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» 2008年03月21日 13時57分 UPDATE

つい口に出る「微妙」な日本語:第6回 「バタバタしてまして」――だから何なんだ!

「パタパタ」でも「ガタガタ」でもなく「バタバタ」。具体的な定義のある言葉ではなく、単にととっ散らかっていることを表すオノマトペ(擬態語)ですが、忙しいフリをするのが大好きなビジネスマンが、実によく」使うフレーズです。

[濱田秀彦,ITmedia]

「最近どう? 忙しいかい?」

「バタバタしてるよ。そっちはどうだ」

「こっちもバタバタしてるよ」

「なんとかならないものかな」

「なんとかしてほしいよ」

「おっと、7階だ。じゃ、また」


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   出現度……★★★★
   不快度……★★

 これは、先日丸の内のオフィスビルのエレベーターの中で、私が実際に聞いた会話です。話をしていたのは、相当メタボな中年男性お二人。ちまたで言うヘビメタな方々です。お二人の会話は見事に成立していました。以心伝心というか腹芸(お腹が出ている人の芸という意味じゃありません)というか、大人の会話の妙を感じます。

 聞いているこちらには、何がどう忙しいのか、よく分かりませんでしたが、察するに「バタバタしている」の中身は、重要なプロジェクトに必死で取り組んでいるというよりは、ちょっとやっかいな仕事がたくさんある上に、クレームなどの飛び込み仕事もあって、忙しいわりには、振り返ると今日何をやったか自分でもよく分からないような状態のことを言っているのでしょう。

 そういう意味では、私も毎日バタバタしています。

 「細かい仕事が重なっていてなんだかすごく忙しい」を「バタバタ」と表現すること自体は、お互いに通じ合っていれば、何の問題もありません。しかし、いつ誰とでも「バタバタ」が描くシーンを共有できるとは限りません。特に、「バタバタ」が言い訳に使われると、場合によっては耳障りです。

「はい、お電話代わりました」

「アップル商事の秋葉です。今日10時に来るんじゃなかったっけ」

「それが、バタバタしておりまして、まだ会社を出られないんです」


 「バタバタ」していることは、遅刻の理由になっていません。おおかた、出がけにやっかいな電話がかかってきたとか、忘れていた処理を慌ててやっているといったところで、少なくとも忙しいのはウソではないのでしょう。

 でも、そのことが、待ちぼうけを食わされているアップル商事の秋葉さんに何か関係のあるのでしょうか? 自分の「バタバタ」に他人を巻き込んではいけません。

「集金にうかがいました」

「バタバタしてるんで、あとにして」

 

「私たちの結婚のことで、話があるの」

「もうバッタバタでさ、それどころじゃないんだわ」


 申し上げるまでもなく、こういうのは何の言い訳にもなっていません。人間性を疑われますので、お心当たりある方は、気をつけましょう。

肝に銘じよ!

バタバタと 音ほどあわてる 理由ある?


筆者:濱田秀彦(はまだ ひでひこ)

ヒューマンテック代表取締役。1960年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。住宅リフォーム会社に就職し、最年少支店長を経て大手人材開発会社に転職。トップ営業マンとして活躍する一方で社員教育のノウハウを習得する。1999年に独立。現在はコミュニケーション研修講師として、プレゼンテーション、話し方、マネジメントなどの分野で年間100回以上の講演を行っている。また、Webサイトのプロデュース、システム開発も手がける。著書には『ビジネス快話力』(主婦と生活社)、『みんなのパワーポイント企画・構成・話し方』(エクスナレッジ)などがある。


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