A社はボトムアップで改善活動を推進、B社はトップダウンで改善活動を推進、C社はトップダウンで中国工場の建設、D社はトップダウンで新規事業を決定――どの会社が戦略的だろうか?
次の4つのなかで、戦略的なものはどれですか?(複数回答可)
戦略はトップダウンです。また改革レベルは戦略、改善レベルは戦術です。
(1)のボトムアップ、(2)の改善活動は、戦術です。(3)のトップダウンによる中国工場建設、(4)のトップダウンによる新規事業決定は戦略です。
正答例は(3)(4)です。
バブル経済までは、日本の産業全体に、大量生産・大量販売のビジネスモデルが成り立っていました。作れば売れる時代で、企業の競争力は高品質とコストダウン力で決まりました。つまり戦術が優れた企業が高収益をあげました。
戦略がなくても勝てる条件がいくつかあります。規制で競争が制限されている場合、作れば売れた時代、メーカーが主導権を取れた時代、大量生産・大量販売が通用する時代では、戦略がなくても企業各社は勝てました。
戦略がなくても勝てる時代での競争優位の決め手は、手段(How)、コスト競争力、オペレーション力が優れた会社、高い技術を持つ会社です。
しかし、現在ではアジア諸国に、大量生産・大量販売のビジネスモデルが奪われています。日本企業には、企業各社が勝ち残るための戦略が必要になっているのです。まじめに努力するだけでは勝てなくなりました。
戦略がなければ勝てない条件がいくつかあります。グローバル化の進展による競争激化、モノ余りの時代、消費者(買い手)が主導権を持つ時代、大量生産・大量販売のビジネスモデルが不成立になる場合です。大量生産・大量販売のビジネスモデルが通用しない日本において、戦略の重要性が高まっています。
また、戦略が必要な時代の決め手は、戦略(What)が優れた会社、付加価値競争に勝ち抜ける会社、ブランド力を持つ会社、サービス力やマーケティング力に優れている会社です。
岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。
主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。
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