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» 2012年11月16日 08時00分 公開

SASが開拓した北極航路と、北欧の自由気ままな休日秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(5/6 ページ)

[秋本俊二,Business Media 誠]

北欧のデザイングッズ(コペンハーゲン)

 コペンハーゲンは、デザイン好きにはたまらない。先ほど私は、中央駅を出てすぐのところにあるラディソンSASロイヤルホテルを訪ねた。北欧デザインの巨匠、アルネ・ヤコブセンがデザインしたホテルだ。ロビーに足を踏み入れるとまず目に止まるのが、美しい螺旋階段とフロアに置かれたエッグチェアやスワンチェアなど。すべてヤコブセンの作品で、世界中のヤコブセンファンがこのホテルに憧れる理由が伝わってくる。その中でも、606号室はヤコブセンのデザインが唯一当時のまま保存されている部屋。「宿泊のお客さまがいらっしゃらなければ一般の方でも見学可能です」というスタッフに私も案内してもらった。

飛行機と空と旅飛行機と空と旅 (左)ラディソンSASロイヤルホテルのロビー(右)当時のまま保存されている606号室

 ホテルを出てからは「世界初の歩行者天国」として知られるストロイエへ。道の両側に、デザイングッズの店などがひしめいている。創業1775年のロイヤル・コペンハーゲンは有名だが、それ以外にもいい雰囲気の店がいっぱいだ。軒先にガラス細工の小物が並ぶ小さなショップを覗いていたら、中から店員が出てきて「素敵でしょ」と微笑んだ。

 キャンドル立てを手に取って「北欧の人たちって、なぜこんな小さな雑貨にもこだわるんだろうね」と私。すると店員は「厳しい気候の中で生活してますからね」と答えた。夏も終盤になると北欧では太陽が沈む時間が日に日に早まり、寒さの厳しい冬場は人々が家の中で過ごす時間が多くなる。「だから──」と彼女は続けた。「毎日の生活で使う雑貨にも、自然と気持ちを込めるようになるんですよ」。なるほど。そのあとでマーケットが開かれている広場に寄ったら、屋台に並ぶ色鮮やかな野菜や果物までが北欧デザインのように見えてきた。

飛行機と空と旅 世界初の歩行者天国、ストロイエ

港を中心に広がる芸術的街並み(ベルゲン)

飛行機と空と旅 新鮮な魚介類が豊富な魚市場

 昨夜21時にコペンハーゲンを発つスカンジナビア航空の2870便で、ノルウェー第二の都市ベルゲンへ。22時20分に到着して市内のホテルに入り、今朝は早い時間からカメラを携えて港沿いの中心部までやってきた。ちょうどフィヨルドに向かう観光船が港を離れていく。その先に現れたのが、三角屋根の家々──世界遺産にも指定されているブリッゲンだ。手前の広場では、街の名物ともいえる魚市場が店を開いている。地元産のサーモンやタラなどのほか、牡蠣に海老、うまそうなカニもいる。ある店の前を通りかかったら、地元の青年に「こんにちは」と奇妙な発音の日本語で呼び止められた。

 アレクと名乗った彼は「これ、食べてみてよ」と、大ぶりの甘エビを1つ剥いて差し出した。口に放り込むと、新鮮な潮の香りと何ともいえない甘みが広がる。満足そうにうなずいている彼に「ベルゲンて、どんな街?」と聞くと、10秒ほど考えてこう答えた。「芸術だね。時間があったらケーブルカーに乗って、フロイエンの山頂に登ってみなよ。ぼくのいっている意味が分かると思うよ」

 勧められたとおり、山頂まで行って街を一望してみた。小高い山々とフィヨルドに囲まれた色彩豊かな街並みは、これまで見てきたヨーロパのどの都市とも違って、確かに個性的だ。時間をかけて散策したかったが、残念ながら今日の午後には予約済みのノルウェー国鉄でベルゲンを離れなければならない。そんな忙しい日程を立てたことに後悔しながら、カメラを取り出して夢中でシャッターを切った。

飛行機と空と旅飛行機と空と旅 (左)三角屋根の家々が並ぶブリッゲン(右)フロイエン山頂から市内を望む

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