太陽光の余剰電力で「グリーン水素」製造、相馬市で実証運転自然エネルギー

旭化成とIHIは福島県相馬市で、太陽光発電の余剰電力を活用した水素製造の実証運転を開始した。【訂正】

» 2018年05月24日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 旭化成は、福島県相馬市とIHIが2018年4月に開所した「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」内に大型電極を用いたアルカリ水電解設備を設置し、2社共同で再生可能エネルギーを用いた「グリーン水素」製造の試験運転を開始したと発表した。

 同設備は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて開発した世界最大の電極面積を有する大型アルカリ水電解設備を活用しており、引き続きNEDOの助成を受けて同試験運転を行う。最大水電解電力は120KW(キロワット)で、水素製造能力25Nm3/h(ノルマル立方メートル毎時)。

水素製造を行う試験棟と、内部のアルカリ水電解設備 出典:旭化成

 旭化成のこれまでの試験研究では、90%を超える高いエネルギー効率と優れた変動出力応答性を有することを確認済みとしており、試験運転では設備を実際に太陽光発電設備と連携運転させ、実用性を検証する予定だ。試験運転は2020年3月まで行う計画となっている。

 そうまIHIグリーンエネルギーセンターは、IHIと相馬市が共同で開設した、太陽光発電電力の地産地消と地域振興・発展への寄与を目的としたスマートコミュニティ事業の実証施設。5万4000m2(平方メートル)の敷地内に設置した出力1600kWの太陽光発電設備の電力を相馬市下水処理場などで利用する。さらに、余剰電力を水電解水素製造装置に活用する他、電気ボイラー作った蒸気で下水処理場の汚泥を乾燥し減容化・再資源化する実証事業を行っている。

 旭化成は、「クリーンな環境エネルギー社会」の実現を目指し、同設備で得られた知見をもとに、世界最大となる1ユニット10MW(メガワット)級の大型アルカリ水電解システムの実用化に取り組む方針だ。

※初出時にタイトルが「南相馬市」となっていましたが、「相馬市」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

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