第6回 ツール選びよりも担当者選び企業ブロガーの転ばぬ先の杖(3/3 ページ)

» 2008年12月18日 12時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司,ITmedia]
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3.人を楽しませることを楽しめる

 自分が楽しむことよりも、自分以外を楽しませられる人は、よりブログ向きであるといえます。

右のようなスタンスでおもてなしを心がけるのは、カフェグローブの青木陽子さん

「ブログに訪問された人はお客さまである」

「クリックにクリックを重ねてたどり着いた人である」


 例えると、「飲み会で、その場のメンバー全員が楽しめる話題をさっと提供できる人や、会話の中心にいるわけではないのに、皆が楽しめる場を作るのがうまい人」といったところでしょう。ブログ運営者は、訪問者が楽しむことを自分の喜びにできる、「ホスト役」に徹するタイプがより向いているということです。

 「ブログを見て帰られるお客さまに対し、お土産を持って帰ってもらうくらいの意識で情報を提供しています」というお話からも、その徹底ぶりが伝わってきます。

 インターネットに関する知識があることや、文章能力はあるに越したことはありませんが、そういった能力は、おもてなしの気持ちがあった上で初めて有効になってくるということです。

無意識にハードルを上げていませんか?

 もし、「自分はITリテラシーが低いから、ブログの担当になるのはちょっと……」と感じている人がいたら、それは大きな誤解です。ITに詳しいことと、ブログ運営の成否は必ずしもリンクしません。

 自分で車を整備する知識と技術がないという理由で、タクシードライバーをあきらめる人はいないでしょう。タクシードライバーに第一に求められるのは、接客能力、同乗者を不快にしない運転技術、優れた土地勘などです。ブログ運営者にとっての接客能力、運転技術、土地勘が何かを考えるとき、それはITリテラシーでないことは分かると思います。

 例えば、屋形船の濱田屋さんの場合、記事作成などの更新作業は制作会社に委託し、社員はコンテンツの中身だけに集中できる仕組みを採用しています。現場が船の上でネット環境がないという理由もありますが、不得手な作業はもち屋に任せ、分業で賄う運営方法も可能ということです。

 また、ブログでコミュニティーサイトを作った先駆けとして有名な、相模鉄道の「相鉄Style」を現在担当される宮川さんは、担当になった当初、ご自身のITスキルに自信がなく、「自分で務まるのかどうか、身構えてしまった」ことや、「うまくいかず、めげそうになった」こともあったそうです。

 しかし、1年以上運営する中で手応えを感じ、

相模鉄道グループ経営戦略室の宮川有子氏

 「もし担当になりたてのころの自分にアドバイスするとしたら、知識がないことを気にして落ち込まないこと。ユーザー視点に立つという考え方はブログであってもなくても同じなのだから、ブログだからといって、その視点は見失わないこと。そして、うまくいったとしてもそこで満足しないこと」


 とおっしゃっていました。

 このアドバイスは宮川さんご自身だけでなく、ITスキルやリテラシーの有無といった基準で無意識にハードルを上げている人へ向けたメッセージでもあるとのことです。

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