企業が注目すべき「太陽光発電の自家消費」、そのメリットとシステム選びのポイントとは?再エネ活用が企業価値につながる時代

再エネを求める企業の動きが加速し、大きな注目を集めはじめている太陽光発電の自家消費。そのコトスだけにとどまらないメリット、そしてその実現を支えるシステム選びのポイントとは、どのようなものなのか。太陽光発電のプロフェッショナルである華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)に聞いた。

» 2021年04月19日 10時00分 公開
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企業の脱炭素化を背景に注目される「太陽光発電の自家消費」

 企業による再生可能エネルギーの活用が本格化してきている。COP21から続く世界的な潮流に加え、日本政府の掲げる“2050年カーボンニュートラル”がそれを後押しする。環境への取り組みは、従来のCSRの枠組みを超え、企業価値や収益に直結する時代になってきた。

 固定価格買取制度(FIT)が2012年にスタートして以来、太陽光発電を中心とした再生可能エネルギーの普及が急速に進んだ。売電収入を目的とする事業者が、これを担ってきたといっていい。しかし、いまや電気を使う大口需要家=企業が、再エネの導入拡大を支える存在になりつつある。自ら再エネ発電設備を所有し、自ら使う“自家消費”が主流になろうとしているのだ。

 太陽光発電製品で日本国内でも大きなシェアを持つ華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)のデジタルパワー事業部で、プロダクト ディレクターを務める秦文(チン・ウェン)氏も、ビジネスの現場において日々そのことを実感しているという。

ファーウェイ・ジャパン デジタルパワー事業部 プロダクト ディレクターの秦文氏

 「弊社への問い合わせも、自家消費に関することが増えています。とくに昨年(2020年)から、この傾向が顕著です。ご存じのように、FIT価格は年々下がり、FIT制度に支えられてきた売電のメリットは減少しています。そして、事業用太陽光に関してはFIT制度そのものが、まもなく終わろうとしています。また仮に、売電を目的に野立ての太陽光発電所を造ろうと思っても、もはや適地は少なくなり、土地の確保が難しいという状況にもあります。

 こうしたなか、自家消費に関心が集まるのは当然のことともいえるでしょう。自家消費にはさまざまな意義が認められ、そのメリットがどんどん大きくなってきているからです。昨年秋に打ち出された “2050年までにカーボンニュートラルを実現する”という政府方針も、自家消費の流れを加速させています。

 各企業それぞれに脱炭素化への取り組みを進められており、地球環境の改善に貢献しようと積極的に動き出されているのを感じます。自家消費は、それを実現する効果的な手法の一つであり、そこにあるさまざまなメリットが、いま多くの企業を惹きつけているのではないでしょうか」

企業価値に直結する自家消費の3大メリット

 自家消費のメリットとは、具体的にはどのようなものなのだろうか。秦氏は、大きく三つに整理する。

 「一つ目は、企業のイメージを高めるとともに、企業の競争力を高めるということです。例えば、事業で使う電力を100%再エネにすることを目標に掲げる国際イニシアチブ『RE100』に加盟することで、金融機関から投資を受ける際に優位な立場に立つことができます。今日ではESG投資といわれるように、企業が環境問題にどこまで配慮しているかが、金融機関の投資判断において重要な評価指標となっているからです。

 中小企業にとっても、太陽光発電設備など再エネの自家消費システム導入は、競争力の強化につながります。RE100加盟企業をはじめ、脱炭素化を目指す大手企業の多くが、自社のサプライチェーンに関わる取引先企業にも再エネの導入を求めはじめているからです。大手企業との取引継続のためにも、再エネが不可欠になろうとしているのです」(秦氏)

 二つ目に挙げるのが、各種の経済的なメリットだ。

 「事業用の電気料金は年々増加する傾向にあり、節電は多くの企業にとって重要なテーマとなっています。自家消費型太陽光発電システムを導入すれば、電力会社から購入する電気を大幅に減らすことができますから、電気代の削減効果も相当なものです。その削減分は、そのまま経営の利益になると考えて良いでしょう。太陽光発電設備のシステム価格は年々下がっていますから、以前に比べ、初期投資の回収にかかる年数も格段に短くなっています」(同氏)。

 また、自家消費型太陽光発電システムの導入は、企業の節税対策にもつながる。特に自家消費に対しては、国も地方自治体もさまざまな導入促進策を打ち出しており、要件を満たせば、補助金や税金免除が適用されることも少なくない。

 最後の三つ目のメリットとして挙げるのが、BCP(事業継続計画)対策における太陽光発電の有用性だ。

 「近年、台風や地震などの自然災害が増え、広域停電が発生することも珍しくなくなりました。停電期間が数週間に及ぶケースもあり、非常用電源の確保は喫緊の課題ともなっています。自家消費システムは、電力系統に依存しない自立分散電源ですから、太陽がある限り電気を使うことができます。経済活動の停止に伴う莫大な損失を回避することができるのです。

 災害時に、その電源を近隣住民に開放すれば、地域社会とのより良好な関係を築くこともできるでしょう。地域貢献のツールとしても、自家消費型太陽光発電システムには、大きなポテンシャルが秘められています」(同氏)

事業用自家消費向けパワコンの選び方

 自家消費型太陽光発電システムを構築するにあたっては、採用する機器の選定が重要になってくる。売電型のシステムと比較した場合、特にパワコンの性能が大きな意味をもつという。自家消費型では、売電型以上に発電制御が重要であり、その制御の中核を担っているのがパワコンだからだ。

 自家消費型のシステムは、電気を使う場所にあることが望ましく、工場や物流倉庫、商業施設などの屋根上が主な設置場所となる。そのため、これまで事業用太陽光で多かった野立てのシステムをそのまま持ってくるわけにはいかない。また、完全自家消費の場合は、電気が余っても電力系統に流すこと(逆潮流)が認められないので、それに対応したシステムでなければならない。

 では、自家消費型太陽光発電システムに求められるパワコンの特性とは――野立てではなく、屋根上ならではの要件とはどのようなものなのか?

