コラム
» 2008年07月18日 13時07分 UPDATE

iPhoneはWindows 95を継ぐもの

Windows 95は業界を変える製品だった。その次に業界を変えるのはiPhoneだ。

[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 Windows 95の登場はパーソナルコンピューティングにおける目覚ましい瞬間だった。その継承者が現れた。

 だが、現れたのはMicrosoftからではない。Appleは21世紀の初頭を決定付けるプラットフォームを立ち上げた。PCは死んだ――あるいは死ぬ。スマートフォン、というか、iPhone万歳。

 Windows 95以降、iPhoneほど注目と興奮を集め、長い行列を作らせたテクノロジー製品はなかった。しかも、初代iPhoneと7月11日に発売された3Gモデルの2回だ。Windows 98発売のときの行列とは違う。Microsoftには1度、業界を変える瞬間があった。Appleは同じ製品の2つのバージョンで長い行列と大きな話題を生んだ。

Windows 95を取り巻く熱狂

 13年前のMicrosoftのように、時には、製品に都合のいいことがちょうど良く起きることもある。Windows 95は前のバージョンより改良されていたが、それでも最高のOSではなかった。OS/2 Warpの方が安定していたし、もっと高度なオブジェクト指向ユーザーインタフェースを持っていた。だがWindows 95はWarpよりも高速な動作を実現した。タイミングがMicrosoftに味方した。策略も。PCの運命は決まっていた。問題は、PCがメインストリームで成功するためのプラットフォームをどこの企業が提供するかだった。

 Windows 95はコンバージェンスの時代に最適の選択肢だった。PCを買えば暮らしが便利になると期待して、ますます多くの人がPCを買っていた時代だ。力はデスクトップだけでなく、AOL、CompuServe、Prodigyなどのオンラインサービスにもあった。1995年8月の時点では、World Wide Webはあまり世界的に知られてはいなかった。成功の秘けつは、Microsoftがほとんどの人にとって十分な製品をリリースしたこと、Windows 95を効果的に売り込み、宣伝したこと、買えばもっと幸せになれるとか、個人としても仕事の上でも成長できるという期待を生み出したことにある。

 Windows 95を取り巻く熱狂は人々を酔わせた。皆は歴史的瞬間に参加し、Windows 95を最初に購入し、アップグレードする人になりたいと思った。1995年8月24日深夜にはコンピュータストアの外に長い行列ができた。Windows 95発売の前後、興奮は数カ月続いた。このOSはMicrosoftのビル・ゲイツ会長の「すべてのデスクにコンピュータを」というビジョンを現実のものにした。Windows 95の立ち上げにより、PCはメインストリームに受け入れられた。

そしてPCから携帯へ

 だがPCの時代は終わりに近づいている。携帯電話は当時のWindows 95よりもずっとパーソナルで強力で便利だ。iPhone 2Gのパワーとパフォーマンスに比べると、わたしの初めてのWindows 95 PC――当時は目覚ましかった486プロセッサ、8MバイトのRAM、240MバイトのHDDを積んでいた――と9600ボーモデムなどかすんで見える。

 携帯電話メーカーが毎年出荷する端末は10億台と、Windows PCの全インストールベースより多い。単純に数で見れば、携帯はPCよりもずっと魅力的なプラットフォームデバイスだ。

 PCと同様に、携帯電話の運命も決まっている。携帯は最も広く使われるパーソナルデバイスとして、コンピュータに取って代わるだろう。今は補佐的な役割をしているが。問題は、PCのP(パーソナル)を取って携帯に入れる魔法の方程式をどの企業が考え出すかだ。その次のP“パーソナル”デバイスになるのがiPhoneだ。劇的なビジネスの問題でその歩みが遅れてしまわない限りは。今のところ、週末に起きたアクティベーションの問題を除けば、Appleは真のモバイルの機運を得ている。

成功の秘けつは

 今の状況は、13年前のWindows 95とかなり似ているように感じる。iPhone、それから今は2世代目への果てしなき熱狂があり、人々は長い列を作っている。14日午後にカリフォルニア州ラホーヤのApple Storeに行列ができているか電話で聞いてみた。発売から4日経つのに、まだ長い列ができているという。iPhone 3Gは1つの現象だ。

