荒々しきガイランゲル・フィヨルドと愛らしいフィヨルド馬山形豪のノルウェー紀行(2/2 ページ)

» 2011年12月28日 15時00分 公開
[山形豪,Business Media 誠]
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荒々しさが際立つガイランゲル・フィヨルド

 今回のノルウェー紀行で紹介する最後のフィヨルド、それがガイランゲル・フィヨルド(Geirangerfjord)だ。ユネスコ世界遺産に登録されている景勝地で、古くからノルウェー南西部の観光の目玉となってきた。

山形豪のノルウェー紀行

 以前紹介したハダンゲル・フィヨルドが女性的な美しさを持つといわれるのに対し、両岸に急峻な崖が迫り、いくつもの滝が流れ落ちるガイランゲル・フィヨルドの風景は荒々しさが際立っている。

 ガイランゲル周辺には多くのハイキングルートのほか、車で行ける展望台がいくつかあり、そのいずれからも雄大な絶景が楽しめる。また、小型艇によるボートサファリでフィヨルドを体感するという選択肢もあるので、楽しみ方は多様だ。

 このような美しくも厳しい自然環境は、昔から人の住処となってきた。崖の中腹に時折現れる僅かな草地に、何と民家が建っているのだ。現在は山小屋として利用されるのみらしいが、最近まで羊などの放牧で細々と生計を立てる人々が住んでいたという。そうまでして人界を離れねばならない理由が彼らにはあったのかと勘ぐってしまうくらい凄い場所だ。

山形豪のノルウェー紀行山形豪のノルウェー紀行 (左)ボートサファリはフィヨルドを体感する良い手段だ(右)断崖絶壁の上に建つ民家。現在は山小屋として使用されている

パワースポットに建つホテル・ユニオン

 ガイランゲルは古くから観光地として人気を博してきたため、宿泊施設も多い。中でもホテル・ユニオンは1891年からこの地にある老舗だ。設備は充実しており、特にスパやサウナなどのリラグゼーションに力を入れている。

 ホテルの中をエネルギーラインが通っていたり、近くにヴァイキングの古墳があったりと、いわゆるパワースポットにあるので、リフレッシュしたい人にはお勧めだ。スパのデザインには風水まで取り入れたという。

 ホテルの地下にはクラシックカー博物館が併設されており、1920年代から1930年代にかけてのスチュードベーカーやビューイックなどの車がずらりと並んでいる。ほとんどが宿泊客の送迎用に使われていた車で、どれもいまだに走るというから驚きだ。

山形豪のノルウェー紀行山形豪のノルウェー紀行山形豪のノルウェー紀行 リラックスルームの窓の外にはヴァイキングの古墳があり、ホテルの地下にはクラシックカー博物館がある

船で巡るノルウェー

 非常に長い海岸線と多くの入り組んだフィヨルドを持つノルウェーは海運大国だ。船は人々の日常に欠かすことのできない交通手段となっており、客船を運行する会社の数も多い。

 沿岸急行船フッティルーテン(Hurtigruten)もその1つだ。ノルウェー南部のベルゲンと極北のキルケネスとを結ぶ2600キロの定期航路は世界で最も美しい船旅と称され、日本から利用客も多い。ガイランゲルも寄港地の1つとなっている。

山形豪のノルウェー紀行山形豪のノルウェー紀行 (左)ガイランゲルへと向かうフッティルーテンの客船コングハラルド号(右)ガイランゲルに錨を下ろしていた練習帆船ソランデット号

著者プロフィール

山形豪

山形豪(やまがた ごう) 1974年、群馬県生まれ。少年時代を中米グアテマラ、西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごす。国際基督教大学高校を卒業後、東アフリカのタンザニアに渡り自然写真を撮り始める。イギリス、イーストアングリア大学開発学部卒業。帰国後、フリーの写真家となる。以来、南部アフリカやインドで野生動物、風景、人物など多彩な被写体を追い続けながら、サファリツアーの撮影ガイドとしても活動している。オフィシャルサイトはGoYamagata.comこちら

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