インタビュー
» 2013年01月18日 08時00分 公開

JINS PCはどうやってできたの? きっかけは社長の立ち話 (1/3)

累計販売100万本超を達成したブルーライトカットメガネ「JINS PC」。多くの人が「ブルーライト」を知らない中、JINS PCはどのように生まれたのだろうか。開発に至るまでの過程を聞いた。

[岡田大助,Business Media 誠]

 「メガネをかけない人に役立つメガネを売る」――ブルーライトをカットする機能を備えたPC用メガネ「JINS PC」をもって、メガネ屋として大きな賭けに出たジェイアイエヌ。JINS PCは、2011年9月30日の発売からおよそ1年で、累計販売100万本を達成した。

 そもそもブルーライトとは何なのか。本誌でもたびたび取り上げてきたが、ブルーライトとは可視光線の中でも波長が短い380〜495ナノメートル前後の光。もっと簡単にいうと、名前のとおり「青っぽい光」だ。例えば、人は朝日を浴びることで、体内時計が「日中」にセットされる。時差ボケ解消のために日光を浴びるとよいというのも同じ理屈だ。ブルーライトが体内時計をつかさどる細胞に作用するのだ。

ブルーライト (出典:ジェイアイエヌ)

 このように昔から自然光の中に含まれている光だが、この10年で、ブルーライトを過剰に浴びることによる人体への悪影響について研究が進んだ。眼科医らは「人類がかつて体験したことがないくらい、ブルーライトを浴びている」と指摘する。近年のPCやスマートフォン、薄型テレビ、エコ照明などに利用されるLEDが、その構造上、既存の光源に比べてブルーライトを多く発するからだ。

 正直なところ、筆者はJINS PCを知るまで、ブルーライトの存在を知らなかった。多くの読者も同じではないだろうか。今回は、JINS PCを仕掛けたジェイアイエヌに、その開発に至るまでの過程を聞いた。

きっかけは田中社長と眼科医の立ち話だった

JINS PC JINS PC

 2010年初頭、ジェイアイエヌの社員は田中仁社長が「PC用メガネ、掛けていればPC作業をしても眼が疲れにくくなるメガネっていけるんじゃないか」と言い出したことに驚いた。

 きっかけは、別件で眼科医と会っていた田中社長の立ち話だったという。「最近、眼が疲れるんですよね」という何気ない一言に、眼科医が「実は最近、ブルーライトというものが悪さをしているんじゃないかと指摘され始めてて」と返したのだ。

 当時、世間一般におけるブルーライトに対する認知度は0%に近い。眼科医の世界でも、一般論としてブルーライトの過剰曝露が目に悪いという認識はあったが、どのくらいのブルーライトを浴びたら、どのような影響がでるのかといったレベルまでの学術的な研究は始まったばかりだった。

そもそもPC用メガネって何なの? デファクトスタンダードを作れ

 「PC用メガネを開発するぞ」といわれて困ったのは、マーケティングを担当していた矢村功さん(現マーケティング室マネジャー)だ。矢村さんは振り返る。

「そもそもPC用メガネって、何がどうなったら『よいPC用メガネ』といわれるのか。基準がまったくありませんでした。例えば、定食屋に『冷やし中華始めました』という張り紙が出たら、ほとんどすべての人が『ああ、そんな季節だね』と納得すると思うんです。でも、『PC用メガネ始めました』といっても『???』でしょ」

 当時、PC用メガネがまったく存在していないわけではなかった。ただそれは、「交換用レンズに色を付けておけば、目によさそうな気がする」といったレベル。「『何となく』のレベルで生産され、『何となく』売っていて、『何となく』気が向いた人が買うという状態でした」(矢村さん)

JINS PC JINS PCのデザインを担当した井上一鷹さん(左)とマーケティングを担当した矢村功さん(右)
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