 だが、現象になったからといって、成功が保証されるわけではない。かつてはホットだった製品の多くは失敗し、忘れられた。だがAppleは1995年のMicrosoftと同じように、ふさわしい時期にふさわしい製品を投入したふさわしい企業に思える。それにAppleはWindows 95の成功の秘けつから、幾つかの要素をより分けた。

  • 流通:Windows 95はどこにでもあった――新品のPCにも小売店にも。iPhoneもそうだ。Appleは10日に、2Gモデルと3Gモデルを同等にするソフトアップデート「iPhone 2.0」をリリースした。限定された流通経路で販売した最初の650万台をアップグレードしたのだ。iPhone 3Gは21カ国で立ち上げられ、一部地域では複数キャリアから提供される。販売地域は年内に70カ国になる予定だ。

  • パーソナルであること:先に述べたように、携帯電話は非常にパーソナルなデバイスだ。人々は携帯電話をほぼどこにでも持って行って、個人的な関係や仕事上の関係を維持するのに使っている。ユーザーは電子メール、音楽、写真を管理するようになり、スマートフォンの「スマート」は、デバイスをさらにパーソナルにしている。PCもパーソナルだが、携帯ほどではない。墓の中まで持って行きたいほどPCに愛着を持っている人がどのくらいいるだろうか? だが、墓の中まで携帯電話を持って行きたいという人はいくらかいる。iPhoneのマルチタッチなどの機能で、携帯はさらにパーソナルになる(自分の指を使うよりもパーソナルなことがあるだろうか?)。

  • あこがれ:iPhoneは満足感をもたらす製品だ。11日と12日に、iPhoneを買うために待っていた多くの人にその理由を聞いてみた。その答えには常に、もっと幸せになれる、生活がよくなるという共通のテーマがあった。それは「クール」であることかもしれないし、あるいは「他人とつながる」ということかもしれない。Windows 95も同じようにあこがれを持たせる魅力があった。

  • 価格:アップグレード版を購入する早期導入者の場合、Windows 95のコストは実質89ドルだった。人々が得られる(と思っている)メリットの割に、Microsoftはあまり多くのお金を求めなかった。iPhoneも同様だ。199ドルという価格は、iPhone 3Gのメリットと思われるものにふさわしいと感じられる。

  • アプリケーション:MicrosoftにはたくさんのWindows 3.1アプリケーションがあり、Windows 95立ち上げ時には同OSの新しいネイティブアプリケーションも十分にあった。Appleには、年中無休、24時間営業でアプリケーションを販売するApp Storeがある。iPhoneのとりこになった利用者は、iTunes Storeで買い物をしたことのある人にはおなじみの方法で、簡単にアプリケーションを購入できる。

  • Businesses:歴史の上では、Windows 95はコンシューマーOSと考えられているが、企業に幅広く訴求した初めてのWindowsのバージョンでもある。iPhone 2.0を搭載した2Gおよび3G端末で、Appleは法人市場に打って出る準備ができた。Exchangeサポートとネットワークセキュリティ強化はAppleの法人に向けた第1撃だ。第2撃を繰り出すのはサードパーティーの開発者だ。例えば、OracleとSalesforce.comのアプリケーションはApp Storeで購入できる。

モバイルは未来

 こんなことを言っているからといって、わたしをAppleマニアだとは思わないでほしい。Appleにとって、タイミングと手法がうまく働いたということだ。iPhoneとApp Storeはちょいどいい時期に登場した適切なプラットフォームだ。Appleにはミスもあったが、ほかの人々をiPhoneの周りに集めることは確実だろう。今のところ、Appleは正しい道を歩んでいる。

 たとえiPhoneがつまづいて転んでも、携帯はコンピューティングとコネクティビティ(つながり)の未来であり続ける。音声入力がタイピングに取って代わるまで、あとどれくらいだろうか? キーボードが要らないのなら、携帯電話でいつでもどこでもコンピューティングできるのに、PCが必要になる理由などあるだろうか。

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