その12 小さく稼ぐか、大きく稼ぐか?ビジネス力1分間トレーニング

ラスベガスのカジノに来ています。予算は1000ドル。ルーレットで赤か黒にかければ、当たる確率は半分です。さて、あなたはどのようなかけ方をしますか?

» 2008年09月16日 08時30分 公開
[西村克己,ITmedia]

Question

 ラスベガスのカジノに来ています。予算は1000ドル。ルーレットで赤か黒にかければ、当たる確率は半分です。うまくいけば1回で2倍になりますが、はずれれば掛け金はゼロです。

 さて、あなたはどのようなかけ方をしますか?(複数回答可)

  1. 全額を赤か黒のどちらかにかける
  2. 200ドルずつ5回に分けて赤か黒のどちらかにかける
  3. 10ドルとか20ドル位を小刻みにかける
  4. かけない

Answer

今回の問題は『経営戦略1分間トレーニング』の21問目から出題

 資本力が少ない企業の場合、大物ねらいよりは小さくても確実に勝つことをめざします。大物ねらいで失敗すると、再起不能になるからです。

 (1)の全額をどちらかにかけるのは無謀です。(2)の5回に分ける、(3)の小刻みにかけるのが賢明です。あえてリスクを避けるという意味で、(4)のかけないという選択肢も一案です。正答例は(2)(3)(4)です。※自称ギャンブラーは(1)も可。

解説:弱者の戦略と強者の戦略

 ランチェスター戦略は、イギリスが発祥で、日本の故田岡信夫氏が完成させた戦略理論です。ランチェスター戦略では、業界2位以下の企業を弱者とし、5つの法則「局地戦」「一点集中」「一騎打ち」「接近戦」「陽動作戦」を基本原則として戦うことを推奨しています。

 1つめの局地戦は、市場を「限られた地域、限られた範囲」とします。範囲が狭いと経営資源を集中できるから、弱者でも有利に戦えます。2つめは、一点集中です。ターゲットを決めて迷わずターゲットに1点集中します。

 3つめは、一騎打ちです。1対1で腰を据えて、1つずつ確実に勝利する。投入した経営資源をこまめに回収しないと、経営資源が底をついてしまいます。4つめは、接近戦です。相手(顧客や競合)に近づいて、顔を見ながら攻めます。近づくことで相手の動きがよく見え、的確な対策が実行できます。5つめは、陽動作戦です。手の内を見せず、うその情報などで敵を揺さぶります。手の内を見せないことで、神出鬼没の悩ましい競合相手になります。

 一方、強者の戦略(総合戦)は、「物量作戦」が基本です。強者の戦略は、弱者の戦略のすべて反対を基本原則として戦うことです。

著者紹介 西村克己(にしむら・かつみ)

 岡山市生まれ、大学教授、経営コンサルタント。1982年東京工業大学経営工学科大学院修士課程終了。富士写真フイルムを経て、1990年に日本総合研究所に移り、主任研究員として民間企業のコンサルティング、講演会、社員研修を多数手がける。2003年より芝浦工業大学大学院工学マネジメント研究科教授。専門分野は、MOT(技術経営)、プロジェクトマネジメント、経営戦略、戦略的思考、論理思考、図解思考。

 主な著書に、『経営戦略のトリセツ』『よくわかるプロジェクトマネジメント』『図解する思考法』(日本実業出版社)、『戦略構想力が身につく入門テキスト』『論理的な考え方が面白いほど身につく本』『論理的な文章の書き方が面白いほど身につく本』(中経出版)、『戦略思考トレーニング』『論理的な考え方が身につく本』『論理的な話し方が身につく本』(PHP研究所)、『スピード仕事術』『戦略経営に生かす兵法入門』(東洋経済新報社)、『脳を鍛えるやさしいパズル』(成美出版)など、約60冊。



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