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» 2007年06月11日 10時42分 UPDATE

ケータイネットの現場から:あおれば売れる? 携帯メールと通販の関係

携帯ECの成功の鍵は、販促メールが握っています。送信元メールアドレスを工夫したり、件名で「残り○○個」などとあおったりすることで購入率が上がります。

[佐藤崇,ITmedia]

 携帯電話向けWebサイト通じた物販が最近、急拡大しています。モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)の調査によると、2002年に344億円だった市場規模は、2005年には1542億円に伸張。パケット料金定額制の導入が本格化した2004年を境に急拡大しています。

 携帯EC市場には、大手PC通販プレイヤーだけでなく、携帯専業のベンチャー企業が活躍していることや、直営店舗が多く、特定のモール型サービスに利用者が偏っているわけではない、という特徴があります。楽天市場やAmazon.co.jpは、携帯通販の分野でも強力なプレイヤーですが「ガールズショッピング」「ちびギャザ」「ONE☆FESTA」「モバコレ」など多数のサービスが混在しています。

 ECサイトを運営する各企業は、主にメールマガジンを利用して販促しています。販促メールは、送信のタイミングを工夫したり、件名に「残り○○個」などと書いて購入をあおったり、文面をキャラクターが書いているような体裁にしたりすることで、読まれる確率(開封率)や購入率が上がります。

メールはなぜ重要か

 携帯ECを効率的に展開する上で重要なのは“お得意さま”をいかにして囲い込むか、ということです。その鍵となるのがメールです。ECサイトに限らず、携帯サイトは、メールを経由して利用されることが多いからです。

 ECサイト運営者は、ヘビーユーザーに対しては、1日に3回メールを送ることも珍しくありません。メールが欲しくないユーザーは解約したり、アドレスを変更したり、迷惑メール設定しますから、結果として“濃い”ユーザーのみが残り、何度もメールを送っても読んでくれるのです。

 重要なのは、商品を購入する確率が高そうなメールアドレスを他社よりも早くいかに貯めていくかということと、携帯ECの愛好者でないアドレスを排除していくことだと言えます。

読まれる時間帯を狙う

 携帯メールのアクションの傾向の最大の特徴は即効性です。メールマガジンを配信すると1時間以内に何らかの反応を示すのが全体の3割、24時間以内になると7割程度あると言われています。ですから、メール経由でECサイトへのアクセスを増やすためには、ユーザーが暇な時間帯に、タイミングよくメールを送る必要があります。

 ユーザーが開封しやすい時間帯は、お昼休み、夕方と、午後8時〜9時前後です。また、テレビの健康番組が放映された直後に、それに関連する件名のメールを送ったり、「号外」「限定」「バーゲン」などと書くと開封率が高まります。開封率は、掲載されているリンクすべてのクリック数が大幅に上がっていることで分かります。

「買わせる」メールとは

 開封後の購入を増やす方法の一つに「その場であおる」という方法があります。メールに「締め切りまで時間がない」「残りが少ない」「つい先ほどテレビで放送された」といったキーワードで文字通り「あおって」いくことで、開封率や、URLのクリック率が高まります。

 当社の経験だと「残り○○日」「残り○○個」といった文言を入れ、点滅させたり文字をスクロールさせると、URLクリック後に購入に至る確率(コンバージョンレート)が高まりました。

 「○○ちゃんが愛用」「○○くんと同じモデル」などと、有名人の名前を入れたメッセージも効果があり(もちろんパブリシティー権に配慮する必要がありますが)、クリック率は2倍以上に上がります。ただ、この場合はそこから先のコンバージョンレートは若干下がってしまい、全体で見ると、購入数は、何も書かなかった場合と比べて若干高まる程度です。有名人の名前は、誰にでも興味をそそるのでクリックはされやすいのですが、そこから購入というアクションにはつながりにくいようです。

 また、文面を特定のキャラクターが書いているという設定にすると、メールを最後まで読んでくれ、下の方のURLのクリック率が上がるという傾向があります。例えば、モバゲータウンのメールマガジンは常に「マキ」というキャラクターが書いてますし、GREEのメルマガは「リーナ」が書いています。

携帯ECの今後

 メールを中心とした訴求でお得意さまを獲得してきた携帯ECですが、今後、その状況は変わってくるかもしれません。検索サービスの一般化とともに、商品を検索して購入するユーザーも増えるでしょうし、価格比較など購入を支援するサービスも、今後充実してくると思います。キャリア各社もECに力を入れていますし、今後の動向から目が離せません。

佐藤崇

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 モバイルポータルサイト「F★ROUTE」(エフルート)運営するエフルート社長。

 1975年生まれ。慶応義塾大学大学院社会学研究科修士課程卒業。2000年、フォンドットコムジャパン(現オープンウェーブ)に入社。携帯電話向けコンテンツディベロッパーマーケティングに従事した。2001年にオープンサイト運営者として独立、後に事業売却。2003年、ビットレイティングス株式会社(現:エフルート株式会社)を設立。F★ROUTEを中心にモバイルサイトのアグリゲーター業務を行う。

 著書に「ケータイ・ビジネス 成功の新常識」がある。


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