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「iPodハロー効果はMacには効かない」に反論する(1/2 ページ)

» 2007年03月02日 11時17分 公開
[David Morgenstern,eWEEK]
eWEEK

 Windows Vistaが市場に出回っている現在、Appleの退潮を予測するアナリストがいる。iPodによるいわゆる「ハロー効果」を疑問視するアナリストもいる。この場合のハロー効果というのは、Apple製オーディオプレーヤーiPodでのポジティブな体験が、ユーザーを同じApple製のMacの購買に導くという考えだ。

 わたしはそうは思わない。実際、Macは復活しつつあり、ビジネス市場で頭角を現し始めている兆候が見えるとわたしは思う。

 騒ぎの発端はPiper Jaffrayのアナリスト、ジーン・マンスター氏による2月14日付の報告だった(2月15日の記事参照)。これはBest Buyの小売りショップ50店舗を対象とした最近の調査に基づくものだ。どちらかというと、PCに関する調査だった。これによると、ショップの72%はVistaがPCの新製品への関心を高めたと考えており、29%はそうではないと回答した。

 マンスター氏は、こうしたVista搭載PCの売り上げは、第2四半期のMacの売り上げの落ち込みを引き起こすかもしれかもしれないと警告しているが、その程度は大きくないとしている。

 マンスター氏は、長い目で見てMacの市場シェアは拡大すると確信している。「PC市場がポータブルにシフトするのに従い、Appleの市場シェアにとって、この分野でのシェアが比較的高いことがメリットになるだろう」と同氏はeWEEKに語った。

 一方、わたしのかつての同僚、ラリー・ディグナン氏は、Seeking Alphaの2月15日付のコラムで、Appleの最近のVista対抗マーケティングを評価していない。この記事で同氏は、ハロー効果という考え全体も酷評した。

 「iPod購買がMacオーナー増加につながるとすれば、今ごろAppleはもっとシェアを高めていただろう」(ディグナン氏)

 とはいえ、Best Buyでのこの調査はハロー効果の測定に本当に適したものだろうか? iPodを持っているすべてのWindowsユーザーが突然夢から覚めたように、MacBookでキビキビと動くMac OS Xを買いにAppleストアに走ると予想できるか?

 それでも、いつかどこかでそんなことが起きるかもしれない。Appleは1月17日、同社の四半期決算発表で、Apple Storeの顧客の半数以上がPCからの「乗り換え組(スイッチャー)」だったと述べた。

 もちろん、Appleが報告したこれらの新規ユーザーの中にはiPod所有者もいるにちがいない。Appleは上場企業であり、市場と売り上げに関する報告は正確でなければばらない。

 だが、わたしはこの動きはハロー効果の「ミクロレベルの」表出だと思う。ここ数年のiPodと「Intel Mac」の登場の方が、コンシューマー市場だけでなく、ビジネス市場にも重要で「マクロな」影響を及ぼしたと言える。

 ユーザーがWindowsからMacに乗り換えるにはかなりの技術的障壁と価値観の障壁があるが、Macを受け入れる際に最も大きな障害物は、Appleが落ち目の会社だという認識だった。Appleは長年、アナリストや評論家に破滅の烙印を押されていた。まるで同社が失敗で、できそこないで、崩壊の一歩手前であるかのようだった。

 90年代のAppleの衰退(とMicrosoftの繁栄)は、このブランドを巨大な穴に追い込んだ。そして、一般から見れば、Appleがこの穴からはい上がり始めたのはiPodの登場からだった。

 もちろん、同社は最も困難な時代を忠誠心のあついユーザーに支えられて生き延びた。だが、最近のAppleのiPodでの成功は、同社がもうしばらく市場にとどまることを、競合企業各社(これらが市場全体の96%程度を占めている)にはっきりと示した。

 iPodはAppleが背負っていた悪評を払拭できる社会的地位の原動力となった。

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