1901年、エーゲ海アンティキティラの沈没船の中から、のちに「アンティキティラ島の機械」として知られる物体が発見された。古代ギリシア・ローマ時代に生み出された太陽、月の正確な位置や、日食や月食の日程を知ることができるこの機械は、文明史上、最も謎に満ちたものの1つとされ、さまざまな研究がなされているものの、その複雑さゆえ構造についてはいまだ多くの謎が残されている。
ウブロは2012年3月に開催されるバーゼルワールドで、この「アンティキティラ島の機械」を再現したムーブメントを納めたアンティキティラウオッチを発表する。
21世紀初めに最新技術を駆使した分析が行われた結果、発見された「アンティキティラ島の機械」部品は、極めて小さなものを含めわずか82個。いずれも腐食が進んでいたが、最新のX線スキャナーにより肉眼では見えない無数の輪列や銘文が隠れていたことが判明した。
古代ギリシア文字で刻まれたこの銘文の約1/4が解読された結果、それは機械の「取扱説明書」であり、主要な惑星の動きを示していたと考えられている。歯車は、側面のハンドホイールとみられる部品で駆動していたが、油圧システムが付属していた可能性も指摘される。
機械式輪列を用いて正確な天文学的データが集められる「アンティキティラ島の機械」は、最古の「コンピュータ」ともいわれ、古代の学者や技術者の概念的能力の高さを見て取ることができる。
「アンティキティラ島の機械」には時を計測する時計としての機能はない。宇宙を表現する機械、より正確にはセレノグラフ(月の動きを告げる機械)として、驚異的な正確さでメトン周期【※1】やカリポス周期【※2】など複数の天体周期を示していた。
2008年、権威ある科学雑誌「ネイチャー」にこの機械の破片の断層画像が公開された。ウブロ製造部門の製造&研究開発ディレクター、マティアス・ビュッテは創造意欲をかきたてられ、彼が率いるウブロの開発チームは、「アンティキティラ島の機械」を再解釈し、小型化した時計のムーブメントをオリジナル機械のように、面のディスプレイケースに収めるという難題に挑んだ。これにはオリジナルのメカニズムに完全に再現しつつ、精度と表示の視認性の高さを両立させることが求められた。
「アンティキティラ島の機械」を忠実に再現したムーブメントの表側は、各都市での古代オリンピックのカレンダー、エジプト歴【※3】、黄道12星座における太陽の位置、ムーンフェイズと黄道における月の位置、そして恒星年を表示する。裏側は、カリポス周期、メトン周期、サロス周期、トリプルサロス周期を表示。
ウブロによるこのムーブメントは、2011年10月にパリ工芸博物館で開催された展示会「アンティキティラ、時を超えて出現した謎の機械」において初公開され、大きな話題を呼んだ。
天体の周期を再現する時計の歯車を新たに作るため、ウブロは、直径の異なる螺旋状ディスクを指し示すことができる革新的な非円形伸縮針を開発した。
「アンティキティラの機械」を再現したこのムーブメントを収めたアンティキティラウオッチは、2012年3月に開催されるバーゼルワールドで発表され、時計のムーブメントは、機械のメカニズム解明に尽力したパリ工芸博物館に常設展示される予定だ。
博物館の展示会場では、「アンティキティラ島の機械」の製造当時から現在に至るまでのストーリーを紹介した2Dおよび3D動画が上映され、当時の技術者の知識と21世紀のウオッチメーカーの技術の橋渡しとなることが期待される。
ウブロが製作した動画は、YouTube上でも視聴できる( http://www.youtube.com/user/antikythera2012 )。
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