきだろう。
とはいえ、Xperia Tablet Zは標準的な複数のベンチマークテストで高水準なスコアを立て続けに出している。10型クラスで最高級の薄型軽量ボディを実現したうえ、サイズでも放熱面でも不利になりがちな防水防塵仕様まで盛り込んでいながら、Androidタブレットとして高い性能を確保できているのは見事だ。
・→Xperia Tablet Z マニアックス(2):密閉された極薄ボディは熱くならないのか?――「Xperia Tablet Z」
関連キーワード
Xperia | Xperia Tablet | Xperia Tablet Z SO-03E | Xperia Tablet Z | Android | タブレット | ベンチマーク | Xperia Z SO-02E | Xperia Z | Xperia Tablet S | 防塵・防滴 | Androidタブレット | Snapdragon | ソニーモバイルコミュニケーションズ | ソニーストア
関連記事
- ソニーストア直販限定モデルも:いよいよ明日発売――「Xperia Tablet Z」Wi-Fiモデルまとめ
最薄部6.9ミリ、重さ495グラム、しかも防水防塵。10.1型Androidタブレット「Xperia Tablet Z」のWi-Fiモデル「SGP312JP/B・W」がついに発売される。 - 液晶ディスプレイ、カメラ、総括編:「Xperia Tablet Z」開発者インタビュー(後編)――超薄型と高画質を両立できた謎に迫る
極薄、軽量、防水、防塵のボディが際立つ「Xperia Tablet Z」だが、液晶ディスプレイやカメラの品質にもこだわり抜いている。相反する要素をいかにして両立したのか? - 商品企画、デザイン、機構設計編:防水防塵の超薄型軽量ボディを解剖する――「Xperia Tablet Z」開発者インタビュー(前編)
短期間で驚くべき進化を遂げた「Xperia Tablet Z」。防水防塵の超薄型軽量ボディをどのように実現したのか? 強度は問題ないのか? 開発陣にじっくり話をうかがった。 - 新旧モデル、ライバル機との比較も:これぞ本命!?――大変身した「Xperia Tablet Z」のWi-Fiモデルを速攻チェック
ソニーのタブレットが劇的に進化した。「Xperia Tablet S」の登場から半年足らずでのフルモデルチェンジも、トレードマークのラップデザインを捨てた超薄型フォルムも驚きだ。生まれ変わった「Xperia Tablet Z」をじっくりと観察しよう。 - 純正アクセサリも同時発売:ソニー、「Xperia Tablet Z」のWi-Fiモデルを4月13日発売
ソニーは10.1型Androidタブレット「Xperia Tablet Z」のWi-Fiモデルを4月13日に発売する。先に発表されたドコモ販売モデル「SO-03E」からLTE/3G機能などを省いた製品だ。 - ドコモ タブレット:500グラムを切る10.1インチ防水タブレット「Xperia Tablet Z SO-03E」
「Xperia Tablet Z」は、Androidスマートフォン「Xperia Z」とデザインのテイストを合わせた10.1インチディスプレイのAndroidタブレット。厚さは6.9ミリととても薄く、10.1インチクラスのタブレットながら重さは495グラムととても軽い。 - 今春日本で発売予定:ソニーモバイル、LTE対応の防水タブレット「Xperia Tablet Z」を発表
ソニーモバイルが、10.1インチのワイドUXGAディスプレイを搭載した防水タブレットを今春、日本で発売する。6.9ミリ、495グラムというスリムで軽量なボディを実現。LTE通信もサポートする。 - 開発者ロングインタビュー後編:「Xperia Tablet S」はAndroidタブレットの限界を超えていく
先代機から薄型軽量になったソニーの9.4型Androidタブレット「Xperia Tablet S」。そのタッチ液晶とオーディオ設計には、スペック表からは分からない独自のこだわりが多数詰まっていた。 - 開発者ロングインタビュー前編:「Xperia Tablet S」の防滴・薄型軽量・長時間駆動はいかに実現したか
