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IE 8は約束を守り続けられるか

» 2008年01月11日 13時53分 公開
[Jim Rapoza,eWEEK]
eWEEK

 Internet Explorer(IE)8がやって来る。そしてこれが標準準拠になるという。ヤッホー! 使ってみるのが待ち遠しい。

 ところでそれはいつになるのだろう。2008年上半期のどこか(多分5月か6月ということだろう)で最初のβが登場するらしい。

 つまり、すぐに使ってみるというわけにはいかないようだ。しかし、Webブラウザ標準準拠のための重要なテストであるWeb Standards ProjectのAcid2を、IE 8がパスしたことはご存知だろうか。

 IE 8の社内ビルドがAcid2テストに合格したのだ。α版と呼べるものかどうかさえ確信が持てないが、これはIE 8が標準準拠になるということに違いない。

 いや、どうも確信が持てない。このことを考えるにつけ、正式版のIE 8が出荷されるまで、機能や標準準拠についてあまり興奮し過ぎるのは待った方がよさそうだ。

 何しろMicrosoftのことであり、初期のαとプロトタイプの約束なのだから、慎重に疑いを持ってかかるに越したことはない。

 コードネーム「Longhorn」というエキサイティングな新OSについて、Microsoftが2003年に行った華々しいカンファレンスやデモを覚えているだろうか。これが提供するはずだった革新的、画期的機能にまつわるあの興奮を。その一部は初期のプレゼンテーションでデモが披露された。当時多くの評論家が、LonghornはOSの様相を根本から変えてしまうだろうと予想した。

 その後LonghornはVistaになり、次から次へと約束していた機能は、頓挫するか、結果的に空約束になってしまった。Vistaユーザーの皆さん、WinFSファイルシステムはどんな具合ですか。

 IE 8が初期の約束を絶対に実現できないと言っているわけではない。IE 8がAcid2テストに合格できることをMicrosoftは実証したのであり、後に退くのは難しいだろう。

 しかし、IE 8チームには多大なプレッシャーがかかり、完全な標準準拠の足を引っ張るかもしれない。デベロッパー(特にMicrosoft中心のデベロッパー)は大多数が非標準サイトの構築に慣れてしまっており、IE 8で自分のサイトが壊れることは望まないだろう。

 Microsoftがこうしたデベロッパーを満足させるため、標準準拠から少しだけ後退しようと決める可能性は完全にゼロではない。ユーザーが標準準拠サイトと非準拠サイトを見分けるために、ボタンをクリックしなければならない切り替えモード付きのIEになる可能性さえある。

 もちろん、わたしが疑い深過ぎるのかもしれないし、Microsoftは初期の社内ビルドに従って開発を続け、素晴らしい標準準拠のIE 8をリリースするかもしれない。そうなることを願いたい。

 ただ、そうなったとしても、ブラウザ戦争の様相が大きく変わるかどうかは分からない。IE 7の最大の問題は、VistaとWindows XP SP2でしか実行できない点にあるからだ。もしIE 8がこれと同じ、またはプラットフォームのサポート制限がさらに多ければ、ブラウザ戦争で首位をキープする能力は今後も衰え続けるだろう。

 保証するよ。

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