キャリア(生涯の仕事)を見つける自分らしいキャリアを築くために(最終回)(1/2 ページ)

最終回は、キャリアレベルでのWhatを引き出します。子供の頃になりたかったものから、自分の天職が見えてきます。

» 2006年12月19日 10時18分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

自分らしいキャリアを築くために
  連載タイトル
1 キャリアに「目標」は必須ではない
2 判断&行動の基準「What」を明確にする
3 みんな「どうしたら?」は得意だけど……
4 4つのレベルでWhatを引き出す
5 どうやって“What”を引き出せばいいか
6 個人のWhatと会社のWhatの共有ゾーンを広げよう
7 Whatを見つけて、今いる会社でオンリーワンの自分になる

 今回は、一生涯の仕事、天職を見つけるヒントを紹介します。今の会社にとらわれずに、本当にやりたいことはなんでしょうか? それを引き出すために、ちょっと、みなさん、10歳頃になりたかったものを思い出してみてください。


Biz.ID編集者 斎藤の場合

平本 斎藤さんは、何になりたかったですか?

斎藤 10歳というと小学校4年生くらいですよね。あの頃は翻訳家になりたかったです。

平本 翻訳家。それはまた、面白いですね。どうして翻訳家になりたかったんですか?

斎藤 理由は2つあって、1つは、翻訳家って、日本人で最初にその本を読む人じゃないですか。最初に読みたいな、と思ったんです。あと、それをみんなに広めたい、と思ったことも理由です。いいものを伝える、ってことができること。でも、その当時そこまで考えていたかどうかは、ちょっと……。

平本 今の思いでいいですよ。いいものを伝えたい、と思ったわけですね。

注釈 その当時の理由が浮かばなくても、まったくかまいません。「今、考えてみたら、こうだった」でもいいのです

平本 今、翻訳家になれたとしましょう。すでに日本人の10万人がその本を読んでいて、それを訳すとしたらどうですか? 最初に読む日本人ではないし、「クオリティが低いな〜。でも、まあ、訳せば金にはなるよな〜」っていう翻訳だったら?

斎藤 全然やりたくないです。

平本 じゃあ、翻訳家にはなれませんでした。でも、今、会社で新しいコンテンツを立ち上げて、心理学のアイデアを先に知って、必要とするビジネスマンに広げることができています。さっきの、劣悪なものをお金儲けのためにやっている翻訳家と、どっちがいいですか?

斎藤 今のほうが断然いいです。

平本 価値観が見えてきますね。

斎藤 そうですね。余談ですが、けっこう英語の勉強をがんばった時期もあったんですよ。でも、なんか違うな〜と思うところもありました。

平本 肝心なのは、英語じゃないんですね。語学の問題じゃなくて、「いいものに先に触れる」ということと「いいものを広げたい」ということですね。仮に、今の会社で「とにかく、このコンテンツをできるだけ前例通りにやってくれ」といわれたとしたら、嫌ですよね?

斎藤 嫌ですね。まあ、ほかの人でもできるので、僕は別の方に……(笑)

平本 それでは、IT系ではない、別の分野にいきました。チューブを作っているとか、お金持ち用にヨットを売っている、とかでもいいです。全然違う会社なんだけど、そこで、斎藤さんが新しくて、いい商品を見つけて、通販で販売する、という仕事がきたとしたら、どうですか?

斎藤 面白そうですね。

平本 こういうことですね。どんな仕事だったとしても一貫して、「新しいものを見つけてきて、それを人に広めていく」という価値観は変わらないですね。これが変わっちゃうと、たぶん、やる気がなくなります。では、房野さんは何でしたか?

ライター房野の場合

房野 童話作家です。

平本 どうして童話作家?

房野 その頃、アンデルセンや安房直子が好きだったので、ああいうものを書きたいと思っていました。

注釈 ここで、「そうだったのか」で終わらず、「どうしてそういうものを書きたかったのか?」 と突っ込んでくださいね

平本 どうしてですか? あるいは、何がよかったんでしょうか?

房野 童話の中の世界が、とても美しく感じたので。

平本 美しい世界を、自分が好きなのか、それとも人に伝えたいのか、何がしたかったのでしょうか?

房野 自分が好きでした。そして、私も書いてみたいな、と思いました。

平本 美しくて夢のある世界を、自分が書けたとしたら、自分はどうなっていますか? 楽しくなるのか、人に優しくなれるのか、お金がかせげるのか……。

房野 自分のやりたい仕事を、ずっと続けていけるかなあ、と思いました。女性だから、結婚したら仕事をやめて、じゃなく、ずっと自分の仕事をしていける、と思いました。

平本 じゃあ、大事なのは、「女性だとしても、ずっと仕事を続けられる」のが大事。

房野 そうですね。

平本 じゃあ、童話作家だけど、結婚したら仕事ができなくなるのと、童話作家じゃないけれど、ずーっと続けていけるのと、どっちがいいですか?

房野 童話は、もう今はいいです(笑)。ただ、ずっと仕事はしていきたいな、と思っています。あまり、きつくないのをダラダラとずっと。

平本 そうすると、ライターだけど、めちゃくちゃきついのと、ライターじゃないけれど、ずーっと続けられるのと、どっちがいいですか?

房野 ライターじゃなくても、ずっとダラダラ、という方がいいです。年をとっても、子供がいても続けていける、というようなのがいいです。

平本 じゃあ例えば、ライターとして人気がでて、すごく仕事で忙しくなるんだったら、ガーデニングでマイペースに仕事ができる方がいいんですね?

房野 素晴らしいです! 私、土を触る仕事、やりたいんです!

平本 では、土をいじる仕事だけど、1日16時間、炎天下できつい仕事を……。

房野 あ〜、それはダメです。

平本 それをやるくらいだったら、マイペースにモノを売っているほうがいいですよね? なので、ポイントは童話でもないし、作家でもない。一生懸命ではなく、自分のペースで長くやる、ということですね。


 以上が、10歳の頃のやりたいことが、今、実現している、という例ですね。みなさんは、どういうものが出たでしょうか? 翻訳家だから外国語を日本語にする、というわけではないし、童話作家が出たから物書きにならなきゃいけない、というわけでもありません。

 新しいものを見つけて広める、という要素があれば外国語の本でなくてもいいし、自分のペースでできるというのであれば、作家じゃなくてもいい。それどころか、自分のペースを乱される童話作家だと、房野さんの場合は辛い人生になるのです。

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