小売電気事業者の安定的なkWh調達環境の整備に向けて、2028年度に開設が予定されている「中長期取引市場」。第4回「中長期取引市場検討ワーキンググループ」では、「市場範囲・市場分断リスクへの対応」や「供出量を高める方策」の具体案が示された。
電気事業法では小売電気事業者に対して供給力の確保を義務付けており、2030年度以降は、これまでの供給力(kW)だけでなく、量的な供給力(kWh)を求める予定としている。具体的には小売電気事業者は、以下の自社想定需要(kWh)に相当する量の供給力(kWh)の確保が義務付けられる。
円滑なkWh確保に向けては、発電事業者等との相対取引だけでなく、定型商品を簡便に取り引きが可能であり、公正・透明な価格指標が形成・公表される取引所取引も重要であるため、「中長期取引市場」を2028年度に開設する予定としている。
また、小売電気事業者が中長期取引市場で必要十分なkWhを調達可能とするため、大規模発電事業者に対して、販売電力量の10%以上を市場に供出することを義務付ける予定としている。
資源エネルギー庁の「中長期取引市場検討ワーキンググループ(WG)」では、中長期取引市場における商品設計や入札方法等の制度設計を進めており、その第4回会合では、「市場範囲・市場分断リスクへの対応」や「供出量を高める方策」の具体案が示された。
中長期取引市場では、小売電気事業者に課される供給力(kWh)確保義務との整合性を図る観点から、市場開設から当分の間は、受渡期間1年間の商品を、実需給の3年前と1年前に取り引きすることが予定されている。
また、これらの商品の「負荷パターン」としては、中長期取引市場の開設当初は、商品数を絞って取り引きを集約し、各商品における流動性の確保と価格指標の形成を図ることが重要であるため、以下のような分類とする。
なお、中長期取引市場検討WGでは、中長期取引市場開設時点から当面の間、市場運営者に最低限設定を求める商品について検討しており、市場運営者の考え次第では、WG事務局案以外の商品(例えばピーク商品)も上場可能であることに留意願いたい。
発電事業者の電源構成等によって供出できる負荷パターンに制約があることや、市場開設前には商品ごとの供出量や買手の需要を十分に見通すことが難しいため、市場開設時は供出義務「総量」のみを規定し、負荷パターンごとの最低供出割合は設けないこととする。負荷パターンに限らず、市場開設後の取引状況や、買手の具体的な調達ニーズ、売手の供出意向等を確認し、十分な取引量が見込まれる商品については、最低限設定を求める商品としての追加や見直しを検討する。
「事後調整付商品」については、LNGや石炭などの発電用燃料の長期調達契約において燃料費調整のために活用される、原油などの指標(Index)などを活用した事後調整を設定する方法を採用するものとする。事後調整付商品/事後調整なし商品別の最低供出割合は設けないこととして、事後調整付商品の数に制度上の上限も設けないこととする。
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