ロンドンでクチコミを使ってG-SHOCKブームを仕掛ける男――ティム・グールドさんG-SHOCK 30TH INTERVIEW(番外編)(2/4 ページ)

» 2013年05月27日 16時11分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

ロンドンの東西で、味付けを変えた「G-SHOCK Store」

──英カシオでは、独自の施策を通じてG-SHOCKのブランドイメージの醸成に成功したと聞きます。

グールドさん: 代表的な取り組みが、ロンドンに2店舗ある直営店での異なるプロモーションです。まず2010年6月に、ロンドン郊外の東部エリアに「G-SHOCK East Store」をオープンしました。

 この東部エリアは、若いアーティストやミュージシャン、学生など、ファッションやトレンドの感度が高い若者たちが多く住む地域なのです。こうした地元の若者たちにG-SHOCKを身近に感じてもらうために、G-SHOCK Eastでは10週間ごとに「G-SHOCK Sessions」というイベントを開催しています。

 このイベントでは、店内に設けられたDJブースで新進気鋭のDJやミュージシャンがパフォーマンスを行ったり、地元の若手アーティストたちが交流する場を設けています。そしてその様子は、来店した若者たちが撮った写真や動画を通じてネット上で共有されています。

──もう1つの直営店は、どのような店舗なのでしょうか。

グールドさん: ロンドンの中心街コヴェントガーデンに2012年5月にオープンした「G-SHOCK West Store」は、G-SHOCK Eastと比べると、ハイクラスで上品なイメージの店舗となっています。取り扱う商品もG-SHOCKだけでなく、エディフィスやオシアナスなどもそろえていますし、G-SHOCKにしても少し価格帯が高くなるプレミアムラインを扱っています。

 2012年に行ったオープニングイベントも、各界のセレブリティを招いて、ハイクラスな雰囲気の中で行われました。もうすぐオープン1周年を迎えますから、大々的なイベントを計画しているところです。

──それぞれの直営店で、客層や売れ筋の違いはあるのでしょうか。

グールドさん: G-SHOCK Eastの客層は10代、20代の若者が中心ですから、やはり派手なカラーリングのモデルが好まれています。一方、West Storeのお客さんは年齢層がもう少し上で、高級モデルを多く購入する傾向にあります。

 ただしどちらの店舗とも、単独で利益を上げることを目的とはしていません。あくまでも、店舗でのユーザー体験を通じてG-SHOCKのクールでタフなブランドイメージを、感度が高い人々やハイクラスな人々に広めていくことが狙いなのです。

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