G-SHOCKは今や、ハイエンドも、売れ筋もアナログが主力――斉藤慎司さんG-SHOCK 30TH INTERVIEW(4/4 ページ)

» 2013年06月26日 08時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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――GA-100、GA-110というと……(写真を見る)。あ、大きな針が目立つデザインで、アナログとデジタルのコンビネーションモデルなんですね。そういえば米国のショップで、これのいろいろな色のモデルがたくさん置いてあるのを見ました。派手なカラーが多いですよね。

斉藤 そうですそうです。大きなフェイスで、紫とか金色とか、派手な色が多かったでしょう。

シンプルなGA-100系「GA-100-1A1JF」(左)と凝ったカラーリングのGA-110系「GA-110AC-7AJF」(右)。ケースは共通だが、印象は大きく異なる

――主に米国で売れているんですか?

斉藤 米国だけじゃなくて、世界中で売れていますよ。爆発的に売れてると言っていいと思います。GA-100、GA-110両方ともよく売れていて、デザインやカラーリングが違う派生モデルがたくさんあります。今ではすっかり、G-SHOCKの主力商品ですね。

――どういう企画意図だったか、教えていただけますか?

 まずGA-100。ベーシックなモデルなので企画意図というのも違うかもしれませんが、「G-SHOCKの針モノを広げていこう」というのがまずありました。当時、6900はすでに海外でかなり人気があったんですが、デジタルよりアナログのほうが(市場の)パイが大きいだろうなというのに加えて、「G-SHOCKを世界の人たちに伝えやすくて、買いやすいモデルを」と考えました。

 それともう一つ、自分が初めてG-SHOCKをつけたときに「えっ、G-SHOCKってデカイ。こんなにデカイのつけるの?」って思ったんですよ。そのインパクトを、若い人たちにもう一度伝えなくちゃと思ったんです。なので「大きめの時計にしていこう」という意図はすんなり共有できましたね。あとその当時、「他の時計はどんどん大きくなっているのに、G-SHOCKはむしろ(相対的に)小さくなってない?」と思っていたんですよね。例えばNIXONとか。そこで、6900系に似た有機的なデザインにしよう、フェイスは6900よりも大きくして、ワイドオープンで押し出しを強くしよう……という感じで決まっていきました。

 そしてGA-100を作っていたころ、「フェイスをもっと複雑にして、インパクトを強めたらどうだろう?」とデザイナーから提案があってできたモデルがGA-110なんです。ケースはGA-100と共通です。すぐに「よし、やろう」ということになって、両方ほぼ同時期にできあがりました。ポップな色を組み合わせるなど、色のインパクトはGA-100よりもさらに「遊んで」います。

G-SHOCKの“作り方”

――シンプルで小さめな5600系、三つ目で大きくカラフルなデジタルの6900系、ハイエンドなアナログのSKY COCKPIT、シンプルなものもカラフルで面白いデザインのものもあるGA-100/GA-110と、今日お話に出てきただけでもいろんなG-SHOCKがある。それぞれ全然違うのに、それでもみんなG-SHOCK、というのが面白いなと思います。

斉藤 ほかの時計(ブランド)は「技の継承」が重視されますよね。伝統として。でも、G-SHOCKは「コンセプトの継承」とか「コンセプトの作り方の継承」というところで続いていくんだな……と思うことがあります。

 いろんな人が作る、いろんなG-SHOCKがあっていい。新しい技術があればどんどん使っていくし、デザインもいろいろある。G-SHOCKは常に変わっていくけど、作り方とか、考え方の部分は継承されていく。最近、G-SHOCKの“作り方”というか、“伝え方”というのはそれなんだな、と考えるようになりました。

――ありがとうございました。

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