さて、次は高速道路だ。料金所をくぐりアクセルを踏み込んでいくと、アクセル開度に応じて素直に加速していく。試しに、少しアクセルを抜いて、再び踏み込んでみる。確かに、アクセル操作に対する加減速のレスポンスは、これまでATではあまり味わったことがない感覚だ。例えるのが難しいが、MTで少し高めのギアで走っているときのレスポンスに近いだろうか。確かに、ロックアップ領域拡大の効果は実感できる。
巡航速度に達した後、追い越しのために一気にアクセルを開けると、小気味良くキックダウンしてくれる。CVTも最近ではキックダウンと同様の制御を行ってくれるものが多いが、オーソドックスなステップATに乗り慣れている筆者にとっては、SKYACTIV-DRIVEのような自然でクイックな反応のキックダウンの方がしっくり来る。
ちなみに高速道路上では、市街地では少し気になった乗り心地の硬さが、ほとんど気にならなくなった。アクセラは日本市場だけでなく欧州市場もターゲットにしているため(「Mazda3」として販売)、欧州での高速巡航走行に合わせた足回り・空力の設計が行われているのかもしれない。
またこれは筆者の個人的な印象だが、ステアリングの遊びはそれほど多くないように感じた。ステアリングを切り増していく方向にクルマの挙動とシンクロするような心地よい重さを感じ、戻すときにはスッと戻る。前述したタイヤサイズと、さらに加えて路面が完全ウエットだったことも関係しているのだろうが、多少ラフな運転をしても勝手に真っ直ぐ走ってくれる「楽ちんクルマ」という性格ではないようだ。
高速を降りてワインディングに入ったころには、天候は豪雨! というわけで、あくまでも「大人の走り」に徹したのだが、そんな状況下でもアクセラの「走る楽しさ」は十分に堪能できる。
コーナリング感覚は、特に初期挙動がクイックなわけではないが、かといって「ダルさ」を感じることもない。乗り心地重視のクルマによく見られる、ドライバーの操作から一呼吸遅れて「グラリ」と来るような不安定さは一切感じない。ハンドリング操作が多少ラフになっても、車体各部がすぐに追従して狙ったラインをトレースできる。恐らく、ボディ剛性を高めるための設計がなされているのだろう。
実は、市街地や高速道路での走行においても、トランスミッションと同じぐらい強く印象に残ったのが、この高いボディ剛性だった。新アクセラに搭載されたSKYACTIV TECHNOLOGYはエンジンとATに関するものだが、マツダではこの先、ボディやシャシーに関しても「SKYACTIV-BODY」「SKYACTIV-CHASSIS」という新技術を投入する予定だ。すでに、2012年春の発売が予告されたSUV「CX-5」が“SKYACTIV全部乗せ”の第1弾。SKYACTIV-BODYの採用を待たずともこれだけ高いボディ剛性を確保しているだけに、期待が持てる。
ちなみに、新アクセラにはドライバーの運転スキルを判定してくれる「i-DM」(intelligent Drive Master)という機構が備わっている。判定基準は、「やさしい運転」と「しなやかな運転」の2つ。クルマにかかるGの変化をリアルタイムに検出し、点数で表示する。
燃費にやさしい運転ができると、コンソールの中心に備え付けられた画面にグリーンのランプが点く。i-DMが面白い点は、エコランプ機能をさらに進めて、キビキビかつ揺れの少ない「しなやかな運転」に対して、ブルーのランプが点いてドライバーをほめてくれる。逆に、揺れの大きいラフな運転をすると、白いランプでしっかり指摘されてしまう。
ゲーム感覚で運転スキルを磨くことができる、とても面白い仕掛けだと思った。ちなみに筆者の運転スキルはかなりラフなようで、i-DMからダメ出しを食らいっぱなしだった。「しなやかな運転」には、まだまだほど遠いようである……。
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