プレミアムスポーツハッチに生まれ変わったボルボ「V40」の実力試乗インプレッション(3/4 ページ)

» 2013年02月26日 19時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

プレミアムスポーツコンパクトとして十二分な動力性能

 デザインと安全機能の両面でトピック満載の新型V40だが、では走りの方はどうだろう? 日本で発売されるV40のグレードは、ベーシックグレードの「V40 T4」と上級グレードの「V40 T4 SE」の2種類。今回は後者のV40 T4 SEの方を試乗してみた。なお、両グレードの仕様の違いは主に快適装備の有無にあり、走りに直結する相違点はV40 T4が16インチのアルミホイールを履くのに対して、V40 T4 SEは17インチだという点くらいだ。

 実際にドライバーズシートに収まってみると、ワイド&ローな外観の印象と同じく、車内の広さを感じる。ただ実測値では、同クラスのほかのクルマと大差はないので、シンプルで機能的なインテリアデザインがそう感じさせるのか。V40の全車種に装備されているガラスルーフを通じて室内に光が入ってくることも、広く感じる理由の1つだろう。

V40V40
V40

 さて、スポーティさをうたったモデルだけあり、動力性能はかなりのものだ。V40に搭載されるエンジンは、最近のボルボの他車種にも採用されている1.6リッター4気筒直噴ターボエンジンで、最高出力132キロワット(180馬力)、最大トルク240ニュートンメートルを発生する。今や欧州車の主流となった、実用域トルクを重視したダウンサイジングコンセプトに基づくエンジンだ。

 実際に走らせてみると1600回転で早くも最大トルクが発生するだけあって、どの回転域からでも踏めば即座にトルクがモリモリと湧いて出てくるようなパワフルさ。ターボの特性も突然大トルクが発生するいわゆる「ドッカンターボ」ではなく、アクセル開度に応じて比較的緩やかにトルクが出てくるような印象だ。

 高速道路でちょっとムチを入れてやれば、かなりの高速域まであっという間に連れていってくれる。また高速域での走行安定性はさすが欧州車ならでは。スピードメーターを見て、初めてスピードを出しすぎていることに気付き、慌ててアクセルを戻す場面も何度かあった。

V40 メーターパネル内にも警告表示が出る。写真は右レーンへのはみ出しを警告している

 高速道路での走行中、いくつかの安全機能の動作を試してみた。興味深かったのが「レーン・キーピング・エイド」だ。これは、時速65キロ以上の速度域で車体が走行車線からはみ出しそうになると、車線内に戻る方向に自動的に操舵力が加わり、それでもなお車線に近付くとステアリングが軽く震動して警告してくれるという機能だ。周囲の安全を確認し、実際にクルマを車線に近づけてみたところ、確かに仕様通りにステアリングにトルクや震動が発生する。

 もちろん、ドライバーが意図したレーンチェンジを妨げない程度に、トルクや震動の量は抑えられている。ドライバーの状況によっては、このクルマが発する「控え目な」警告に気付くとは限らないだろう。

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