 「まず、屋根の上はスペースが限られているので、あまり場所を取らない軽量コンパクトな設計であることが求められます。大きく重いトランスなど、関連機器もできれば置きたくありません。

 一方、屋上には排気ダクトや換気フードなど太陽光を遮るものも多く設置されているので、できるだけ影の影響を受けない発電システムを構築したいところです。そのためには、一部の太陽光パネルに影がかかっても、全体の発電量が落ちないようなソリューションが必要になってきます。

 また、屋上は建物の一部ですから、万が一にも火災を起こしてはなりません。野立ての太陽光発電システムに比べて、より高い安全性が担保されていなければならないのです。

 そして、完全自家消費システムにおいて特に重要なのが、余った電気を系統に流すこと(逆潮流)はできないという点です。従って、発電した電気をできるだけ効率良く使えるものであるとともに、逆潮流を防ぐ機能も求められてきます」(秦氏)

自家消費を追求したファーウェイ製パワコン

 こうした企業向けの太陽光発電の自家消費に最適なパワコンとして、ファーウェイが2021年3月から販売を開始した新製品が「SUN2000-20KTL-M3」だ。屋上設置に最適化した、完全自家消費型太陽光発電システムのための三相パワコン(定格出力20kW)で、これまでの製品にはなかった三つの特長を持つという。

新製品の「SUN2000-20KTL-M3」

 一つが、ファーウェイの分散型パワコンとしては初となる“200V三相”の製品であるという点だ。工場などにある200Vの動力電源をそのまま利用でき、電圧調整のためのトランスは必要ない。もちろん、キュービクルの改造も不要だ。「V相設置にも対応しています。当製品を導入していただけば、屋上の太陽光発電システムを、シンプルにすっきりとまとめ上げることができます」(秦氏)

 二つ目が、太陽光発電システムに起因する火災を未然に防ぐ『AFCI(アーク故障回路遮断)機能』の搭載だ。この機能は、先行してファーウェイの住宅用パワコンに搭載しているものだが、太陽光発電の屋上設置における安全性を考え、事業用にも装備されることになったという。

 「AFCI機能は、ファーウェイ独自の先進の機能で、屋上火災のリスクを劇的に減らすものです。パワコンに搭載したAIチップがDC側のアーク放電を瞬時に検出し、異常な回路を0.5秒以内にシャットダウンします。太陽光発電設備の火災は、多くの場合DC側アークに起因するものですが、AFCI機能により、これを防ぎ、システム全体の安全性を守ることができます」(秦氏)

 そして最後のポイントが、昨今、太陽光発電の発電量向上に役立つとして注目されているオプティマイザーにも対応している点だ。オプティマイザーは太陽光パネルに取り付けるデバイスで、一部のパネルに影がかかった場合でも、アレイ全体の発電量低下を防ぐことができる。ファーウェイでは現在、自社製のオプティマイザーの販売に向けた準備を進めており、2021年度中の市場投入を予定しているという。

自家消費時代を牽引するトータルソリューションを

 太陽光発電による完全自家消費行う場合、システム全体の効率に大きな影響を与えるのが、消費電力に対する“追従性能”だという。

「完全自家消費システムにおいては、発電量を最大化するとともに、発電した電気を効率良く使って、自家消費率を高めていくことが重要です。そのためには、消費電力に追従した発電量コントロールを高速で行わなければなりません。また、逆潮流が発生するときに発電を停止する機能(RPR)も不可欠です。

 当パワコンは、データ制御装置であるスマートロガーと連携して、高速で高精度な追従を実現しています。実環境下でのフィールドテストでは99%の追従能力を発揮しました。これだけの性能があるので、逆潮流発生のリスクを減らすために、あらかじめ発電量の上限を抑えておく必要もありません。発電能力を無駄なく生かし、発電した電気をいたずらに捨てることもなく、高効率に活用することができるのです」(秦氏)

 もちろん、このパワコンには、これまでのファーウェイ製パワコンのメリットも、そのまま継承されている。革新的な4回路独立MPTT(マルチストリング方式)により、高発電量を実現。IVカーブ診断により、ストリング故障の遠隔診断を可能にした。自然冷却システムの採用により冷却ファンをなくし、ファンやフィルターなどの消耗品交換も不要。IP66防水防塵保護等級の完全密閉設計もあり、極めて故障の少ない、信頼性の高い製品に仕上がっている。

 自家消費システムは、日本における太陽光発電のさらなる導入拡大を支えるものだ。脱炭素社会の実現に向けて、ファーウェイの製品とソリューションに期待されるものは大きい。

 「再エネの主力電源化に向けては、設備導入のコストもO&Mのコストもまだまだ高いと言わざるを得ません。今後は、引き続きこういった課題に取り組んでいくとともに、10年20年と使う商品であることを踏まえて、より品質の良いものを納められるよう長期的に取り組んでまいります。

 これからも私たちは、日本の再エネ導入拡大のために尽力してまいります。一企業として、製品・ソリューションをもって日本社会に貢献し、業界発展の推進役になることができればと願っています」(秦氏)

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提供:華為技術日本株式会社/ファーウェイ・ジャパン
アイティメディア営業企画/制作:スマートジャパン 編集部/掲載内容有効期限:2021年5月19日

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