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Microsoft Phoneはあり得ない? それでもわたしは信じている

» 2008年11月27日 15時21分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 マイケル・ガーテンバーグによると、Microsoft Phoneに関するわたしの見解は間違っているという。ちょっと待って、マイケル。

 「わたしはMicrosoft Phoneの登場を信じている」――。11月24日、わたしはブログにそう書いた。この記事をめぐっては、Microsoft Watchの記者らの間で活発な議論が交わされ、一部には外部からも意見が寄せられた。

 そして25日の夕方、わたしはマイケルからインスタントメッセージ(IM)を受け取った。彼はわたしが以前JupiterResearchに勤めていたときの上司で、その後、MobileDevicesTodayのアナリスト兼ブロガー兼編集者に転身している。マイケルは「Microsoftが近い将来、自社ブランドの携帯電話を投入することはないだろう」と題した記事を掲載している。彼の見解は以下の通りだ。

 Windows MobileはコアプラットフォームでありOSだ。これまで技術プラットフォームを他社にライセンス供与し、その後、自社ブランドのデバイスを開発して競争に成功した企業は1社もない。Appleは失敗したし(しかも2回)、PalmとNokiaも挑戦したが、うまくいっていない。現在Microsoftは既に2000万件以上のライセンスを販売しており、消費者向けとビジネス向けの両方の分野の携帯端末でパートナーと強力な基盤を築いている。MicrosoftがZune携帯電話を投入したりすれば、そうしたものをすべて傷付けることになりかねない。

 マイケルがMicrosoftとモバイル端末に関する専門家であることに疑問の余地はない。ということは、わたしの見解が間違っているということだろうか? 本当に? Silicon Alley Insiderでは、ダン・フロマーが「なぜMicrosoftは自社ブランドの携帯電話を開発すべきか?」について次のように説明している

 Windows Mobileは普通のWindowsとは違う。市場シェアの点においても、価格の点においてもだ。2000万件のライセンスを販売したとしても、Microsoftにとってそれほどの利益はもたらさない。調査会社Strategy Analyticsによると、Windows Mobileのライセンス料は携帯電話1台当たり8〜15ドルにすぎないという。上限値で計算したとしても、1年間にライセンスを2000万件販売してMicrosoftが得られる売上高は3億ドルにすぎない。来年度700億ドル近くの売上高を見込んでいる会社にとって、それではソファの糸くず程度だ。

 ダンによると、Appleは今年7〜9月期に690万台のiPhoneを販売し、49億ドルの売り上げを記録しているが、それと同程度の売り上げを得るためには、MicrosoftはWindows Mobileライセンスを1件当たり15ドルで3億件販売しなければならないという。これは、毎年販売されている携帯電話全体の3分の1近くに相当する台数だ。自社ブランドの電話を販売する方が理にかなっており、その方が売上高も増やせる。ダンは次のように指摘している。

 では支出は? たとえMicrosoftが来年、例えばiPhoneの半値の300ドルという非常に低い卸値でMicrosoftブランドの携帯電話を100万台しか販売できないとしても、それだけでWindows Mobileの売上高と推定される3億ドルに相当する。それに加えて、アプリケーション販売の手数料や内蔵のLive Search機能からの検索収益、Xboxとの抱き合わせ販売の可能性なども考えられる。そんなに悪いアイデアではないだろう。

 この件に関するわたしの考えはシンプルだ。MicrosoftのモバイルOS戦略とブラウザ戦略は混乱している。それが経営の失策なのか、あるいは何か秘密のプロジェクト(例えば、Microsoft Phoneなど)のせいなのかは分からないが、わたしはMicrosoftが何もしていなかったのではなく、携帯電話に関して何かしていたのだと思いたい。マイケルが正しいのかもしれない。だが、何もしないのはMicrosoftにとって得策ではないはずだ。

 年末商戦期が始まろうとしている。子供たちはサンタクロースを信じ、大人は善意を信じる季節だ。2003年の映画「ピーターパン」では、ティンカーベルを生き返らせようと子供たちが「わたしは妖精を信じます、信じます、本当に信じます!」 と繰り返し唱えていた。あなたはMicrosoft Phoneの存在を信じるだろうか? わたしは信じます、信じます! そうでなければ、Microsoftの携帯電話戦略は終わったも同然だ。

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