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ハイビジョン時代のムービー保存学小寺信良(1/3 ページ)

» 2007年11月05日 08時30分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 次世代DVDの争いも、従来のDVDメディアにハイビジョン記録ができる「AVCREC」、「HD Rec」の登場により、別の次元での争いが始まったようだ。リーズナブルなメディアが使えることは大歓迎だが、ここではテレビ録画からちょっと目線を変えて、次世代DVDレコーダーがビデオカメラの保存にどう使えるのか、ということに注目してみたい。

 昨年デビューしたビデオカメラのAVCHD規格は、ハイビジョンももはやビデオテープではなく、ノンリニアメディアに撮れるというところが大きなポイントであった。当初はDVDメディアにハイビジョンを書くというものだったが、併せて登場したHDDやメモリ記録型ビデオカメラは、20分単位のメディアチェンジからユーザーを解放した。

 だがその反面、必ずいつかはどこかに映像をバックアップして、消さなければならない。つまり必ずアフター作業が発生するようになったのである。多くのビデオカメラには、PC用のバックアップソフトが付属している。カメラの映像を吸い上げ、DVDメディアやPCのHDDに保存できる。

 しかしこの方法には盲点がある。それはハイビジョンカメラユーザーとハイエンドPCユーザーが、必ずしも一致しないということだ。H.264を右から左にバックアップするだけなら、ある程度のマシンで済むかもしれない。だが、PCでちょっと映像の中身を確認しよう、あるいは編集しようとなると、Pentium Dデュアル、もしくはCore Duo、Core 2 Duoといったレベルのプロセッサが必要になる。

 いまどきCore 2 DuoはノートPCにも搭載されているが、普段はネットサーフィンやメールで十分、使いこなせるかわからないビデオ編集のためだけに最新モデルに買い換えたくないと考える人も多い。そう考えれば、レコーダーがハイビジョンビデオカメラの面倒を見てくれるというのは、理に適った選択であろう。

AVCRECを前面に押し出すパナソニック

 先月のCEATEC 2007でお目見えしたパナソニックの新DIGAでは、DVDメディアにハイビジョンを記録するAVCREC機能を搭載した(→松下、AVC録画対応のBlu-ray DIGAを発表)。パナソニックのAVCHD対応ビデオカメラはほとんどSDカードに撮影するが、このSDカードを取り出してDIGAに突っ込めば、ダビング準備が完了する。

photo CEATEC2007でデビューした新DIGA「DMR-BW900」

 このとき、ビエラリンクで接続した薄型テレビのビエラがあれば、SDカードをDIGAに差し込んだ時点で、ビエラの入力が自動的に切り替わる。DIGAでは最初にどのメディアにダビングするかの選択が必要なので、こういう仕掛けになっているわけである。

 具体的には、この映像をBDあるいはDVD(AVCREC記録)にダビングするか、HDDにダビングするかの選択画面が出る。希望のメディアを入れて決定ボタンで、ダビングが開始される。

 本来であれば、AVCHD規格で撮影したのだから、AVCHD規格のDVDディスクを作成して保存するのが筋なのだろう。だがそうなると、1台のレコーダーでAVCHDとAVCRECが書き込めることになり、非常にややこしいことになる。だからAVCHDは読み込みだけにして、記録はAVCRECに統一したということだろう。

 AVCRECでのダビングは、そのまま右から左への単純コピーだが、HDDにダビングすれば、多少の編集はできる。もともとDIGAは編集機能を減らして操作を単純化し、それで売り上げを伸ばした経緯がある。素材として取り込んだ映像をがっつり編集するという用途までは、あまり想定されていない。

 DVDメディアを使ったAVCRECへの保存は、追記もできる。SDカードからのバックアップには便利だ。特に信頼性の高いDVD-RAMが使えるという点で、小分けして長期保存という用途に向いている。もちろんBDに保存してもいいわけだが、もしメディアを紛失してしまった時のことを考えると、代えが効かない大事な記録映像を1メディアに大量に記録しておくというのは、リスキーである。

 その一方で不安材料といえば、AVCRECという「繋ぎ」のフォーマットを、未来永劫サポートしてくれるのかという点である。この問題はAVCHDフォーマットが登場した時にも指摘したが、現時点でAVCRECは、自己録再のみとなっている。他に対応プレーヤーなどもないのでそうなってしまっているわけだが、このあたりが光メディアの怖いところだ。

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