どこに何をどうメモするか?──『情報は1冊のノートにまとめなさい』5分で読むビジネス書

情報をどこにメモするか。アナログかデジタルか。多くのビジネスパーソンが試行錯誤しながら悩み続ける問題への1つの回答がこれだ。100円ノートを使い、情報の“一元化”管理術を説く。

» 2008年04月30日 17時00分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]
表紙

奥野宣之 『情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション刊)

 本方式は、お仕着せの方法を捨て、能動的にゼロから組み立てた情報管理システムです。

 パソコンでたとえれば、情報ノートの蓄積はハードディスクと言えます。一方、使用者の頭の中(意識)はメモリです。本方式で、「何も覚えておかなくていい」「情報管理に煩わされない」というストレスのない日常生活を送ると、頭=メモリはその能力を最大限に発揮します。(p.29)


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 仕事に必要な情報の種類と量は増え続ける一方であり、じっくりと取捨選別る余裕もないまま、押し寄せてくる情報に飲み込まれて右往左往している。そんな人は少なくないだろう。そんな情報洪水をおぼれることなく泳ぎ切るための一法を紹介しているのが本書だ。

 その方法とはどこででも安く手に入る「ノート」を使うことだという。「どこででも」「安く」というところで、手軽さばかりが先行しているように見えるが、そこには著者の長年の経験に裏打ちされた秘密がある。

 まず、情報を蓄積しようと思えば形式(フォーマット)を統一しなければ扱いが面倒になってしまう。次に、安定して供給される商品を選ぶこと(入手しやすさ)。そして、心置きなく使えるように価格(コスト)も手ごろな方がいい。それでいて、質(クオリティ)は一定レベルをキープしたい。

 以上のフォーマット、入手しやすさ、コスト、クオリティの4つの要件を満たすのが「A6サイズの100円ノート」だったというわけだ。

 では、具体的にはノートをどのように使えばいいか。至ってシンプルだが、分類することなくひたすら時系列で書いていくのだという。例えば、電話を取り次いだ時に発生するメモなどは、通常であれば用が済めば捨ててしまうものだが、そういったメモもノートに張り付けて取っておく。それにより、メモに書かれた電話番号や相手の名前などをあらためてどこかに転記する必要もなく、後から必要になった時に役に立つからだ。

 とはいえ、膨大なノートの中からどうやって「電話メモ」のような断片的な情報を探すのか。そこで著者が提案するのが、目次部分だけはPCでデジタル管理するというやり方。定期的にノートを読み返して、次のような形式でせっせと目次を作るのだ。

BOOK DATA
タイトル: 情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」
著者: 奥野宣之
出版元: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
価格: 1365円
読書環境: ×書斎でじっくり
△カフェでまったり
◎通勤でさらっと
こんな人にお勧め: どこに何をどのようにメモすればいいかを悩んでいる人。
  • 060105 メモ…サークル新年会で京都、初詣と書き初め
  • 060105 店…静香(京都)居酒屋
  • 060105 日記…新年会で佐藤さんに再会
  • 060106 写真…サークルOB新年会

 最初の6けたの数字は年月日を表す。「060105」とは「2006年1月5日」のことだ。「メモ」や「店」はいわゆるタグだ。「…」の後に要約が来る。ノートに書かれている内容を端的に示すような一文だ。

 いちいちノートをめくらなくても、PC上の「目次」に目を通すだけで該当のノートの記述を探り当てることができるというわけだ。この目次部分をきちんと管理できるかどうかがこの手法のキモになるだろう(この部分については著者もページを割いて解説を厚くしている)。

 「メモすることのリテラシー」に始まり、「合理的に神頼みする技術」まで、著者の豊富な体験に基づいた情報管理手法が学べる1冊といえる。

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