ソニーの9.4型Androidタブレット「Xperia Tablet S」は、従来機から薄型化と軽量化を果たしつつ、防滴仕様と長時間駆動も兼ね備えた。そのボディに秘められたソニーならではのこだわりを開発陣にうかがった。 - ソニー、販売一時停止中の「Xperia Tablet S」を11月中旬より販売再開
ソニーは、不具合につき販売を一時停止していたAndroidタブレット「Xperia Tablet S」の販売を11月中旬より順次再開すると発表。購入者への無償点検・修理の受け付けも開始した。 - ソニー、「Xperia Tablet S」販売一時停止 防滴性能に不具合の可能性
ソニーが9月に発売したAndroidタブレット「Xperia Tablet S」の一部製品で、仕様上の防滴性能を満たせない不具合がある可能性があるとして販売を一時停止すると発表した。 - いよいよ明日発売!:「Xperia Tablet S」徹底検証(後編)――“ソニーならでは”の付加価値に迫る
ソニーの第2世代目となるAndroidタブレット「Xperia Tablet S」が2012年9月15日に発売される。発売直前に独自のアプリ、サービス、機器連携をじっくりチェックした。 - ブランド一新、中身はどうだ?:「Xperia Tablet S」徹底検証(前編)――Sony Tabletからの進化を見極める
装いも新たに「Xperia Tablet S」として生まれ変わったソニーのAndroidタブレット。グッと洗練された薄型デザインに防滴仕様、タッチパネルの感度向上、高音質化、そして豊富な純正アクセサリや独自アプリまで、見どころ満載だ。 - 9月15日発売、4万円前後から:ソニー、薄型化・防滴化したAndroidタブレット「Xperia Tablet S」を国内発表
8月末に海外で発表されたソニーの9.4型Androidタブレット「Xperia Tablet S」がついに国内でも登場。豊富な純正アクセサリとともに、9月15日に発売される。 - 動画を再生しながらWeb閲覧が可能に:Android 4.0.3搭載の「Sony Tablet」で“スモールアプリ”を試す
4月下旬にAndroid 4.0.3へのアップデートが実施される「Sony Tablet」。その目玉となる「スモールアプリ」は、2つのアプリを同時に操れる便利な新機能だ。 - スモールアプリやBDレコーダー連携も:ソニー、「Sony Tablet」のAndroid 4.0.3アップデートを4月下旬に提供
ソニーは4月下旬、「Sony Tablet」用の「Android 4.0.3を含むシステムソフトウェアアップデート」を無償提供する。マルチタスクを利用したスモールアプリや、同社製BDレコーダーとの連携機能が特徴だ。 - “P”発売同時にアップデート:ソニーが「Sony Tablet」向けサービスを拡充――電子書籍/地図情報/Skypeアプリ
「Sony Tablet S(3G+Wi-Fiモデル)」と「Sony Tablet P」の発売日となる10月28日、ソニーは予告していたSony Tablet向けサービスの拡充を行った。 - ドコモ、「Sony Tablet S」「Sony Tablet P」を10月28日に発売
NTTドコモがSony Tablet SおよびPの3G+Wi-Fi対応モデルの発売日を10月28日と発表。10月19日から事前予約を受け付ける。料金プランはデータ通信用の料金プランが利用でき、月額料金の上限を1050円割り引く「FOMAタブレットスタートキャンペーン」も実施する。 - 発売記念・特大レビュー:ソニーらしさはAndroidタブレットでも健在か?――「Sony Tablet S」徹底検証
鳴り物入りで登場した「Sony Tablet」はAndroidタブレットの決定打になるのか? いよいよ本日発売の「S」シリーズ32Gバイト/Wi-Fiモデルをじっくり使ってみた。 - S1は「S」シリーズ、S2は「P」シリーズに:ソニーが“Sony Tablet”の詳細を発表――9月17日より順次発売
2011年4月の発売予告から約5カ月、いよいよ“Sony Tablet”が発売される。ラインアップは9.4型の「S」シリーズと5.5型×2画面構成の「P」シリーズだ。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.