テスラの第2幕、EVサルーン「モデルS」の実力を試す試乗インプレッション(1/5 ページ)

» 2012年08月08日 08時00分 公開
[川端由美,Business Media 誠]

 エコカーといえば、スローなクルマばかりが幅をきかせる中、2007年にスポーティなルックスと抜きん出た走りのEV「ロードスター」を世に送り出し、ちまたを驚かせたテスラモーターズ。若きITエンジニアたちが「自分たちが乗りたいエコカーを作ろう!」と立ち上げたEVベンチャーらしい意欲作である。

 発売以来、2500台限定でロードスターを生産してきたが、そろそろ最初の一幕を降ろして、次なる幕を上げるときが来たようだ。2008年のデトロイトショーで発表した5人+2のEVサルーン「モデルS」の量産を開始したのだ。

 イーロン・マスクCEOは「スタイリング、走行性能、安全性といったすべての点で最高のクルマを作りました。そのために、最高のスタッフも集めました」という。果たしてマスクCEOが語るとおりか、否か?

 幸いにも、今まさに工場から出荷されたばかりのモデルSの実力を試す機会が与えられた。筆者にとって2008年にデトロイトショーでコンセプトカーを見て以来、待ちに待った公道でのテストドライブである。

モデルS テスラ「モデルS」

未来的な演出が随所にみられるモデルS

 2012年6月22日午後3時30分。揃いの赤いポロシャツを着て働くスタッフたちが工場の一角に集まってきた。この工場で働く約800人のスタッフこそが、この日を最も待ち望んでいたはずだ。

 モデルS最初の10台の出荷に当たって、サンフランシスコ郊外にあるフリーモント工場で開催した納車式に集まったのは、Googleの創業者ラリー・ペイジをはじめとする地元サンフランシスコのビリオネアたちだ。

 並んだ車両のカラーは、シグニチャーモデル専用のワインレッドをはじめとする全10色。逸る気持ちを抑えつつ、マルーン色の1台を選んでドアノブに手をかざす。ドアパネルと同じ平面に取り付けられたシルバーのドアノブが、すーっとせり上がってくる。

モデルSモデルS

 2座オープンカーのロードスターと比べると4ドアサルーンのモデルSは、若干、保守的なスタイリングだが、こうした未来的な演出によって次世代のクルマらしい雰囲気を醸し出している。

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