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» 2008年09月19日 17時36分 UPDATE

MSの新キャンペーン「壁のない世界」は成功するか (1/2)

Microsoftの宣伝はようやく、前向きに評価できるところまでこぎつけた。Appleに対抗した「わたしはパソコン」CMには不満だが。

[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 米Microsoftの新しい宣伝キャンペーン「Life Without Walls」(壁のない世界へ)は出だしは良さそうだ。

 新キャンペーンは9月18日から開始され、印刷媒体やテレビを含むさまざまな媒体に載る予定だ。Microsoftの宣伝はようやく、わたしが前向きに評価できるところまでこぎつけた。といっても評価できるのはわずかだが。同社がこれをそれなりにうまくできるようになるまで、なぜこれほど時間がかかったのだろう。

 わたしはいまでも、Appleの向こうを張った「わたしはパソコン」のコンセプトには不満だが、キャンペーン全体は有望だ。印刷媒体の広告ではコピーよりもビジュアルが気に入った。ただしこれは褒めているのではない。

 Microsoftは18日、新しい宣伝キャンペーンについてオンラインサービス&Windows事業部上級副社長ビル・ベイト氏のインタビュー動画を公開した。Microsoftがこのようなインタビューを掲載しながら、報道機関への接触は限定的または一切行っていないのは本当に腹が立つ。このインタビューはビデオニュースリリース(VNR)のWeb版に等しい。

ただの宣伝文句でなく事実

 それでもベイト氏は、引用に値することを言っている。Windowsのことをユビキタスと形容したが、これは事実だ。「そのユビキタス性ゆえに極めて実用的になり、魔法や感情的なつながりは失われた部分もある」とベイト氏は説明したが、これはつまり「Windowsは退屈だ」という意味だ。それは正しい。Windows Vistaユーザーの多くにとって、VistaはWindows XPと全然変わらないのに、ハードウェアやアプリケーションなどユーザーが要求されるものはずっと多い。XPユーザーの多くにとっては、過去数年でほとんど何も変わっていない。

 Microsoftは今回の宣伝キャンペーンで、Vistaがやり損なったことをやろうとしている。つまり、Windowsをもう一度エキサイティングなものにしようとしているのだ。問題は、Windowsより素晴らしいMicrosoftライフスタイルがあると訴えていることだ。このキャンペーンにWindows LiveとWindows Mobileも含まれている1つの理由はそれだ。

 しかしこの宣伝キャンペーンにはもっと根本的なものがある。「Windowsは人々が壁を取り払って暮らすことを可能にしてくれる」とベイト氏はMicrosoft VNRの中で請け合っているが、この発言はとても重要だ。これはただの宣伝文句ではない。これは理念であり、Microsoftの企業文化の一部なのだ。

walls

 ビル・ゲイツ、ポール・アレンの両氏が1975年にMicrosoftを創設したころには、コンピュータの壁――大型の空調設備に縛り付けられたとてつもなく巨大なメインフレーム――が多数そびえていた。ビル・ゲイツ氏は、「すべてのデスク上にPCを」というミッションを定め、それがこうした壁を取り払うことだった。わたしが知っているMicrosoftの社員はほとんどが、自分は個人としての人々と人類全体をより良くするために働いていると信じている。実際にそうなのかどうかは信念とは関係ない。

 「Windows. Life Without Walls」のキャンペーンに潜在的な力を与えているのは、Microsoftの企業文化に盛り込まれているものだ。これはただの宣伝文句ではなく、Microsoftそのものを表している。失敗に終わったVistaの宣伝キャンペーン「Wow」についてもわたしは同じことを言った。わたしは当時も今も、「Wow」のファンだ。そのメッセージの根底に流れる理念は「Life Without Walls」とそれほど変わらない。

シンプルだが単調な印刷広告

 最初の印刷媒体用広告は極めて示唆に富んでいる。キラーコンセプトとして、Windowsのロゴの形をした窓がぶち抜かれ、その先にはVista、いやvista(眺望)が開けている。これは古典的な広告だ。Microsoftが使っている広告代理店Crispin, Porter + Boguskyが制作した広告に典型の、男らしい要素がある。

 このほかの印刷広告は印象的ではあるが、平凡だ。ある種PowerPointのプレゼン資料のような質とも言える。その簡潔さは称賛に価する。どれも同じようであることは批判されていい。こんなものは以前も見たことがなかっただろうか。3億ドルでは独創性は買えないのか。

penguin

 伝えたい内容は結構だが、素晴らしいとは言えない。さまざまなデバイスを横断して映った画像は、そのすべてが接続されていることを連想させる。Microsoftにはマルチデバイスのメッセージが必要だが、このコンセプトにはまったく独創性がない。わたしでもこのくらいのことは空き時間にだって思い付くだろう。

 Windowsにペンギンとはどういうことだろう。Linuxとペンギンの関係なら知っている。しかしなぜWindowsで? こう問い掛けるのは、画像の選択にはサブリミナル的要素があり、ターゲットとする視聴者よりもMicrosoftの社員の感情の流れを連想させる可能性があるからだ。広告に使われているイメージと、それに対するわたしのサブリミナル的解釈は以下の通り。

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