コラム
» 2007年05月11日 14時30分 UPDATE

科学なニュースとニュースの科学:【第11回】太陽系外惑星を探せ 〜惑星形成の秘密とは?

10数年前に初めて発見された太陽系外惑星ですが、3月には日本の研究チームによる発見のニュースが流れるなど、これまでに200以上もの報告がなされています。なかには太陽系の惑星のイメージとはまったく違ったユニークなものもあるようです。

[堺三保,ITmedia]

 去る3月27日、国立天文台と東京工大の研究チームが、おうし座の方角に木星の質量の8倍もある巨大な惑星を発見したと発表したのを、読者の皆さんは記憶しておられるだろうか。

 岡山県にある岡山天体物理観測所口径188センチの反射望遠鏡による観測で、地球から149光年離れたおうし座の星団にある巨星「イプシロン」(質量は太陽の3倍だが、大きさは約14倍)には、木星の約8倍の質量を持ち、太陽―地球間の2倍に相当する距離の軌道を公転している惑星が存在することを突きとめたというのである。

 一方、昨年末には、太陽系の外にあって人間居住に適した惑星を約2年半にわたり探査するフランスの人工衛星「コロー(COROT)」が、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられている。

 この探査は、仏国立宇宙研究センターや欧州宇宙機関(ESA)が1億7000万ユーロ(約276億円)を投じて行うプロジェクトで、地球から4000万光年以上の約12万個の恒星を観測、人間の居住に適した地球のような惑星があるかどうか調べるというものだ。

イラスト

 天文ファンやSFファンの皆さんならすでにご存じのこととは思うが、太陽以外の恒星の周囲を回る惑星、いわゆる(太陽)系外惑星が初めて発見されたのは比較的最近(1995年)のことだ。しかし、それにもかかわらず、いまではすでに200個以上もの系外惑星が発見されているのである(ちなみに、今回のイプシロン星系の惑星は、日本の研究機関が確認した系外惑星としては3個目だとか)。

 それまで、ひとつとして発見されなかった系外惑星が、急に数多く見つけられるようになったのは、もちろん、観測技術の発達ということもあるけど、なによりも、1995年にペガサス座51番星の周りを回っている惑星が初めて発見されたことで、実際に太陽系以外の惑星系が存在することが実証され、多くの人々の注目を一気に浴びたことが大きいだろう。

 なにせ、1994年には「太陽以外の恒星のまわりには惑星はない」という観測リポートまで書かれていたくらい、天文学者たちの多くもあきらめかけていたくらいだったのだ。

 それが、一転して、発見ラッシュとなったのだから、この10数年におけるこの分野の発展ぶりには目を見張るものがある。

 そこから、「コロー」のような「第二の地球探し」を目的とした探査も生まれてきているわけだけど、筆者はそれとは逆に、太陽系の惑星とはまったく異なる姿をした惑星が次々と発見されていることのほうに、大きな興味がある。

 例えば、木星と同じような巨大なガス惑星でありながら、恒星の間際を高速で周回する「ホット・ジュピター」や、長大な楕円軌道を描くことで灼熱と極寒の世界を繰り返す「エキセントリック・プラネット」などといった、太陽系を構成する惑星たちからはまったく予想もつかなかったような、異様な惑星が続々と発見されているのだ。

 そういった異様な惑星の姿そのものもおもしろいが、さらに興味深いのは、これらの発見によって、それまで科学者たちが、太陽系の構造をもとに組み立ててきた惑星形成理論ががらがらと崩れ落ち、新たな理論を構築する必要に迫られているというのである(実のところ、それまで系外惑星が見つからなかったのは、系外惑星も太陽系の惑星とよく似ているだろうという思いこみにも一因があるという)。

 新たな発見によって、新たな理論が生まれようとしている、まさにその現場に我々は居合わせているのだ。これこそ、科学の神髄とでもいうべき、なんともわくわくする話ではないだろうか。

 なお、これら系外惑星の異様な姿や、現在どんどん研究が進んでいる惑星形成理論の研究については、『異形の惑星』(井田茂著/NHKブックス)という本に詳しく書かれているので、興味を持たれた皆さんには、一読をお勧めしておく。

 とかって書いてたら、なんと「生命が存在できるかもしれない地球型の太陽系外惑星を発見」というニュースが飛び込んできたので、次回はさらにその話に続きますよ!

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堺三保氏のプロフィール

作家/脚本家/翻訳家/批評家。

1963年、大阪生。関西大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程前期修了(工学修士)。NTTデータ通信に勤務中の1990年頃より執筆活動を始め、94年に文筆専業となる。得意なフィールドはSF、ミステリ等。アメリカのテレビドラマとコミックスについては特に詳しい。SF設定及びシナリオライターとして参加したテレビアニメ作品多数。仕事一覧はURLを参照されたし。2007年1月より、USCこと南カリフォルニア大学大学院映画学部のfilm productionコースに留学中。目標は日米両国で仕事ができる映像演出家。

ウェブサイトはhttp://www.kt.rim.or.jp/~m_sakai/、ブログは堺三保の「人生は四十一から」


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