“手のひらプロジェクタ”をスマートフォンで使う(その3)仕事耕具(1/2 ページ)

海連の発売する“手のひらサイズ”の超小型プロジェクタ「X Pro920」。これまでの記事では、本体外観と基本的な投影性能について見てきたが、3回目となる今回は、スマートフォンに接続して使ってみた。iPhone×手のひらプロジェクタ、はたしてどんな使い方ができるだろう……?

» 2008年07月25日 20時55分 公開
[杉本吏,ITmedia]

 これまでに、本体外観投影性能と続けてリポートしてきた、海連の超小型プロジェクタ「X Pro920」。一般的には、PCに接続して投影する使い方が便利だと思う。しかし、手のひらサイズで190グラムという軽さの前には、数キロのノートPCですら重く感じてしまう人もいるだろう。どうせ持ち歩くのなら、PCレスで使えるか試してみたい――ということで、今回はスマートフォンに接続してみることに決定。

左からX Pro920、WILLCOM 03、iPhone

 といっても記者はスマートフォンを持っていないため、編集部内の先輩記者のAdvanced/W-ZERO3[es]と、iPhoneを半ば強引に拝借した。投影中に電話がかかってきたりメールが届いたりすることもあるだろうが、すべては記事のためである。ただし、記者にはこれらのスマートフォンの使い方が分からないため、困ったときはすべて先輩に助けてもらうことにした。すべては記事のためである。

スマートフォン接続には別途ケーブルが必要

 以前の記事でも書いたが、X Pro920には専用のコンポジット変換ケーブルと電源用のACアダプターが付属する。当然これだけではiPhoneとW-ZERO3には接続できないので、今回はD-Sub15ピンケーブルとアップル純正のiPhone/iPod用AVケーブル、さらに海連のUSBディスプレイアダプター「サインはVGA SMART」を別途(先輩記者が)用意した。

(左)本体と付属品のAVアダプター、コンポジット変換ケーブル。(右)別途用意したもの。上の黒いアダプターが海連の「サインはVGA SMART」で、下がアップルのiPhone/iPod用AVケーブル

電源には「3アンペアの壁」が

 電源に関しては、ACアダプターの代わりに使えるような電池タイプのポケットバッテリーを家電量販店で探してみたのだが、残念ながら見つからなかった。X Pro920を動作させるには5ボルト/2.5アンペアの電源が必要だ。付属のACアダプターの出力電源は5ボルト/3アンペアである。市販の携帯電話やポータブルゲーム機で使えるバッテリーは、250ミリアンペア〜1000ミリアンペア程度なので、電源としては使うのはちょっと厳しそう。

 ACアダプターの重さは編集部で量ったところ約130グラムで、サイズもそれほどかさばるというわけではないのだが、コンセントがないところで使えないのは残念だ。海連によると「発売時期など詳細は未定だが、モバイル用のバッテリーも発売を予定している」とのことだったが、今のところは室内での利用に限られるようだ。

卓上にあるものをスクリーンに利用しよう

 さて、ケーブル数本とX Pro920を持って社内をうろつき回ってみたのだが、なかなかよい投影場所が見つからない。当初は適当に壁にでも投影すればいいだろうと考えていたのだが、X Pro920を置く場所と壁までの距離、壁の色などを考えると、きれいに映せそうな場所はけっこう限られてしまうのだ。どこにでも持ち運べるというのがこのプロジェクタの最大の利点なのに、どこにでも映せるわけではないという当然の事実に気づく。

 モバイル用バッテリーと同じく、モバイルスクリーンがあればいいのにな――と考えていたそのとき、記者の目に飛び込んできたのが、卓上タイプの小さなカレンダーだ。

卓上カレンダーに、A4のコピー用紙をかぶせてみた

 これなら簡単に持ち運べるし、喫茶店や客先の応接室などに置いてあることも多い。2つ折りにしたA4コピー用紙をかぶせたところ、なんとなく使えそうな見た目になった。というわけで、今回はこの簡易自作スクリーンを使用することに決めた。

いよいよスマートフォンを接続、投影してみる

 準備も整ったところで、いよいよスマートフォンでの投影を試してみることに。まずはサインはVGA SMARTとD-Sub15ピンケーブルを使って、W-ZERO3に接続。PowerPointファイルを開いて、期待しつつX Pro920の電源をオン!――したのだが、画面は信号未入力を表す青画面のまま。

 気勢をそがれつつ、サインはVGA SMARTの製品ページを見てみると、専用ドライバがたくさん用意されている。先輩記者とそれらしいものを探してW-ZERO3にインストールし、再度チャレンジしたところ、ついに特製カレンダースクリーンにPowerPointのスライドショー画面を映し出すことに成功。


 前回の会議室での投影では、投影距離を1メートルほど取っていたため、室内灯をつけたままではほとんど投影画面が見えなかったが、今回は部屋が明るくても十分画面が映っている。投影距離は10センチほどで、画面の大きさは7×10センチ程度だ。もう少し距離を離して大きな画面にすることもできるが、今回の自作スクリーンでは7×10センチ程度がちょうどよかった。文字サイズは前回同様20ポイント程度の大きさであれば見やすいようだ。

 今回は、会議室でのレンズを上向きにするため、名刺箱の上に本体を置き、レンズケースを底面にはさんでレンズ角度を調整している。投影画面は多少台形になってしまうが、この環境では気になるほどではなかった。これなら、作成した資料を上司に確認してもらったり、一人でプレゼンの練習をしたりするのにも使えて便利そうだ。

 ただし、使ってみて気になった点もある。1つは、冷却ファンの音がわりと大きめなこと。電源を確保できるN700系新幹線などであれば、移動中に使用することもできるが、ずっとファンが回っているので周囲からは注目を集めてしまうかもしれない。また、接続に今回使用したような太めのケーブルを使うと、取り回しにけっこう苦労する。本体が軽いため、デスクの上で操作していると、スマートフォンごと下に落としてしまいそうになったことが何度かあった。というか1度は実際に落として先輩に思いきりにらまれてしまった……。

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