モバイル版Firefoxの「Fennec」(が入ったNokia端末)を触ってきた

先日α版を公開したFirefoxのモバイル版「Fennec」。Nokiaの「E810」に搭載されたFennecを触ってきた――。

» 2008年11月17日 20時45分 公開
[鷹木創,ITmedia]

 Windows MobileOperaiPhoneSafariなど、スマートフォンに必須のフルブラウザ。最近話題なのは、先日α版を公開したMozillaの「Fennec」だ。いわばFirefoxのモバイル版ともいえるFennecだが、どのようなものなのだろうか。

Nokiaの「E810」で表示した「Fennec」

戻るボタン、進むボタンなどのナビゲーションは不要!?

サリバン氏。「PC版Firefoxと同じ体験を、よりシンプルに」

 Mozilla Corporatioでモバイルを担当するバイスプレジデントのジェイ・サリバン氏は、「PCで利用するFirefoxと同じ体験を携帯電話でできるようになる。ただ実装はシンプルに」という。

 PC版のFirefoxでは、戻るボタンや進むボタンなどのナビゲーションツールバーなどが画面の一定の割り合いを占めているが、画面が小さい携帯電話を意識したFennecでは、こうしたナビゲーションを画面外に“配置”する。

 Nokiaの「E810」でFennecを起動すると、画面にはスマートロケーションバーのほかはWebページしか見えないシンプルなレイアウト。E810の画面はタッチスクリーンで、左にフリックすると現在開いているタブが、右にフリックすると戻るボタンや進むボタン、設定ボタンなどのナビゲーションが現れる。


FennecをPC上で動かしてデモンストレーション。左にフリックするとタブが見える

(左)右にフリックするとお気に入りや戻るボタンなど。設定の変更もこちら。Twitterのアドインが入っていた。(右)スマートロケーションバーではインクリメンタルサーチも可能

 なお、スマートロケーションバーには、Webページのタイトルを表示。URLの入力や表示、検索キーワードの入力も可能だ。このスマートロケーションバーはフローティングで画面に居座るものではななく、画面を下にスクロールするとスマートロケーションバーも一緒にスクロールして消えてしまう。画面にはWebページ内のコンテンツしか表示していない状況になるのだ。まさに「ナビゲーションの表示を外していく。ユーザーは、Webページのコンテンツに直に接する手法」というわけだ。

 ただ、スタイラスでの操作の追従性はもっさりした感じ。操作してから一呼吸置いて動き出すというような感覚だ。現状は「まだまだ開発中で、デザインのイメージを見てもらうだけの段階。今後はチューンアップして表示や操作などの速度を高めて行く」(Mozilla)という。


(左)接続したサイトの正しさを判定する機能も付いている。(右)画面をタップすると、文字サイズを変更できる

アドインもインストールできる

Mobile開発チーム技術責任者のセジャーセン氏

 Fennecの描画エンジンはFirefoxと同様のGeckoAjaxも使えるという。後からユーザーが機能を追加できる「アドオン」にも対応。「モバイルのブラウザでは聞いたことがない」(Mobile開発チーム技術責任者のクリスチャン・セジャーセン氏)。専用に開発する必要があり、「Twitterのアドオンは今日できた」という。PC版との連携機能は、履歴やブックマークなどを同期できるオンラインサービス「Weave」を通じて提供する予定だ。

 現バージョンでは、800×480ピクセル程度の画面でタッチスクリーンによる操作を想定しているが、今後のバージョンは320×240ピクセルの画面や、タッチスクリーンではない端末にも対応予定。縦横の回転については、「Nokiaの端末が(回転に)対応していないだけで、技術的にできないわけじゃない。スクリーンサイズを指定すればその大きさで表示できる」

 端末にプリインストールして配布するほか、ユーザーがダウンロードしてインストールする方法も検討中だ。Windows Mobile版については、「αリリースを2008年末か2009年初めに予定している」。iPhone版については「以前から交渉しているが、状況は変わらない」と、現時点でのリリースはないことを明らかにした。

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