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『チューナーレスTV』のススメ?(1/2 ページ)

» 2004年02月23日 20時55分 公開
[佐藤晃洋,ITmedia]

 昨年後半から、各種メディアで“デジタルカメラ”“DVDレコーダー”“フラットテレビ”の3つをセットにして「新・三種の神器」と呼ぶケースが目立つ。特にフラットテレビの売れ行きはここのところ好調なようで、筆者の家の近所にある某大手家電量販店に行っても、販売に力が入っている様子が非常によくわかる。

 一般にはその中でも売れ筋なのが、36〜43型前後の地上デジタル放送やBSデジタル放送に対応したチューナーを搭載した液晶テレビやプラズマテレビだといわれている。ただ、これらの製品は決して安い価格ではなく、同サイズで全く内蔵チューナーを持たないモデルや地上アナログ放送のみに対応するモデル(以下これらをまとめてチューナーレスモデルと呼ぶ)と比べると、実売価格で約数万〜十数万円程度高くなるケースも珍しくない。そこで一つ考えて見てほしい。果たしてそのチューナーは本当に必要なものなのだろうか?

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内蔵チューナーを使用しない視聴形態がどんどん増加

 まず指摘したいのは、今やテレビを視るのにテレビ側の内蔵チューナーを使用しないケースというのがどんどん増加しているという事実だ。

 例えばデジタル放送一つ取っても、昨年暮れより多くのCATVがサービスを開始しつつある地上デジタル放送対応サービスでは大半のケースで視聴には専用STBを使用し、テレビ側に内蔵されているデジタル放送対応チューナーは使われない。これは多くのCATVが地上デジタル放送等を送出するのに、一度受信点で受信した電波の変調方式をCATVで送出するために変換する「トランスモジュレーション方式」を採用しているために起こる現象。

photo 地上デジタル放送対応のSTB「TZ-DCH500」(松下電器産業製)

 また、「BBケーブルTV」やKDDIの「光プラスTV」、オプティキャスト(スカパー!)のFTTH放送など、ADSLや光ファイバーを通じて映像配信を行うようなサービスでも、視聴にはそれぞれ専用のSTBが必要になり、やはりテレビ側の内蔵チューナーは使用されない。特にオプティキャストなどは将来的には地上デジタル放送やBSデジタル放送なども配信対象に加えたい意向を以前より示しているだけに、それが実現すればテレビ側の内蔵チューナーは完全に使われなくなってしまう可能性もある。

photo 光プラスTVのSTB。松下電器製
photo オプティキャスト(スカパー!)のFTTH放送用STB。ソニー製

 あとソニーの「CoCoon」などを導入すると、テレビを見るといっても実態はほとんどCoCoonに記録されている録画映像を見ている形になるし、そもそもCoCoon自体が2つのチューナーを搭載しているため、テレビ側の内蔵チューナーなしでも困るケースは少ない。もちろん従来型のスカパー!のCSデジタルチューナーやCATVのホームターミナル、外付型のBSデジタルチューナーなどを利用するケースでも、人によっては内蔵チューナーをほとんど使わないで済むケースは多い。

 このようにテレビを巡る技術が激しく変化してきていることを考えると、果たして今のような「アンテナ線を接続してテレビを見る」という形態自体続くかどうか疑わしい部分さえある。そのような状況下で、あえて今高い金を払って地上デジタル放送のチューナーを買う必要がどれだけあるか、改めて考え直してみてもいいのではないだろうか。

チューナーレスモデルを量販店が置きたがらない理由

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