人生にも仕事にもサイクルがあります。今回は、それを春夏秋冬の季節になぞらえて、自分の“季節”の過ごし方を考えましょう。
前回、「歩く時期」「走る時期」「止まる時期」についてお話ししました。これを、成功・成長の時期と合わせてみると、こういう感じです(下図)。
人生でもそうだし、仕事でもそうだし、商品でも、サイクルがあるのです。導入期、成長期、成熟期、衰退期、という感じで、どんな商品でもマーケティングにサイクルがあります。人間も、ものも、企業も、すべてのものには季節があるのです。それがここの一番のキーポイントです。ガンガン進んでいるから“いけてる”気になってもダメだし、“いけてない”時期があっても、ずっと落ち込んではいない。季節の流れがあるから、「今はどの季節かな。そして、次に自分に来る季節はどれだろう。その季節をどうしたら一番うまく過ごせるだろう」と考えるべきなのです。
冬の季節にジタバタして必死にあがいても仕方がないので、ちょっとペースダウンして学びの時期にすればいいし、冬の前には蓄えた方がいいですね。逆に、夏が来たら遠慮せずにスピードを上げて飛ばしていけばいい。でも、「またいつかどこかでペースダウンする時期が来るんだな」と分かっていて飛ばす人と、「もうこのまま世界制覇だ!」みたいにやってしまう人では、その後が違います。ガンガン行ってたら全部負債になっちゃった、ということもありえるので気をつけてください。
自分の季節を把握する実習を紹介しましょう。まず、春夏秋冬に関して、それぞれ自分がどんなイメージを持っているかを言ってください。そして次に、それぞれの季節に関して、ポジティブなイメージとネガティブなイメージを両方教えてください。
平本 まず、ステップ1です。春夏秋冬はそれぞれ自分にとってどんな意味がありますか? 春はこう、夏はこう、と書いてみてください。では、春は?
房野 穏やか。
平本 夏は?
房野 暑い!
平本 秋は?
房野 ちょっと寂しい。
平本 冬。
房野 冬は寒くて白い。
平本 斎藤さんは? 春は?
斎藤 春はスタートの時期。
平本 夏。
斎藤 夏は遊びの時期。
平本 秋。
斎藤 秋は勉強の時期。
平本 冬。
斎藤 冬はなんというか、コタツで丸くなる時期。
平本 面白いですね、人によって全然違うけれど、なるほどという感じですね。これがステップ1です。それぞれの季節が自分にとってどんな意味があるか──です。ではステップ2の質問です。それぞれポジティブな側面とネガティブな側面、いい面、悪い面を教えてください。では、春のいい面、悪い面。
房野 春は暖かくて気持ちがいいんですが、眠くて起きたくないんですよ。
平本 斎藤さんは?
斎藤 春のネガティブな面は別れの時期だということ。ポジティブな面は、逆に新しい人たちと合える時期だということ。
」:平本 2人で全く違っていますね。では、夏。
房野 暑くて身体が疲れます。ただ、とても開放的で気持ちのいい時期です。
斎藤 身体を動かしたくなって遊べる時期。悪い面は、身体を壊すことが結構あるということ。怪我も病気も。
平本 では、秋。
房野 ご飯がおいしいんですが、気分的に寂しいイメージがあります。特に関東は紅葉もあまりきれいじゃないし。北海道でもちょっと寂しい気持ちになりましたね。
斎藤 僕は逆に1人でいて嫌じゃない時期で、本を一人で読んでいられていいな、みたいに思えますね。これはポジティブです。ネガティブな面は、なんだろうな……ある意味、ダレる時期ですかね。
平本 なるほどね。では、冬。
房野 昔、北海道にいたので、雪が降って白くてきれいで冬は大好きだったんですが、ただ、こっちに来てから寒いだけのつまらない季節になりましたね。
平本 面白いですね。斎藤さんは?
斎藤 ネガティブは……冬は寒くてあまり外に出たくない、どこかにもぐりこみたい感じです。ポジティブはなんだろうなあ……。
平本 ネガティブしか出てこなくても、ぜひポジティブなものを出してくださいね。
斎藤 食べ物がおいしいです。冬の方が好きな魚が多いし、鍋物も好きだし。夏バテの反対ですかね。食べるのは楽しみですね。
平本 こんな風にステップ2で、それぞれのポジティブ、ネガティブを出します。ではステップ3で、今、自分の人生はどの季節のどのあたりかを言ってください。例えば夏の始めとか、春の終わりとか、いろいろありますね。どんな時期でしょうか?
房野 夏の終わりかな。
平本 ほお。どうして?
房野 あの、今、結構楽しく仕事をしていて、割と安定している時期なのですが、この安定が長くは続かないだろうという予感があるので。その予感のせいで終わり頃に来ているような感じです。
平本 斎藤さんは?
斎藤 僕は夏の始まりぐらいです。
平本 どうして夏の始まりですか?
斎藤 いろいろとバタバタやっていたのが、一応一段落して、ここからは多少、遊びなどを入れつつ、楽しいこともやっていきたいなあ、と思っているからです。ただ、身体を壊さないようにうまくやっていかないといけないな、という感じですね。
平本 なるほど。では、ステップ4です。これから来る季節は?
房野 秋、ですね。
平本 それでいいですか?
房野 そうですね。
平本 じゃあ、どうしたら、この秋のポジティブな部分を十分に引き出して過ごせますか? さっき、自分でポジティブなことをいいましたよね。房野さんはこれから秋ですが、どうしたら秋の良さを引き出せますか? 斎藤さんはまだ夏の始まりなので、夏の良さを出すと同時に、気をつけるところがありますよね。房野さんは、秋は食べ物がおいしいと言っていましたね。けれど物悲しいと。秋をどう過ごしたらよさそうですか?
房野 あまり寂しくならないように……。
平本 どうすればいいですか?
房野 新しい仕事を取りにいく? いや、ちょっと違うな……でも、なんだろうな。
平本 じゃあ先に斎藤さん。
斎藤 何か新しいことをスタートするというのではなくて、ちょっとした遊び的なものをいろいろと試してみたいですね。
平本 なるほどね。夏がこれから始まると。
斎藤 ええ、怪我をしない程度に、ちょっとやってみよう、みたいな感じです。
房野 あまり寂しいと感じないようにしたいですね。楽しい仕事を紹介してくれるような人と知り合ったり、友達と話をしたりして。私の場合は冬になると、もしかして楽しい気持ちになれるかもしれないので、それまでやり過ごしたいというか、なんとかうまく対応していきたいという感じです。
平本 メタファーなんですが、こんなふうにして自分の季節をイメージします。プラスとマイナスを挙げて、今の季節と理由を言って、次の季節をどうしたらいいか、この季節が好きになるにはどうするかを考える。こうすると、次はこの時期だからこんな風に過ごそうというのが自分の中から出てきますよね。
ピークパフォーマンス 代表取締役
平本相武(ひらもと あきお)
1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。
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