コラム
» 2008年05月19日 10時43分 UPDATE

OLPCプロジェクトを制したMicrosoftの「OWPC」戦略 (1/2)

MicrosoftがOLPCのXOにWindowsを搭載すると発表した。OLPCはLinuxとのデュアルブートオプションを提供するとしているが……。

[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftの「One Windows Per Child」(OWPC)戦略はうまく成功した。どうやら「Sugar」は名前ほど甘くなかったようだ。

 しかしこの代替はSugarより口当たりがいいのだろうか。OLPC(One Laptop Per Child)にまつわるドラマが愛憎劇と化す中で、問うべき問題はそれだ。上層部が離脱し、ノートPCは予定していた100ドルでなく200ドル近い値段になり、今度はWindows XPがSugarを追いやろうとしている。世界の若者に影響を与えたがっている者がいるのだ。

 Microsoftは5月15日遅くにこの発表を行い、わたしは就寝前にそれをブログに書きかけた。しかしこのドラマの裏にある微妙な機微をすべてつかむには、頭をスッキリさせる必要があった。

 Microsoftの発表は単純だ。OLPCはノートPC「XO」向けにWindows XPをライセンスする。6月に一部の新興国市場で試験提供が始まるが、Microsoftのプレスリリースではそれがどこかは明かしていない。幸い、MicrosoftのUnlimited Potentialブログはもっと率直だ。Unlimited Potential部門マーケティング/コミュニケーション担当ジェネラルマネジャー、ジェームズ・ウッシュナイダー氏はブログに次のように記した。

 「この製品は8月か9月にRTM(製造工程向けリリース)を開始する。まず、政府やNGO(非政府組織)が補助金を出して児童・生徒向けにPCを大口購入する新興国のみで提供するが、いずれ流通網を拡大し、ほかの顧客向けに提供する可能性もある」

 ジェームズはMicrosoftの目的についても極めて率直だ。

 「われわれから見ると、XOへのWindows搭載は、Microsoftが教育改革を支援するため開発してきた製品とサービスの優れた追加ポートフォリオとなる。これはUnlimited Potentialの主要テーマの1つだ。XOに移植するWindowsは、XOのメモリとストレージの制約に対応するため機能を削減することはしない。Microsoftがそうするのはなぜか。理由は単純。人々がそれを求めているからだ。それが教育を変革させ、雇用と機会の創出につながる」

精神的指導者

 Microsoftのビル・ゲイツ会長は恐らく同社の精神的指導者になるだろう。ゲイツ氏がフルタイムの独占主義者から慈善家に変わるのと同時に、Microsoftが新興国市場にこれほどの重きを置いているのは興味深い。MicrosoftはUnlimited Potentialに慈善宣伝的な要素を持たせたが、これは慈善事業ではない。商売だ。Microsoftはさらに多くの市場でさらに多くの製品を売りたいと思っている。慈善的に見せているのは営業努力の一環だ。

 確かにMicrosoftは人助けをしている。しかし、与える喜びを糧としていたマザー・テレサとは違う。MicrosoftはUnlimited Potential事業で利益を得ている。Linuxを搭載した安価なXO PCは、Microsoftの将来的な利益を侵害する。Microsoftのソフトと同社サービスの大部分はWindowsが必要なのだから。

 わたしはこのプロジェクトを「One Windows Per Child」と命名したが、失礼ながら、自分だったらこれにかかわることを恥じるだろう。新興国はあまりに長い間、いわゆる先進国で不用になった物品や衣類、それに医薬品までを受け取ってきた。Microsoftの現代のOSはWindows Vistaだが、XOに搭載するのは8年前のOSであるWindows XPだ。制約があるのは認める。VistaはXOのような低電力のフラッシュベース端末で実行するには、あまりにハードウェアリソース要件が高過ぎる。しかしそれはMicrosoftの開発上の問題だ。

 覚えておきたいのは、ビルは慈善家の道を歩むのかもしれないが、Microsoftがそれに完全に従うわけではないということだ。ビルは新興国向けに何でも二流品を届けることは提唱していない。この点で言えば、彼の会社よりは無限の可能性を指向している。

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