制度で縛ることよりも「なぜ社員がジテツウを希望するのか?」という欲求を理解するのがスタートだ。ゴールドウインで実際に自転車通勤をしているジテツウピープルにその「なぜ」を語ってもらった。
――どんなジテツウをしてますか?
佐藤修さん 東京に転勤してから自転車通勤を始めました。家が田園都市線沿線でとても混むんです。ストレス解消とメタボ対策として片道17キロ、約1時間。週末には自転車を磨きまくっています。信号で止まったら「見てくれよこの光を」と(笑)。ある意味広報宣伝車かな。
井上美代子さん 私は片道15キロで山手通りを走るのですが、今、五反田辺りは工事中で鉄板が敷かれた状態です。自転車で走るには危ないので、裏手の住宅地を走っています。スピードを出せませんし、安全運転にもなりますね。(井上さんは、コーポレートコミュニケーション室所属)
鈴木直さん 片道20キロで自転車通勤の制限ギリギリです。2キロから20キロまでというのは、富山にある本店で運用している自動車通勤制度を参考にしました。手当は距離別に決まっていて、非課税限度額を超えないように配慮しています。
――どんな格好、乗車スタイルでジテツウしてますか?
佐藤 私はもっこりスタイル【※】を絶対にしません。マンションを出るときに二度見されますし(笑)。自転車通勤で、いかにも自転車レーサーという姿はちょっとね。
※ 自転車競技などで着るレーサーパンツ姿のこと
鈴木 でも、レーサーパンツを履くと楽なんですよね。
井上 自転車で2キロも走ると汗をかきます。自転車用に作られたウエアは、動きやすさだけでなく汗対策にもなります。
佐藤 朝、社内で「なんか汗臭えな」といわれたことがありました。自転車通勤制度が始まった年の夏に、会社がシャワールームを整備してくれたのはうれしかった。
――走っていて気になることはありますか?
佐藤 街を走っていてストレスに感じるのはルール違反者。毎朝5、6人は見かけます。ノーヘル、ヘッドフォン着用、信号無視を見かけると(自転車愛好家として)大変残念に思います。
鈴木 警視庁の自転車対策の委員会にも出席していますが、自転車に対して警察はよく分かっています。法律が未整備な部分も分かっているし、教育が不十分なのも分かっている。3.11を契機に自転車が増えたことで取り締りを強化していますね。社会全体が自転車にもっと成熟する必要もあるでしょう。
――なぜ寒くても強風でもジテツウなんでしょう?
佐藤 自転車通勤の往復2時間、1人になれることかな。こんな長い間、ほかの誰にも邪魔されない時間はないですよ。走り出すと自分のことや将来のことを考えだすんです。
鈴木 深いな(笑)
佐藤 深いよ。すごく考える。周囲に注意しながら走っていても、自分は20年後に何してるんだろうとか。
仕事は通勤からすでに始まっている。今日という1日を何をして過ごすのか、どういう段取りをしたらいいのか。
仕事は通勤とともに終わる。どうして今日うまくいかなかったんだろう。どうすればうまくいくのだろう。
自転車は心のバランスを保ち、人間性を取りもどす。これがジテツウの最大の効用である。さあ、あなたの会社でもジテツウをしませんか。
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